◆2004年フィールド日誌


12月30日(曇り時々晴れ、一時しぐれ&みぞれ) 冬型の気圧配置で晴れ間が広がったと思えば次に雪雲がやってくる。肌寒い。 今日も畑の土手を歩く。 ついに成虫を見かけなくなる。この天気、この気温であれば仕方がないところか。 モンシロの幼虫を見るがいずれの個体も動きが鈍い。弱齢幼虫はかなりの数がこの寒さにやられたようだ。 民家のそばに生えるヨモギにヒメアカタテハの幼虫を見る。〔加古川市〕

12月25日(曇り時々晴れ) 午前11時出張から戻り、すぐフィールドに出る。気温が上がらず肌寒い。ここ数日、ようやく季節にあった気温に戻っている。 いつもの池の土手、雑木林の縁の畑など、南向きの斜面ばかり次々と訪ねる。 本日見かけた成虫はブルーのシジミ1頭のみ。すばやい飛翔でアッと言う間にアラカシの樹冠に消えた。ブルーのシジミと言えば、ヤマト、ウラナミ、ルリ、ツバメなどであるが、私の感ではルリ。この時期にルリを見ることはほとんどないが、大きさ、飛び方からルリしかありえないと判断する。 ブロッコリー、カリフラワー畑のモンシロ幼虫は大きく数を減らしている。人の手が入ったのか、鳥にやられたのかどちらかであろう。 ヨモギの葉に綴られたヒメアカタテハ幼虫の巣を開き撮影する。〔加古川市〕

12月19日(晴れ:滋賀) 滋賀県大津市にて日本鱗翅学会近畿支部・琵琶湖博物館共催の「里山保全」特別公演を拝聴する。講師は日高敏隆先生他。 日頃、「兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会」や「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動で取り上げられている話題・問題はまさに全国共通であることを改めて思い知る。そこには「どこそこで何が採れた!何頭採れた!」ではなく“生物多様性”であり、“生息環境の維持保全”が根幹を成しているのである。 フィールドには出られずとも有意義な一日であった。〔滋賀県大津市〕

12月18日(晴れのち曇り) 午前中は出勤、帰宅後、昼食もそこそこに雲の広がりと競争するようにフィールドに出る。 まずはいつもの池の土手。薄日が差し、暖かいが飛び回るチョウはいない。草原を歩くと飛び出したのは、ツマグロヒョウモン♀、ベニシジミ、ヒメアカタテハの3頭。 ヤマトシジミはついに姿を消す。 今日はモンキチョウを見かけなかったが、モンキの耐寒性を考えるとまだまだ生き延びられる気温であり、どこかに潜んでいるのであろう。 観察ポイントを移動する。昨シーズンのこの時期に通った雑木林の南斜面に広がる畑を歩く。 キャベツ、カリフラワー、ブロッコリーの葉にモンシロの幼虫が多い。ブロッコリーでは人間が食する花芽の表面を這いまわり盛んにかじっている。畑の持ち主がこんな姿を見れば怒り狂うのは間違いなし。 草むらからキチョウが飛び出す。 今日一番の目撃記録はチャバネセセリ。こんなに遅い時期に見たのは今回がはじめて、いわば“最遅”記録となる。〔加古川市〕

12月11日(晴れ) 暖かい一日。 所属する「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動の一環で午前9時からフィールドに出る。ギフチョウの食草であるヒメカンアオイ自生地の雑木林の整備を行う。具体的な活動内容として、ヒサカキ、ソヨゴ、イヌツゲなどの常緑樹の切り払い、ササなどの不要下草の刈払い、倒木の撤去などを行なう。多くの参加があったため、アッと言う間に綺麗に片付く。落ち葉を踏みしめながら皆で楽しくワイワイと汗を流すことは快い。 帰り道、お気に入りの撮影ポイントに立ち寄る。 メスに求愛するツマグロヒョウモンのオスを見る。オス・メスとも飛翔は弱弱しい。 ギシギシの葉の上でベニシジミの日光浴を見る。 鱗粉が剥げ落ちたボロボロのウラナミシジミを見る。こちらも飛翔は緩やか、本来のこの種のすばやい飛翔とは大違い。 ヤマトシジミもまだ生き残っている。計2頭目撃。 もっとも活発だったのがモンキチョウ。オスは地表近くを飛びメスを探しているようであり、メスはミヤコグサに産卵を繰り返す。狭い範囲に10頭近くが飛び廻っている。 ヒメアカカテハ、キチョウを見る。〔加古川市〕

12月4日(曇りのち雨) 天気は下り坂。雨が落ちる前にフィールドに出る。気温は高めで生暖かい。 ヤマトシジミは大きく数を減らし、しかもスレばかり。計10頭近く確認したが新鮮な個体はひとつもなし。 ツリガネニンジンの実に掴まり休むツマグロヒョウモン♂を見る。ツマグロヒョウモンはこの個体を含め2頭目撃。 ヒメアカタテハは地表に止まり翅をひろげる。草むらに止まられると“絵”になり難い構図となる。幼虫の巣は依然として多い。 竹やぶの縁を飛ぶキチョウを見る。〔加古川市〕

11月28日(晴れ時々曇り) 小春日和の穏やかな一日。 チョウ観察・撮影とは別の目的で朝からフィールドに出る。 早朝、植栽のツツジの根元で動かないキチョウを見る。指でつまんでも微動だにしない。 気温が上がってきた昼前にツマグヒョウモン♂を見る。 フユシャクの飛翔を見る。〔神崎町〕

11月23日(快晴) 今日もすばらしい天気。活動前の朝露に濡れる姿を撮影に、午前8時からいつもポイントに出向く。 さすがにこの時間では飛ぶチョウはいない。下草を丹念に探し、ようやくベニシジミ、ヤマトシジミ、モンキチョウ、ヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモンを見つける。下草に付く朝露、背景の青空、逆光下という三つの条件を意識しながら撮影する。 撮影しているすぐ脇をヨタヨタと飛び立つ小さなチョウを見る。翅は擦り切れ、鱗粉も剥げ落ち、種の同定もままならない超超ボロ個体。後翅裏面のシマ模様の痕跡からかろうじてウラナミシジミと判る。9時半に切り上げ一旦帰宅する。〔加古川市〕  昼前から再びフィールドに出る。向かうは西播磨。標高400m、見晴らしの良い小ピークでは、ボロのヤマトとウラナミがもつれ合っている。 建物の壁に止まるアカタテハを見る。この近くで越冬するのであろう。 山裾ではキチョウが多い。 車の運転中に白やこげ茶のチョウを見るが種の同定は出来ず。〔上月町〕

11月21日(晴れ:兵庫県播磨地方 曇り:岡山県勝田郡) 家庭サービスの一日、巻貝の化石掘りに岡山県東部地方に遠征する。 朝9時半、千種川沿いの日陰での気温は6℃、肌寒い。 奈義町のある山の斜面全面の樹木は残らず倒れていた。台風あとのすざましい光景である。 キチョウ、ツマグロヒョウモン♂を見る。〔岡山県勝田郡〕

11月20日(快晴) 朝から雲ひとつない青空が広がる。しかも風も弱く絶好の撮影日和。9時半からフィールドに出るが下草はまだ露に濡れている。 ヒメアカタテハ多い。ツリガネニンジンやシロノセンダングサで吸蜜したり、地表にとまり翅を広げ日光浴と忙しい。周囲のヨモギを見ればヒメアカタテハの幼虫の巣がビッシリ。どうりで成虫が多いはずである。 ツマグロヒョウモンもまだまだ多い。アザミやヤクシソウで盛んに吸蜜する。ツマグロとヒメアカはお互いあまり関心を示さず追い駆けあうことは少ない。 ヤマト、ベニ、ウラナミの各シジミは盛んに日光浴を繰り返している。 モンキチョウは10時でもあまり飛び回っていない。体に付いた露がまだ乾ききらないからであろうか。 スレのシルビア♂を見る。この時期まで生き残っていたとは驚いた。翅裏の鱗粉は剥げ落ち一段とグレーの地色に変っている。 雑木林の縁で新鮮なムラサキシジミ♂を見る。カメラを近づけたところアッと間に飛び去る。 ボロのチャバネセセリを見る。本日の目撃チャバネはこの1頭のみ。 雑木林の周辺ではキチョウが多い。 ダイコン畑ではモンシロが舞う。 シルビアを除き普通種ばかりであるが天気が良いせいか蝶影が濃い一日であった。〔加古川市〕

11月14日(曇り) フィールドに出るのはやめ、「兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会」会員O氏のご子息の児童科学研究作品を見に姫路市立科学館に行く。タイトルは「守れ!ウスイロヒョウモンモドキ」、すばらしい内容で見事受賞。今年の保護活動においてお父さんと共に、小学生ながら頻繁に活動に参加してくれて、おまけにすばらしい研究成果をまとめてくれて本当にありがとう!頭が下がりました。〔姫路市〕

11月13日(晴れ時々曇り)晴れと曇りが交互にやってくる。風はやや強く日が翳ると肌寒い。9時半から花公園へ。加古川市内より20km北にあるためか厚い雲に覆われまったく日が差さない。従って活発に飛ぶチョウはなく、わずかにヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモンを見るのみ。先月23日確認の帯が切れおしりのみでぶら下がっていた4頭のキチョウの蛹のその後は、2頭が羽化成功で殻だけ残り、2頭が羽化失敗で黒く腐っていた。〔加西市〕  こんな天気では仕方がないので30分で撤収、晴れ間が広がる加古川市内に戻る。 暗い竹やぶにクロコノマ2頭を見る。足元から突然飛び立ち、バタバタと数十m移動する。着地する場所をしっかり見ておかなくて、“この辺りだったかな”ではまた同じ事の繰り返しになる。 気温が上がってくるとヤマト、キチョウ、ムラサキ、モンシロが飛び回るようになる。 ヤマトが多産する明るい土手の道に撮影場所を変える。ヤマトは一気に数を減らしている。一週間前の半分くらいか。しかもスレ・ボロばかりである。 コセンダングサで吸蜜する新鮮なウラナミシジミ♀を見る。あまりに新鮮な個体なので、じっくり時間をかけて撮影する。 セイタカアワダチソウで吸蜜するヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン、チャバネセセリを見る。チャバネはいずれの個体も鱗粉を落とし、種の同定も難しいような超スレばかり。 モンキ、ベニを見る。〔加古川市〕

11月7日(快晴) 昨日に続きすばらしい天気。 早朝のチョウを狙い朝7時からフィールドに出る。いつもの草原は案の定、しっとり朝露に濡れている。 朝露に濡れて下草に止まるベニシジミ、モンキチョウ、ヤマトシジミ、チャバネセセリを見る。翅の裏にびっしりと水滴を付け、朝日に耀く姿はすばらしく美しい。 足元から弱弱しくシルビアが飛び立つ。 9時近くになると一斉に活動を始める。ヤマトは盛んに開翅したあと飛び立ち他の個体ともつれるように飛ぶ。モンキ♂はお決まりの探雌を始める。キチョウはコセンダングサで吸蜜開始。 咲き始めたビワの花に多くのチョウが集まる。ミツバチやハナアブ、ハエは当然のことながらオオスズメバチまで来ていた。蜜に来ているのか、狩にきているのか判らない。チョウではツマグロヒョウモン♂、♀が吸蜜するのを見る。 ウラナミシジミ♀のV字開翅を見る。 モンシロ、ヒメアカも確認したので秋の播磨のチョウは勢揃いである。 所用のため9時半に引き揚げる。〔加古川市〕

11月6日(晴れ) 朝からすばらしい秋晴れ。 早朝からチョウ観察・撮影とは別の用向きでフィールドに出る。 ツマグロヒョウモン♂はとても新鮮。ムラサキシジミ、テング、キタテハ、キチョウを見る。〔神戸市北区〕

11月3日(晴れのち曇り) 朝起きると辺りは霧の中、視界はきかない。陽が高くなるにつれ晴れていくが、9時を廻っても下草は濡れている。 今日もシルビアを見に行く。3日前は一箇所に集中していたが、今日は分散してしまっている。まだ充分体温が上がっていないためか、活発に飛ぶ個体は少なく地表で翅を閉じて止まっていることが多い。活発に活動する直前の10数分間にウオーミングアップのために開翅しているのであろう。 ベニシジミは盛んに開翅する。 モンキチョウ♂は今日も低く飛び探雌行動に忙しい。アザミの花で吸蜜するモンキのカケ♂を見る。 キク科の花で吸蜜するツマグロヒョウモン♂、チャバネセセリを見る。セイタカアワダチソウの花に来ていたのはムラサキシジミ。 所用のため10時前に一旦帰宅する。 午後1時から再びフィールドへ。先週に続き雑木林の縁を歩く。 新鮮なヒメウラナミジャノメを見る。過去の目撃データをチェックしていないが、たぶん個人的には過去最も遅い目撃であろう。 スジグロシロチョウ♀を見る。加古川市内では今シーズン2度目の目撃である。 キャベツ・ダイコン畑にモンシロが多い。 コセンダングサで吸蜜するキチョウを見る。 アラカシの樹冠をすばやく飛ぶのはウラギンシジミ。 カタバミの花で吸蜜するウラナミシジミを見る。 ヒメアカタテハを見る。〔加古川市〕

10月31日(晴れのち曇り、夕方から雨) 天気予報は外れ、朝から青空が広がる。 明るい池の土手では午前8時を過ぎると多くのモンキチョウ♂が飛び交う。地表スレスレを低く舐めるように飛ぶのはメスを探しているのであろう。そんな中でパトロール中のオスが着地する場所があり、周囲をよく調べてみると、羽化直後のオスが翅を伸ばしている最中であった。観察中にも次々とオスが飛来し、羽化直後の個体がメスでないことを確認していく。モンキチョウに限って言えば、メスは羽化直後に必ず交尾する(交尾されてしまう)のであろう。 ツリガネニンジンの花にぶら下がり蜜を吸うチャバネセセリを見る。 土手の一角にシルビアが多い。オスもメスも新鮮。他の生息地では9月末から10月初めにかけてシーズン最後の発生のピークを迎えていたのに、ここでは約一ヶ月も遅れている。また、この生息地では発生の中心が昨年に比べて100m移動している。昨年多く見られたポイントは、今シーズンあまりにも綺麗(=徹底的)に草刈や火入れが行なわれたため発生していないのであろう。 ウラナミシジミは地表で翅を広げていることが多い。朝日を浴びるとオスの翅表の青は白銀に耀く。 イヌセンブリの群落を見る。花の数は100以上、今が満開。ヒメアカタテハが飛来したがすぐに飛び去る。実際に吸蜜したかどうか確認できず。 今日もツマグロヒョウモンが多い。ウンザリするぐらいの数をあちこちで見る。 カタバミの花が多い畑の小道にヤマトシジミが多い。まさに“群れ飛ぶ”感じ。シルビアに比べて青色が薄く、スカイブルーに見えるため飛翔中の種の同定は容易である。 林の周辺ではキチョウが多い。コセンダングサやキク科の花で盛んに吸蜜している。 撮影地を移動する。雑木林の縁のアラカシの林にムラサキシジミを見る。何度もやってきた台風の影響か、今シーズンは見かける数が少ないように思う。 ウラギンシジミ♀の矮小個体の開翅を見る。 雑木林の中で、足元から突然クロコノマが飛び出す。やぶ蚊の攻撃に耐え、光量不足を意識しつつ、慎重にシャッターを重ねていく。それにしてもこの種のカムフラージュは実に見事。落ち葉の中、静止中の個体を見つけ出すことは極めて難しい。 さらに撮影地を移動する。昨年、多くのシルビア発生をみたポイントでは♂スレ個体を2頭見るのみ。シルビアに関して言えば、秋の発生のピークは発生地によってマチマチ、しかも発生の中心地は何らかの影響を受けると転々と移動していく、こんなことが伺える。11時前に撤収。〔加古川市〕

10月24日(晴れ) ウスイロヒョウモンモドキ生息地状況確認のため早朝から但馬に向う。幸い台風23号の被害も少なく、まずは一安心。午前9時、尾根筋では気温10℃を大きく下回っているようで肌寒い。氷ノ山は上から紅葉が始まっている。 10時を過ぎるまで飛ぶチョウはまったく見当たらない。気温の上昇ともにようやくモンキが飛び始める。その後はテング、キタテハ、キチョウが現われる。キク科の薄紫の花で吸蜜するアカタテハを見る。撮影のため慎重に近寄るも敏感で1m以内に入らないうちに飛び去る。〔養父市〕  続いて我が“別荘”の状態を確認。どうやら無事、まっすぐ立っていた。しかしながら屋根材の飛散が激しく、ついに葺き直す決心を固める。 畑の土手に生えるキク科の花で吸蜜するスジボソヤマキ♀を見る。翅の破損はまったく見られない。飛翔は弱弱しくすぐに着地してしまう。〔村岡町〕  さらに移動、新しく出来たトンネルを抜け日高町に入ると川沿いの状況は一変する。台風23号のもたらした降水量は半端ではなく、至るところで崖崩れ、河川の増水、道路の流失など傷跡が生々しい。本流の円山川の状況は目を覆うばかり。床上浸水被害の民家がこれほど悲惨だとは思いも及ばなかった。 渓谷を飛ぶスジボソヤマキ♂を見る。〔日高町〕

10月23日(晴れ) 台風23号の爪あとがあちこちに残る。それにしても自宅のすぐ横を流れる加古川もあと数m水位上昇で決壊寸前の痕跡が・・クワバラ・クワバラである。 9時過ぎから花公園に向う。公園の植栽の花々にヒメアカタテハ、ツマグロヒョウモン♂、それと♀が同密度で吸蜜に来ている。ヒメアカタテハに限れば延べ30頭以上確認する。 ヒメアカタハに混じり1頭だけアカタテハを見る。 ネムに似た外来種のマメ科の樹の枝の先端にキチョウの蛹を見る。合計5頭。台風の影響か、そのうち4頭の帯が切れ、あたかもタテハの蛹ような垂蛹型、お尻のみでぶら下がっていた。はたしてこれで羽化できるのか後日確認してみよう。 今日もヤマトが多い。 すばやく飛ぶウラナミシジミ♂を見る。 キチョウ、モンシロ、モンキ、スジグロシロを見る。 スレ・ボロばかりだが多くのチャバネセセリが活発に飛びまわり盛んに吸蜜する。 イチモンジセセリはチャバネに比べると見かける数は少ない。〔加西市〕  

10月17日(快晴) 昨日に続き今日も好天、ただし風は昨日より強い。 午後から近場を廻る。 市内の公園の丘の上でウラナミシジミ♂がテリを張る。同種のオスの接近に敏感に反応し追いかけあう。水平方向では50m以上の範囲を飛び回っているようだ。ヤマトシジミにも反応して飛び立つがすぐに離れてしまう。両種の飛翔能力の差は一目瞭然である。 撮影場所を変える。 南西向きに広がる畑にチョウが多い。小さなコスモスの花株に4頭のヒメアカタテハが集まっている。別の株では新鮮なツマグロヒョウモンのメス2頭が盛んに吸蜜している。ダイコン畑では1頭のメスを巡って4〜5頭のモンシロ♂がバトルを繰り返す。 ヤマトシジミはどこでも多い。 スレのチャバネセセリを見る。〔加古川市〕

10月16日(快晴) 早朝から抜けるような秋の青空が広がる。 10時前から自宅を出て、先週に続き西播磨に向う。 セイタカアワダチソウは今が満開、チョウをはじめ、ハナアブ、ハエ、小甲虫、ハチなど多く虫が集まっている。 チョウの中で何と言っても数が多いのはテング。ひとつの花穂に必ず1頭以上いる感じ。今日の目撃総頭数は3桁の後半、もしかしたら4桁までいっているかもしれない。テングはノギクやミゾソバなどの花や日当りの良い水たまりにも集まっている。 キタテハ多い。こちらもテング同様、吸蜜に夢中である。 日向ぼっこするオオウラギンスジ♀を見る。かなりスレ個体であるが翅は先端を欠いているくらいでそれほど破損していない。 渓谷を緩やかに飛ぶのはアサギマダラ。 1週間前あれほど多くいたイチモンジセセリ、チャバネセセリは今日はまったく見かけない。 先週から執拗に狙っているのはスジボソヤマキである。この種の写真はいままでロクなものがなく、この秋の撮影ターゲットとしてマークしていたのであるが、今日、ようやくめぐり逢えた。狙ったとおりうまくコトが運ぶほど嬉しいものはない。路上で吸水中の新鮮なオスをじっくり時間をかけて思う存分撮影する。湿った路上でローアングルの撮影だったため衣類は水分を吸ってドロドロになる。この個体以外にも2頭目撃する。〔上月町〕

10月10日(午前中は曇りのち晴れ、午後:東播磨は晴れ、西播磨は曇りのち激しい雨) 晴れ間が大きく広がったのを見計らって午後から西播磨に向う。西に行くにつれ雲は厚くなり今にも雨が降り出しそうな天気に変わる。 車道わきのセイタカアワダチソウの花で吸蜜するキタテハ、ウラナミシジミ、ベニシジミを見る。 アザミの花で吸蜜するのはホウジャクの仲間(蛾)とイチモンジセセリ。ここのイチモンジセセリはまだ新鮮。 林道わきに咲く薄紫のキク科の花で吸蜜するウラナミシジミを見る。なぜか同種は今シーズン、これまでただの一度もシャッターチャンスがなかった。ここぞとばかり撮影しまくるが、スレ♀で撮影場所も暗く、結果的にはスカ写真ばかり。 高原の集落の畑では多くのモンシロが舞う。 車の運転中、民家の周囲を活発に飛ぶクロコノマ♀を見る。 兵庫県の最も西を流れる県下一の清流・千種川は前々回の台風で大きなダメージを受けている。車の中からでも氾濫した痕跡が解り、河原にはどこからか流れてきたナンバー付きの車が横たわり、低地の民家では床上まで浸水した様子がありあり。私のヒロオビ、ウラジロミドリ、ミズイロオナガの撮影ポイントの中心にそびえていたナラガシワの大木も無惨に倒れていた。来シーズンの里山ゼフの発生状況を注意深く見守りたい。〔上月町〕

10月9日(曇り) 台風22号は東に逸れ、朝から風弱く、曇り空が広がる。 気温が上がり薄日が差し始めた午後1時からフィールドに出る。 久しぶりに花公園に向う。 さまざまな外国産サルビアにイチモンジセセリ、チャバネセセリが集まる。いずれの種、いずれの個体ともスレ、カケ、ボロばかり。 ツマグロヒョウモン交尾ペアを見る。カメラを持って近づくと敏感に反応し、メスの飛翔のみで盛んに逃げまわる。コスモスの花壇にツマグロヒョウモンが群れている。20頭くらいが吸蜜しているようだ。新鮮で動きがにぶい個体を選んでじっくり腰を落ち着けて撮影する。 同じ花壇にヒメアカタテハ数頭が吸蜜にやってきている。 少し離れたところで吸蜜するアサギマダラ♀を見る。コスモスでの吸蜜を初めて目撃する。吸蜜に執着することなく数分で飛び立ち大空に舞い上がる。 今日もヤマトはどこでも多い。 植栽のムラサキの花に集まる多くのモンシロを見る。〔加西市〕

10月3日(曇り) またしても天気予報は外れ、一日中厚い雲に覆われる。しかも風が強い。 一昨日まで続いていた真夏を思わせる暑い日は突然終わり、一気に秋がやってきた。 午後から近場を廻る。 郊外の民家の庭先の花壇に今日も多くのツマグロヒョウモンが群れている。ひとつの花株に♂4〜5頭、♀1頭が吸蜜している。チャバネセセリ、イチモンジセセリも多い。 続いて先週発見したシルビア生息地へ。シルビアはポツポツ見かける程度、それに比べ数をましているのはヤマトシジミ。地表近くを3頭、4頭ともつれるように飛び、あちこちで求愛、交尾をしている。総数をカウントすればすぐに3桁にいくであろう生息密度の濃さである。一年を通して今が最盛期であろう。 薄紫のキク科の花で吸蜜するベニシジミ、ツバメシジミを見る。 ヒヨドリバナで吸蜜するメスグロヒョウモン♂を見る。吸蜜に夢中でカメラのレンズを10mmまで近づけても気にする風もなし。 さらに撮影場所を移動する。雑木林の縁の畑に咲くヒャクニチソウで新鮮なツマグロヒョウモン♀の吸蜜を見る。 ここでもチャバネセセリ、イチモンジセセリが多いが大半はスレている。 ヒカゲチョウの開翅を見る。こちらも翅はかなり傷んでいる。 その他、ヒメジャノメ、モンシロ、キチョウを見る。〔加古川市〕

9月26日(曇りのち晴れ) ここのところ天気予報の的中率は大幅に低下、今日も見事に外れる。 シルビア撮影のための友人の来訪に合わせ朝8時前からフィールドに出る。昨日と違って今日は朝露もなく曇り空。朝8時前でもシルビアはポツポツ飛んでいるが、下草に静止している個体も多い。8時を過ぎ気温も次第に上昇してくると曇り空でも開翅するようになる。雲が切れ薄日が差すと開翅個体が一気に増える。本日見かけたシルビアは新鮮からボロまでさまざま、新鮮な個体しかいなかった1週間前と比べると季節の移り変わりを感じる。 所用のため一旦帰宅、午後から再びフィールドへ。 郊外の民家に庭先の花壇に多くのチョウが集まる。ツマグロヒョウモン♂♀、ヒメアカタテハ、イチモンジセセリ、チャバネセセリ、ウラナミシジミなどが群がっている。花穂の先に交尾中のヤマトのペアを見る。 田んぼのあぜに咲くサワヒヨドリの群落にも多くのチョウが集合。メスグロヒョウモン♂、ツマグロヒョウモン♂、モンシロ、ベニシジミ、ツバメシジミ、キタテハ(秋型)、ヤマトシジミなどが盛んに蜜を吸っている。メスグロ♂はすべて破損個体、夏眠明けのオスは例外なくカケている。今日はめずらしくムラサキシジミ♂が吸蜜に来ていた。それともう一種、ここでもシルビアを見る。しかも多数。私自身、シルビア好生息地の新発見である。このポイントではヤマトとシルビアが同密度で混飛していて、ひとつの花で仲良く吸蜜するなどたびたび接触しているようである。俄然、生態観察意欲が湧いてくる。ここはひとつ腰を落ちつけじっくり観察してやろうと思っていたところ、一台の軽トラが到着、おっちゃん2人がエンジン音も高らかに草刈機械であぜの草を刈り始める。残念、あっという間にサワヒヨドリの群落は消えてしまった。〔加古川市〕

9月25日(晴れ:播磨 雨:但馬) 先週に続き早朝からシルビア撮影に向う。 朝8時時点では飛び回る個体はなく、下草に静止している。8時半頃から陽光を浴びると翅を開くようになる。 9時頃が開翅のピーク。 オスは前翅表の黒の縁取り太く、内側の青色も深い。新鮮なオスの開翅は思わず息を飲むほど美しい。メスの開翅もなかなかどうして渋いものがある。内側に広がる薄いブルー、褐色の地色は光の加減で微妙に変化する。9時を過ぎるとミヤコグサの花に頭を突っ込み盛んに吸蜜する個体が多くなる。と同時に地表近くを活発に飛ぶ個体の数も増していく。地表近くを飛ぶオスの目的はメス探しであろうと思われる。カメラを構え、地上10cmの葉に止まるオスを撮影すべく近寄ったところ、地面に潜んでいた土色のカエルが突然ジャンプ!な・なんとシルビアをパクッ!一瞬の内に食べられてしまう!こんなことは永年のチョウ撮影のなかで初めてである。〔加古川市〕  9時30分シルビア撮影を切り上げ但馬に向う。播磨と但馬を分ける生野峠を越えた瞬間から分厚い曇り空、そのうちに空から雨が落ちてくる。スジボソヤマキを狙って沢奥深く入るがこの天候では飛び出さない。この時期の吸蜜源であるアザミの花付近を中心に丹念に見て廻るが見つけることはできない。わずかにヤマト、キチョウ、コミスジ、サカハチの活動を見るのみ。〔養父市〕 養父市→村岡町→日高町と林道を走るが小雨まじりの天候は変わらず。当然、チョウの姿はなし。 今日は動物デーか、加古川の“カエル・パクッ”に続き、牧場をスタスタ歩くアナグマ(ムジナ)を見る。その5分後、薄暗い林道を闊歩するイノシシを見る。大きさから思うに体重は40〜50kgくらいか。ここはひとつ車で轢いてやろうとスピードを上げ近づいたところ、大慌てで逃げ林道わきのブッシュに消えた。フィールドで実際にイノシシに出遭ったのも生まれて初めてである。〔但馬各地〕

9月20日(晴れ時々曇り) 今日はあいにく出勤日、出勤前の一時間だけシルビアの観察に行く。しっとりと朝露が降りているなか、狭い範囲で約10頭が下草に止まり静止している。止まっている葉は食草であるミヤコグサに限ってはいない。むしろエノコログサの穂など背の高い草の頂上部が多い。撮影のため近づき過ぎるとモゾモゾ動き出し、そのうちに力強く飛び立ち、長距離を移動する。午前8時前、日差しを浴びてV字開翅するメスを見る。観察時間の関係であろうが、残念ながら今日は全開翅には出遭わず。8時15分撤収。 ツバメシジミ、チャバネセセリ、イチモンジセセリを見る。〔加古川市〕

9月19日(曇りのち晴れ) 今日は飛び飛びのタイミングで所用があるため近場まわりしかできない。 朝7時、まずはシルビアの開翅を狙う。この生息地ではミヤコグサはポツポツと咲いているもののシルビアの姿無し。やっと飛び出したと思ったらツバメ♀であった。探しに探してようやくシルビアのボロメスを見つける。朝日を浴びて盛んに翅を開く。この生息地ではどうやら成虫の端境期のようである。 キチョウが多い。翅の色が濃いのから薄いのまでさまざまな個体が飛ぶ。 8時30分一旦フィールドを引き揚げる。 所用を済ませ9時30分再びフィールドへ。 サワヒヨドリで吸蜜するのはツマグロヒョウモン3♂♂、モンキチョウ2♂♂、キアゲハ1♂、それと多くのハナバチとハナムグリである。 薄紫のキク科の花で吸蜜するのはベニシジミとヒメアカカテハ。ヒメアカは翅の縁が細かく欠けている個体である。 畑のあぜで新鮮なツバメシジミ♀を見る。翅の白い縁取りも鮮明だったので時間をかけて撮影する。 前翅先端が欠けているヒメジャノメを見る。この種はこれから1ヶ月数を増していく。 撮影地を移動する。 田のあぜにシルビアが多い。この生息地はオスもメスも新鮮な個体ばかり。陽が高いためオスは活発に飛び回ることが多いが、静止しているオスも見かける。静止中のオスに他のオスが飛来、後方から近づき性別を確認するような仕草を見せる。それに対して静止中のオスは翅を数回小刻みに震わせ、自分はオスであることの意思表示をするかのような行動を見せる。迫ってきたオスはサッサとその場を去る。 ミヤコグサに産卵するモンキ♀を見る。葉の裏に1卵づつ丁寧に産み付けていく。 2度目の所用をこなすため市街地に戻る。 市街地で見かける黒いアゲハはほぼ100%ナガサキ♂である。アオスジアゲハやナミアゲハも活発に飛ぶ。 午後1時、三度フィールドに出る。 ヒメヒカゲ生息地でルリタテハ♀を見る。この草原ではサルトリイバラが多いためよくルリタテハを見る。 夏眠明けのウラギンスジヒョウモン♀を見る。狙った種に出遭うと心躍るものがある。夏眠明けとは思えないほど新鮮、前翅先端の白紋も鮮やかで実に堂々たる母チョウである。ササの葉の裏に止まったり、日向に出て日光浴したりと、まったく正反対の行動を見せる。翅の開閉行動はスムーズではなく、ギクシャクした感じを受ける。 田のあぜに咲くサワヒヨドリで吸蜜するヒョウモン♂を見る。ウラギンスジかメスグロかよく判らなかったが、後に撮影した画像を確認するとメスグロであった。〔加古川市〕  

【サイト管理者からのお願い】兵庫県内で激減しているウラギンスジヒョウモン。ここ数年で採集・目撃された方はご一報ください。

9月11日(晴れ) 早朝から西播磨岡山県境に近い渓谷を歩く。 車に轢かれペシャンコになったサワガニの汁を吸うウラギンシジミ♂を見る。路上に動物の糞があればウラギンシジミが、ウラギンシジミがいれば何か付近に臭いものが、この時期両者は密接に結びついている。 渓谷沿いの陽だまりにはセセリが多い。 満開のイタドリの花で吸蜜するアオバセセリを見る。前翅先端の鱗粉は剥げ落ち、青紫に光る翅裏もくすんだ色に変わっているが元気に飛び回り、花から花へと移って行く。 新鮮なダイミョウセセリを見るが、カメラを構える間もなく飛び去る。 キツネノマゴで吸蜜するオオチャバネセセリを見る。周囲には日光浴する個体も多い。もしかしたら日光浴ではなくテリを張っているのかもしれない。 ボロのキマダラセセリを見る。 イチモンジセセリ、チャバネセセリはこの時期どこでも多い。 渓谷沿いをスイースイーと飛ぶのはおなじみのコミスジ。見かけるのはメスばかり。比較的新鮮なものから超ボロまでさまざまに飛んでいる。 ボロのサカハチを見る。撮影のため追いかけたところ、カラムシの葉の裏に逃げ込んだ。 民家の庭先でイチモンジチョウを見る。こちらもボロ個体。 咲き始めた秋アザミで吸蜜するミドリヒョウモン♀を見る。同種の♂はサワヒヨドリやイタドリの花で吸蜜する。道沿いの明るい斜面を緩やかに飛ぶメスを見る。しばらく観察していると、コナラの根元に生えるコケに腹を折り曲げ産卵する仕草を見せる。実際に産卵したかどうかは距離があり確認出来ず。 渓谷の上部、高所に咲くクサギの花で吸蜜するカラスアゲハorミヤマカラスのメスを見る。フワーフワーと時折滑空しながら実に優雅に飛ぶが結局下に降りて来ないため種の同定は出来ず。 今日、最も多く見かけたのはキチョウ、渓谷のいたるところで飛んでいる。ネムの幼木で発生しているらしく、どの葉も喰い痕が目立つ。 その他見かけたのは、スジグロシロ、モンシロ、ヒメアカ、テング、ウラナミシジミ、ヤマト、ルリシ、ツマグロヒョウモン、ヒメウラナミなど計20種以上。〔上月町〕

9月4日(曇り時々晴れ、一時にわか雨) 9月に入ったというのに暑い、しかも湿度が高い。 「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動の一環で、早朝からヒメカンアオイ群生地に侵入しているササの刈払いやイヌツゲなど常緑木の枝打ちを行なう。ちょっと体を動かしただけで汗が滴り落ちる。ギフ母チョウはこのように下草刈りをしたところに好んで産卵してくれるため鎌を持つ手にも自然と力が入る。(*毎春、当地へギフ採集にやってくる者に一言!我々の地道な活動によってかろうじて代を重ねているギフの現実を知ってほしい、感じてほしい!4月だけ泥棒猫のようにやってきて、「思ったほど数が採れない」と嘆く前に一度自分で下草刈りをやってみろ!自分の流した汗の重さを感じれば網は振れないはずだ!採集至上主義者とはますます距離が離れていくこの頃である)  台風16号の影響で里山は荒れている。腐り始めた柿の青い実で吸蜜するヒカゲチョウを見る。この時期のヒカゲはどれも新鮮で、翅裏はハッとするほど美しい。 畑のあぜにヤマトシジミが多い。オスもメスも活発に飛び回る。 ヒヨドリバナの開花始まる。さっそくチャバネセセリが吸蜜していた。 夏眠明けのメスグロヒョウモン♂を見る。昨年見かけたのもほぼ同時期であった。 新鮮なキマダラセセリを見る。撮影失敗。 雑木林のやや暗いところでキチョウをたびたび見かける。黄色の濃いものから薄いものまでさまざま。〔加古川市〕  雑木林の中の畑で交尾中のツマグロヒョウモンのペアを見る。どちらも新鮮。近づき驚かせると、オスがぶら下がったままメスのみの飛翔で移動する。交尾中はまさに“精子を送り込んでいます”といった感じで2頭とも体全体が脈動していた。 猛スピードで飛ぶ青いシジミを見る。ウラナミシジミか? コチャバネセセリの吸蜜を見る。〔加西市〕

8月29日(晴れのち曇り) 今日も蒸し暑く、本当は涼しいところで静かに休んでいたいところであるが・・、もっとも気温が高い午後1時半から2時間だけフィールドに出る。 草原にジャノメチョウ♀のボロを見る。見かける数は少なく発生末期のもよう。しかしながら敏感でなかなか近寄らせてくれない。 植栽の柑橘類の樹の周囲を緩やかに飛ぶナミアゲハ♀を見る。産卵樹を探しているようだ。 サルトリイバラが生える草原を緩やかに飛ぶルリタテハ♀を見る。こちらも産卵行動であろう。 雑木林の縁のクヌギの葉に止まる新鮮なツマグロヒョウモン♂を見る。 ツマグロヒョウモン以外の大型ヒョウモンはいずれもまだ夏眠中のようであり、ただの1頭も見かけない。〔加古川市〕 

8月28日(晴れ) 台風接近の影響か、湿度が高く北東の風が強い。 午前中は出勤、帰宅後所用を済ませ午後3時半からフィールドに出る。 雑木林の縁の畑に咲くヒャクニチソウにチャバネセセリが多い。ひとつの花に1頭吸蜜しているような状況である。 別の場所のヒャクニチソウではナミアゲハが盛んに吸蜜する。人の気配を警戒しながらも蜜の誘惑は絶ち難いようで花の周囲を離れない。じっくり時間をかけて撮影する。 他の花で新鮮なベニシジミを見る。 畑のあぜのカタバミにヤマトシジミが群れている。 大きなナガサキアゲハ♂が颯爽と飛び回る。 アラカシの葉に止まるムラサキシジミ、ウラギンシジミ♀を見る。ウラギンの前翅表の白紋は小さく、かつスレ気味なので、開翅すると遠目にはナミヒカゲのようである。〔加古川市〕

8月22日(曇りのち晴れ、午後一時雨) 昨日の遠征の疲れが残るが加古川市主催のチョウ観察会の手伝いに早朝から出向く。フィールドでは多くの小中学生に網で採集させてみて、その後実際に展翅させてみる。チョウを殺すことにもっと抵抗するかと思ったが、嬉々として採集・展翅に取り組む姿にすこしホッとする。我々チョウ愛好者として後継者不足が深刻な問題であるが、今日のような取り組みを地道に続けていけば必ず道は開けると確信する。〔加古川市〕

8月21日(晴れ時々曇り:長野県) 今年2回目の長野県遠征。前日の夜から長野入り。昼夜の違いはあれどこんなに気温の差があるとは思わなかった。明け方は20℃を大きく割っていることは明白で、何しろ半そででは肌寒いくらいである。長野県はもう秋の気配。 いつものお決まりのコースを回る。まずは林道を奥深く分け入る。 ササの自生地にゴイシシジミが多い。飛翔中の新鮮な個体はグレーではなくブルーに見えるから不思議である。静止中に時々V字に翅を開く。前翅表に白斑を持つ個体が多いことに気が付く。別のゴイシ発生地ではササ葉の裏のアブラムシの白い塊のすぐ傍に産卵する母チョウを見る。 林道では圧倒的にクロヒカゲ、ヒメキマダラヒカゲが多い。 林道沿いの切り立った崖をフワフワ飛ぶツマジロウラジャノメを見る。明らかにクロヒカゲとは異なる飛び方である。止まるところはいつも崖の中段ばかりで、距離がありすぎてうまく撮影できない。 キク科の黄色い花(キオン?)で吸蜜するギンボシヒョウモン♀を見る。同じ花にはウラギンヒョウモン♂も来ていたが早々に飛び去ったのに対して、このメスは余程この花が気に入ったのかカメラのレンズが触れるくらい近寄っても逃げず。 この林道に入った目的はオオゴマの撮影であったのだが、まったく見ることは出来ず。そう言えばオオゴマ撮影時に多いヒメシジミはただ1頭しかいなくて、オオゴマが好んで吸蜜するクガイソウもすでに花の時期は終わっている状況から、オオゴマも発生の時期は終了したものと思われる。 この林道ではヒヨドリバナは咲き始めているというのに見かけるチョウの数は思ったほど多くない。キベリタテハやクジャク、エルなどもわずかな数を見るのみ。 ミスジチョウ、コミスジ、アサマイチモンジ、オオミスジ、サカハチ、コムラサキ(超ボロ)、ホシミスジ、モンキ、エゾスジグロシロ、スジグロシロ、オオチャバネ、イチモンジセセリ、アサギマダラを見る。このうちオオチャバネは求愛から交尾に至る一連の行動を目撃する。 ケヤマハンノキの茂る谷の下草にミドリシジミ♀が多い。AB型の開翅を撮影する。 林道を下り人里の外れの牛糞集積地で多くのタテハに出遭う。プーンと鼻をつく独特の臭気が漂うなか、キベリタテハ3頭、シータテハ3頭、エルタテハ1頭、エゾスジグロシロ3頭が吸汁していた。キベリはいずれの個体も吸汁に夢中でまったく逃げない。ズボンの膝に牛糞の汁が染み込むのを厭わず、じっくり時間をかけて撮影する。最短で3cmまで寄り、キベリだけでもシャッターを押した数はゆうに100回以上。エルやシーは関西にいないので本来ならこれらの種もじっくり撮影したいところではあるが、ここ数年のいきさつからキベリに出遭うと他は目に入らなくなりキベリのみ撮影に執念を燃やしてしまうのである。 撮影地を移動する。ムモンアカは今年も健在であるが、数は少ない。コナラの樹冠をチラチラと舞い、時には他の個体ともつれる。遠めにもスレているのが判る。数が少ないのは時期的なものなのか、数限りなくある人の踏み跡が示すとおり採集圧を受けたためか判らないがいずれにしろ残念である。シャッターチャンスは一度も無し。 草原にスレのスジグロチャバネセセリ♀を見る。 ダイミョウセセリが活発に飛びのを見る。 ナミジャノメは人の気配に反応して急に飛び出してくる。 アカセセリの占有行動を見る。計3頭がいるようだ。他の個体が近づくとアッという間に飛び立ち、目で追うのも困難なくらいのスピードで追い駆けあう。 いつもこの時期に多い、ホシチャバネセセリ、ヤマキチョウ、スジボソヤマキチョウはただの1頭も出遭わず。 さらに撮影地を移動し、別の林道に入る。林道上部ではキベリ、エル、シー、クジャクといったタテハが多い。コンクリートブロックによる護壁の水の染み出し箇所で吸水するか、テリトリーを張っているかどちらかのようだ。キベリの滑空はいつ見てもすばらしい! キベリやエルのあとを執拗に追うクロヒカゲを見る。クジャクは路上に止まっていることも多いが翅裏が黒いため翅を閉じていると探すのは意外と難しい。ヒヨドリバナやオオイタドリの花で吸蜜するクジャクを見る。 キベリ、エル、クジャク、シーなど関西で見られない種が林道の角を周るごと、コンクリートに張り付いているのを見るとついついうれしくなってしまう。 オナガアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、キタテハ、ヒメウラナミジャノメ、アカタテハ、ヒメアカタテハ、ルリタテハ、ツバメシジミなど、本日出遭った種は40以上。〔長野県〕

8月15日(曇り、夕方から晴れ) 未明の激しい降雨のため今日はそれほど気温が上がらない。 午後からフィールドに出る。まずは久しぶりに花公園へ。 公園の植栽のさまざまな花で吸蜜する非常に多くのイチモンジセセリ、チャバネセセリを見る。 サルビアの一種、ケイトウの一種、キク科の花、スベリヒユの一種など外来種の花に多く集まる。 試しに紫色のサルビアが咲く花壇(6m*1m)で吸蜜している個体数をカウントしてみる。頻繁に花を移動するため正確なカウントは不可能、ザッとであるが160頭が集まっているようだ。10頭に1頭くらいの割合でチャバネセセリが混じるが大半はイチモンジセセリ、他に黒い小さい昼行蛾とハナバチが群れている。 ツマグロヒョウモン♂♀とも多い。求愛行動を目撃する。メスは交尾拒否、地表に止まってオスをやり過ごす体勢をとったところ、諦めきれないオスは地面から20cmの高さでホバリングしながらメスを何とか飛び立たせようと後方から煽るが、結局諦め飛び去る。 ヒメアカタテハ♀は新鮮。紫色のサルビアで盛んに吸蜜する。 キアゲハ♀がパセリの葉に産卵するのを見る。このパセリの株で終齢幼虫を2頭確認。〔加西市〕  撮影場所を移動。 昨年のこの時期、盛んに樹液を出していたアラカシを訪ねる。今年は樹液の出が少ないようだ。従って集まっている虫の種類も数も少ない。わずかにボロのサトキマダラヒカゲを4頭見るのみ。 丘のピークで占有行動中の新鮮なルリタテハ♂を見る。 薄暗い森の中のアラカシの垣根ではムラサキシジミが多い。今年はいたるところで見かける。ムラサキシジミの当り年かもしれない。 クロアゲハ♂、ナガサキアゲハ♂、アオスジアゲハの飛翔を見る。 クスの街路樹のヒコバエにアオスジアゲハの若齢幼虫を見る。〔加古川市〕

8月13日(快晴) 久しぶりに早朝から但馬に向う。ウスイロ成虫時期は気が張っていたためか朝3時起床など苦にならなかったが、今はダメ、気が緩んでしまって5時に起きるのが精一杯。 8時但馬着、まずはカシワ林へ。 下草は露がおり少し歩くとずぶ濡れになる。カシワの樹からオオスレのミズイロオナガが飛び出す。 ハヤシミドリは思ったほどいなくてわずか3頭を確認するのみ。いづれもカシワの葉の茂み奥深くもぐり込んでいる。 草原にダイミョウセセリを見る。強い日差しを避けるためか葉の裏に止まることが多い。 クサギの花で吸蜜するオナガアゲハ♂を見る。 高原の草原を低く飛ぶのはツマグロキチョウ。撮影すべくカメラを構えて近寄ると敏感に反応してすぐ飛び立ってしまう。次に止まるのはススキの奥深くでとても撮影できる場所ではない。“ネットインは極めて簡単!でも撮影は極めて難しい!” 交尾ペアを見る。時々キチョウが混じるが個体の大きさ、飛翔スピードの違いで種の同定は簡単である。 渓谷の陽だまりの中でヒメキマダラセセリ♂の占有行動を見る。同種のオスが近づくとすぐさまスクランブル発進し眼にもとまらぬスピードで追い駆けあう。普通種といえども生き生きとした生態を観察することはとても楽しい。 ヒメキマダラセセリの撮影中に自分の服に何かが飛来し止まったと思えばゴマダラチョウであった。あまり美味しくない汗を感じ取ったのかアッという間に飛び去る。 本日は「兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会」の幼虫調査の日、これが今日の遠征の第一目的である。(*調査結果は後日公開予定) 高原ではルリシジミ、ツバメシジミが活発に飛ぶ。 一ヶ月前に多く見かけた大型ヒョウモン類は稀にしか見かけない。夏眠中であろう。 咲き始めたヒヨドリバナで吸蜜するのはナミジャノメ。 ミズナラの新芽にムラサキシジミが多い。遮るもののない炎天下の草原であっても活発に活動している。 新鮮なギンイチモンジセセリを見る。これまで当但馬地方では年1化発生とされてきたが今日確認の個体は明らかに第2化個体であると思われる。今年だけのことなのか、今まで見過ごされてきたのか分らないが貴重な目撃例であろう。 ミヤマチャバネセセリを見る。私自身3年ぶり2度目のことである。 ヒメアカタテハの滑空飛翔を見る。 各地のクズ自生地ではウラギンシジミが多い。〔村岡町・養父市〕

8月11日(快晴) 朝から夕方まで雲ひとつ無い快晴、暑い一日。 午後からフィールドに出る。 河川敷に咲くアレチハナガサの花で吸蜜するナミアゲハ♂を見る。青空と加古川の水面もバックに入れてうまく撮影できた。 遮るものの無い炎天下の河川敷をはじめあちこちでヤマトシジミの活動が盛ん。当地で見られる暑さに最も強い種であろう。 雑木林の縁の花畑ではベニシジミ、ヒメアカタテハ、イチモンジセセリ、チャバネセセリが多い。ヒメアカタテハはカメラのレンズをまったく気にせず夢中で蜜を吸っていた。イチモンジセセリは白色系の花を、チャバネセセリはピンク系(薄紫系)の花を好むようである。 畑の周囲を飛ぶモンキチョウ、モンシロチョウを見るがこの暑さで動きは緩慢のようす。 雑木林の中の少し開けた空間の地表近くを飛ぶキチョウを見る。 薄暗い雑木林のなかではムラサキシジミが多い。計10頭以上を見る。この時期にしてはめずらしくメスの開翅を目撃する。 暗い環境ではコジャノメ、ナミヒカゲが活発に活動している。 コミスジ♀を暗い林の中の陽だまりで見かける。 雑木林の縁に咲くクサギの花に多くのアゲハがやってくる。まずはクロアゲハ♂、続いてクロアゲハ♀、メスの接近に気がついたオスはただちに吸蜜を止め、求愛行動に移る。背後から迫り追い立たせ空に舞い上がりながら下後方から盛んに求愛する。結局メスにふられたらしくしばらくすると元のクサギの花に戻ってきたが、吸蜜はそっちのけでメスが来ないかとパトロール飛翔を繰り返す。 次にやってきたのはナガサキアゲハ♂、吸蜜中のところをクロアゲハ♂に追い立てられもつれ合いながら両個体とも飛び去る。 雑木林の縁をフワフワ飛ぶナガサキアゲハ♀を見る。目撃したと思ったらアッと言う間に薄暗い林のなかに姿を消す。この時期のナガサキ♀を見かけることが少ない理由は活発に活動しないためであろうと気が付く。 車の運転中に優雅に飛ぶジャコウアゲハ♀を見る。 街路樹のクスノキの樹冠を活発に飛ぶのはアオスジアゲハ。 各地でツマグロヒョウモン♂♀を見る。 夕刻、水田の上を飛ぶヒメジャノメを見る。〔加古川市〕

8月8日(晴れのち曇り:滋賀) 実家に里帰りのついでに滋賀県の最高峰、伊吹山に登る。頂上付近ではすばらしいお花畑が広がる。シモツケソウやクガイソウの仲間、当地特有のアザミなど種類だけでも数十種は下らない数の花を見る。 アザミで吸蜜するのはスジグロシロとオオウラギンスジヒョウモン♂。 クガイソウで吸蜜するのはアカタテハ、ヒメキマダラヒカゲと多くの昼行蛾。 モンキチョウ、モンキアゲハがお花畑の上を活発に飛び回る。 山頂でチラッと見かけた黒いタテハはスミナガシか? いたるところでアサギマダラが優雅に舞う。 黒っぽいアゲハはカラスかミヤマカラスであろう。盛んに求愛行動を繰り返す。 ノリウツギの花で吸蜜するサカハチを見る。 この日一番の目撃はなんと言ってもスジグロチャバネセセリ、吸蜜していた花の種類は同定できず。草原のチョウであることを実感する。 午後からは場所を変えて鈴鹿山中に分け入りキリシマを見に行く。しかしながら唯の1頭も見かけず。時期的なものもあるだろうが、昨冬の徹底的な“根こそぎ採卵”も少なからず影響しているのかもしれない。 新鮮なヤマキマダラヒカゲが多い。路上に転がる何かの動物の糞で盛んに吸汁する。 撮影に集中していたところ、例によって私を目掛けてまっしぐらにヤマビルが近寄ってくる。本当にいまいましいヤツだ! 薄暗い森の中をオナガアゲハ♀が飛ぶのを見る。前翅は薄茶色、まるでジャコウ♀のようである。 ルリシジミ、ウラギンシジミを撮影する。 *あれほど気をつけていたのに、不覚にもヤマビルにやられてしまう。しかも首筋にである。たぶん待機していた樹上から下を通りかかった私に的を絞ってポトリと落ちてきたのであろう。なんだかもぞもぞする首に手を持っていくとコイツが指に絡まった。剥ぎ取って思いっきり踏み潰してやった!ざまあみろ!!〔滋賀県〕

7月24日、25日(24日:晴れのち曇り、夕方から雷雨 25日:曇り、午後は雷を伴った豪雨 長野:北アルプス) 金曜夜から夜行急行で長野県に向う。午前4時、長野在住の友人K氏と合流し、一路北アルプスを目指す。午前5時半から登山開始。長い樹林帯の登山道で見かけるのはクロヒカゲくらいなもの。登り始めたときは快晴だったのに9時過ぎから頂にかすかに雲が出始める。ひたすら登ること5時間、森林限界を超え午前10時半、ようやく稜線に出る。さっそく斜面のお花畑をミヤマモンキが横切る。飛翔は速く撮影できる状況ではない。“高原のお花畑”といえばチョウが群れ飛んでいるイメージがあるが、現実はミヤマモンキが時々姿を見せる以外はまったく何にもいない。しかしながら北アルプスの眺望はすばらしく、ただただ息を飲んで時間が経つのも忘れ見とれてしまう。 新鮮なクジャクチョウを見る。 尾根筋下のガレ場ではコヒオドシがテリトリーを張っている。人の気配に敏感で2mに近づくのがやっと。匍匐前進でようやく撮影する。雲りと晴れ間が交互にやって来る状況下、稜線付近ではミヤマモンキが活発に飛び回る。 今回の遠征の第一目的は“ハイマツ仙人”ことタカネヒカゲの撮影である。いつも多く見られるというポイントを探すが今日はまったく姿を現さない。ときどき飛び出すヒメキマダラヒカゲが紛らわしく、今日はいまいましい存在である。正午過ぎ、曇りの比率が高くなってくる。 ポイントを移動する。 ようやくタカネヒカゲが飛び出す。地表1m〜3mの高さを直線的に飛び、一度飛び立つと50mくらい移動する。この種も人の気配に敏感で近寄れない。撮影する間もなく、実にあっけなく1頭目はハイマツの彼方に消える。続いて2頭目が現われる。今度は見失わないように充分注意する。窪地のコケの上に舞い降りるのを確認。慎重に近寄ったところ、せわしなく地表を歩き回っていた。しばらくして動か無くなったと思ったら、地面に体を横倒しにして陽光を効率よく当てる姿勢をとる。オスかメスかよく判らないが、ボロ個体であることは確か。翅の色が周囲に同調してしまい、すばらしい保護色の効果を示す。カメラのモニター越しでは探すのも一苦労。真上から地面に寝ている姿を撮影するが構図の完成度は極めて低く、ロクな写真にならないことは撮影中にもなんとなく判ってしまう。カメラを変え50cmまで寄ったところまたしても逃げられてしまう。 午後1時、全面的に曇り空となる。タカネヒカゲはもう飛び出しそうにないのでミヤマモンキの撮影に切り替える。ハイマツに囲まれた斜面のお花畑にハクサンフウロの花で吸蜜する欠けメスをじっくり時間をかけて撮影する。オスは曇り空でも活発に飛び回り、食草のクロマメノキの周囲を低く飛ぶ。たぶん探雌行動であろう。ユリの赤い花粉を翅裏に付けた新鮮なメスも撮影する。さらに雲が厚くなった午後2時、こちらも本日の活動を切り上げ、山小屋に入る。3時過ぎから雷を伴った夕立となる。 25日、朝3時半起床、6時過ぎからフィールドに出る。朝から雲が厚く、おまけにときどきガスがかかる。7時前からハイマツの生え際を中心にタカネヒカゲが潜んでいないか丹念に見て回るがまったくいない。早々に今日もミヤマモンキの撮影に切り替える。昨日の欠けメスはまだ同じところにいた。気温が低く、ガスがかかるなかではオスもまったく飛べない。狭い範囲にオス、メス合わせて5〜6頭を見る。思う存分撮影する。例外なくどの個体も太陽の光を待ち望むように体を倒している。 11時になっても晴れ間はやってこない。“これでは仕方なし!”早い昼食後下山しようということで友人と意見がまとまる。カレーを食っていたそのとき、突然雲が切れ日が差し込む。カレーはそのままにカメラを手にガレ場に急ぐ。晴れ間の時間はわずかに5分、ミヤマモンキやコヒオドシは太陽を待っていたかのように出てくるがタカネヒカゲは姿を見せず。失意のうちに冷めた残りのカレーを腹に押し込み、12時から下山を始める。下山を開始して10分後、またまた晴れ間が広がる。どうしようか迷ったが、ここまで来て悔いを残してはならじ、と下山する友人とはひとまず別れ、我ひとり再び稜線を目指す。12時半、タカネヒカゲ一本に絞って探すが出てこない。午後1時ようやく諦める決心がついたそのとき、目の前をタカネヒカゲが横切る。1回目の着地はハイマツの下枝でおなじみの体を倒したポーズ、とりあえず撮影。2回目の着地場所は特定できず、この当りかと近寄ったら再び飛び立つ。3回目の着地はハイマツの葉の上、撮影成功!4回目の着地は高地性イタドリ(?)の花、吸蜜を始めたが足場が悪いのか蜜が少なかったのかわからないがすぐに飛び立つ。5回目、ハイマツの葉の上で翅を広げるが撮影は失敗。そのあとはハイマツの向こうに飛んでいった。この間、たぶん10分くらいであろう。 1時過ぎ、最後に訪れたチャンスをモノにし、達成感に浸りながら、夢見ごこちで下山の途につく。2時頃から雲が厚くなりポツポツと雨が落ちてくる。2時半、つい先ほどまで撮影していた稜線付近に大音響とともに頻繁に雷が落ちる。山はすばらしいが恐ろしいところでもあった!山頂付近でモンシロチョウを見る。〔長野県〕

7月19日(曇り時々晴れ:三重県側鈴鹿山脈) 梅雨明けが早かったためすでにキリシマ適期の情報を得て早朝から三重県側鈴鹿山脈山中に向う。9時に到着するが撮影ポイントを間違え1時間半に渡って渓谷を徘徊することになる。河原でヘビを踏みそうになるが、よくよく見ればマムシ!クワバラクワバラ・・で、すぐ横に別のヘビ、どうやらアオダイショウの小型個体のようだ。冷静に避けたその横にまたもやマムシ!!どないなってるんや!この沢は!沢に止まっていたらしいキリシマ♂が飛び立つ。すぐ止まりそうで止まらなくて沢の奥に消えるのを歯軋りしながら見送るのみ。10時半ようやくポイントを探し当てる。多くのオスが飛び回っている。最多で4頭の追尾飛翔をを見る。これほどの多くの乱舞を見るのは久しぶりである。おまけに採集者は誰もいない。翅裏の白と翅表の金黄緑をパッシングさせながらすばらしいスピードで音も無く渓谷を飛び交う姿はまさに「美の極致」である。キリシマの飛翔を久しぶりにじっくり観察、堪能する。静止する場所は沢に張り出した葉先が多い。静止姿勢は半開翅かベタッとした全開翅。今日は個体数が多いため自分の縄張りに入った他の♂を追尾して頻繁にスクランブル発進してしまい、一箇所での静止時間は長くても1分以内である。静止位置にはこだわらず元の位置に戻ることは少ない。スクランブルをかけるタイミングは2m以内の接近がひとつのきっかけとなっているようだ。下方、上方どちらからの接近に対して素早く反応するのかの見極めてやろうと試みるがあまり差はないようだ(複眼だから当り前か!)。 テリトリーを張る個体よりもアカガシの樹冠を飛び回る個体の方が圧倒的に目に付く。樹冠を丁寧に、それこそ舐めるように飛ぶ。ときには樹の下の薄暗い箇所の枝まで入り込む。明らかにメスを探しているような飛び方である。飛びそのものは基本的にジグザグでどちらに方向転換するのか予想できない(*こうしてじっくり観察してみると飛翔中の個体を網で採る難しさがよく解る)。卍は瞬間的ですぐに追尾飛翔になる(*過去、延々繰り返される卍を目撃したことがあるが今日は出遭わず)。追尾方向は横方向が圧倒的、たまに上方向が混じる。 撮影に関しては、時間的なものも関係するが活発に活動しているときは人の気配に敏感で2mに近づくのがやっとである。クローズアップを狙うのであれば別の時間帯や雨天しかないであろう。本日はメスには出遭わず。 トラフシジミ、クロコノマチョウ、ヒメキマダラセセリを見る。〔三重県某所〕

7月18日(曇り) 今日は一日休養しようと思っていたが子供にせがまれ急遽クワガタ捕りに行くハメに。昼前からフィールドに出る。急斜面に広がるクヌギの雑木林は人の踏み跡だらけ、ふもとのキャンプ場はイモを洗うように人間が群れている。これではいないだろうな、と思いつつ幸運にもミヤマ♀、コクワ♀をGET。 雑木林の中でクロコノマを見る。蚊に刺されながらの撮影となる。 キャンプ場脇の草地でコミスジ、ウラギンシジミ、イチモンジセセリを見る。〔夢前町〕 車で移動中、後翅白紋も鮮やかなナガサキアゲハ♀がフワフワ飛ぶのを見る。〔加古川市〕

7月17日(晴れのち曇り、そのあと夕立:但馬) 朝7時半からウスイロヒョウモンモドキの生態調査・採集者監視に入る。西よりの風が強く活発に飛ぶチョウは少ない。 コキマダラセセリは今が盛期、オス・メスとも風が弱くなると盛んに飛び回る。多くの個体を見るが、求愛行動はたったの一回、交尾は目撃せず。 ウラギンヒョウモン♂は破損が激しい。 イチモンジセセリを見る。9月に低地の水田で見かける個体より翅裏は白っぽい。 新鮮なツバメシジミを見る。気合を入れて撮影する。 新鮮なモンキチョウをたびたび見かける。1週間前では現われていなかった。 シシウドの花に多くのキアゲハ若齢幼虫を見る。ひとつの花に最多9頭を見る。 草原を飛ぶ青いシジミはルリシジミか? ギンイチモンジらしき個体を見るがススキの向こうに消えたため確認出来ず。 ツマグロキチョウが多い。こんなに多いのは3年ぶりか? 今日の草原は風が強く観察撮影には適さないので早々に移動する。 ゼフシーズンになって初めて三川山に登る。この時期なら採集者はいないだろうとの思惑通り誰もいない、とりあえずシメシメである。狙いはヒサマツ♀、いつも♂が集まる森の下草を見て回るが飛び出さない。ただ一度だけ地面に止まっていたゼフ♀(たぶんアイノ♀、ひょっとしたらヒサマツ♀か?)があっという間に樹冠に消えた。 林道脇に咲くオカトラノオでミドリヒョウモン♂、イチモンジセセリ♂、チャバネセセリ♂を見る。 ホソバセセリ初見、この種は低地でも高地でも局地的にしかいない。 林道で吸水するサカハチを見る。撮影のため接近するが最初は逃げてばかり、根気良く繰り返すうちに注意を払わなくなり、試しに指を差し出したところ盛んに吸い始めた。余程美味だったのか以降ずっと吸っていた。あまりにシツコイので追い払ったところ今度は首に止まりまたもや吸い始めた。フィールドに出る前にスキンガードをたっぷり撒布していたのにもかかわらずである。 ホトトギス(植物)にルリタテハ終齢幼虫を見る。大きくて立派な“針毛虫”、体を丸めて蛹化の準備を進めていた。 ヒサマツ♀を狙ってポイントを移動する。残念ながらここでも見かけず。 ピークではキアゲハ♂、ツマグロヒョウモン♂が占有行動中。縄張りをパトロールするモンキアゲハ、カラスアゲハを見る。新鮮なテング、ヒメキマダラヒカゲ、ナミジャノメを見る。〔但馬各地〕  

7月11日(早朝は雨、のち曇り:但馬 晴れ時々曇り:播磨) 昨日はハチ高原にて宿泊、早朝から採集者監視を行なう。メンバーによれば昨日午後も採集を目論む尾張小牧ナンバーの不心得者(?)が現地をうろついていたとのこと、夜明けから気を引き締めてパトロールする。(*不審者の車のナンバーは地元住民の協力を得てすべてひかえていることをこの際明らかにしておく) 所用のため早々に但馬を引き揚げる。〔養父市〕  所用を済ませたのち午後からオオムラサキの撮影目的で西播磨に向う。“樹液食堂”を巡るがただの1頭もいない。代わりにいたのが新鮮なキマダラモドキ♀。〔上郡町〕 木陰の水溜りで吸水するウラギンンシジミ♂、コチャバネセセリを見る。〔上月町〕  市街地も飛ぶナガサキアゲハ、クロアゲハ、ナミアゲハを見る。〔加古川市〕

7月10日(曇り→雨→曇り→晴れ→曇り→土砂降り→曇り→小雨→晴れ:但馬) 朝3時起床で但馬に向う。雨が降りしきる中、5時半からウスイロヒョウモンモドキ生態調査及び採集者の監視のため山に入る。 草原でキマダラヒカゲを見る。ヤマかと思えばサトであった。 コキマダラセセリ多い。♂も♀も少雨のなかでも活発に飛び回る。アザミで吸蜜したり葉の上で休むパターンが多い。本日は求愛・交尾には出遭わず。 フワフワ飛ぶアサギマダラを見る。計2頭目撃。 咲き始めたヒヨドリバナに飛来したかと思うとまだ充分に開花していないのに気が付いたのか、アッという間に飛び去るアカタテハを見る。 大破キアゲハが草原を緩やかに飛ぶ。シシウドの新葉にキアゲハ3齢幼虫を見る。 ウツボグサの群落ではどこでもスジグロシロチョウが多い。通常、暗い環境のチョウのイメージだが、ここでは草原の明るい環境にも進出している。 アザミに来ていたのはウラギンヒョウモン、オオチャバネセセリ、イチモンジセセリ。ヒヨドリバナに来ていたのはオオウラギンスジヒョウモン、ミドリヒョウモン。種によって好みの花は決まっているようだ。 オオウラギンスジにしてもウラギンにしてもオスに比べてメスは大きく黒く、とにかく貫禄がある。 背の高いササが茂る箇所でクロヒカゲを見る。この種は明るい草原には決して進出してこないようだ。 ボロ・カケのサカハチ夏型を見る。 ミズナラの新芽にムラサキシジミが集まっている。 高原の草原で同行の友人がスジグロチャバネセセリ♂を確認(撮影)、とりあえず兵庫県下確認112種目としておこう。 ウスイロ生息地での調査・監視は他のメンバーに任せゼフ撮影に向かう。ハヤシミドリ生息地のカシワ林に到着したかと思えば、空には真っ黒な雨雲が広がりアッという間に土砂降りとなる。仕方がないので車にこもり本日撮影分写真の選択・廃棄&仮眠タイムとなる。1時間後突然雲が切れ強い日差しが照りつけるを見て慌てて車外に飛び出す。下草はまったく乾いていないので草原に入ると下半身はズブ濡れ状態。下草を丹念に見ていくと予想通りというか期待通り、ハヤシミドリ♂が翅を広げていた。わずか数分の間に数カット撮影する。メスはカシワの葉が密集している枝の奥まったところに頭を下に止まっている。いつもこの姿勢である。30分後またもや雨が落ちてくる。車で30分の待機のあと小降りになったのを見計らって撮影を再開する。ミズイロオナガ、ベニシジミを見る。〔但馬各地〕 

*ウスイロヒョウモンモドキ採集禁止のお願いの看板の余白に「ミズナラの植栽を禁止せよ!環境を守るのが第一!!」との落書きが記されているのを確認した。採集禁止措置への抗議の意なのか、まったく逆なのか、イマイチよく解らない。いずれにしろ、今の私の気持ちを率直に言わせていただけるなら「そんなことは百も承知!大きなお世話である!!めめしく落書きで自分の意見を主張するのではなく、チョウ愛好者なら堂々と意見をよこしてほしい」といったところである。**ミズナラ・ブナの植栽の是非(現状や今後の見通し含む)、植栽と下草刈りの関係、火入れとの関連、などは後日「HELPウスイロ・・」コーナーで報告いたします。

7月4日(晴れのち曇り) 天気は良いが風が強い。尾根筋では風速20m/秒を越えていたかもしれない。 兵庫県豊岡農林振興事務所と兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会の共同開催で行なわれたウスイロモドキ成虫の観察会に参加する。 フィールドに出る前に森林保全活動やウスイロモドキの生態をパワーポイントで説明いただく。 参加いただいた保全ネットワークの方から、ヒョウモンモドキ・ウスイロヒョウモンモドキの“密漁”を行なっている不届き者のリストアップはかなり進んでいる、目にあまる場合は何らかの形で公表するか、法的手段に訴えることも考慮中とのこと、個人的には大賛成である。【*3日朝8時10分に遭遇した2人組、顔はしっかりと覚えているぞ!覚悟しておけよ!!】 フィールドでは強風下、ウラギンヒョウモン♂♀、キアゲハ、ムラサキシジミ、コキマダラセセリ、サトキマダラヒカゲ、テング、コミスジを見る。麓の雑木林の縁ではスジグロシロ、ベニシジミ、ツバメシジミを確認。 ミズナラの幼木の新芽で産卵するムラサキシジミを見る。〔養父市・美方町〕 

7月3日(曇りのち晴れ) 先週に引き続き早朝からウスイロヒョウモンモドキの生態調査、採集者排除活動を行なう。アザミの花で吸蜜するウラギンヒョウモン♂を見る。 ギンイチモンンジセセリは姿を消し、代わってコキマダラセセリ♂を見る。イタドリの葉の上ではねを休めていたかと思うと、猛スピードで飛び出しアザミの花に移動する。すばらしい飛翔能力、すばらしいオレンジの色合い、すばらしい大きさ、個人的に言えば、この種が大のお気に入りである。 先週に続きムラサキシジミが多い。 尾根筋にキアゲハ♂が飛び回る。ときにアザミで吸蜜するが基本的には縄張り確保のためのパトロール飛翔のようすである。 午前中で高原を離れゼフ撮影に向う。完璧な事前情報と万全な撮影機材で望む。(今日は脚立やロープまで用意した)期待通りヒサマツ♂がテリを張っていた。しかも3頭いる。距離5mに止まる個体は比較的新鮮、しかしいかんせん遠すぎる。距離3mの個体は大スレなのが遠目でもよく判る。贅沢は言っていられないので必至に撮影する。たった一度のみ1mの近さに止まる。ここぞとばかり夢中でシャッターを押す。ヒサマツ特有の卍飛翔を見る。占有行動中は同種のオスばかりでなく、カラスアゲハ、トンボ、ハエなどにも反応し盛んにスクランブル発進を繰り返す。占有行動中は翅を広げていることが多い。陽光の当る角度で翅表緑色は微妙に色を変える。標本で見慣れた黄緑金色に耀くのは後ろから見る場合のみのようだ。クリソゼフならではのすばらしいスピード、極めて小さい卍を作る飛翔能力の高さを3時間に渡って堪能する。おまけにただのひとりも採集者に出会わなかった。撮影はいつもこうでありたい! ボロのフジミドリ♀を見る。 トラフシジミ夏型を見る。 ウラナミシジミ♂初見、ピークでテリを張り、はるか上空まで追い駆けあう。 オカトラノオで吸蜜するスジグロシロ、オオウラギンスジヒョウモン♂を見る。〔但馬各地〕

6月26日(雨時々曇りin但馬).6月27日(午前:雨in但馬) この二日間、悪天候のなか、ウスイロヒョウモンモドキ調査および採集者監視活動を行なう。26日に出遭ったチョウは次のとおり。 草原で一番多かったのはムラサキシジミ。ここのムラサキはコナラやミズナラの新芽を食べているようである。 ウラギンヒョウモンは少々の雨風なら活発に飛び回る。いずれの個体も新鮮。オスばかりが目に付く。アザミの花で吸蜜するのを見る。 ギンイチモンジセセリはスレ個体。人が近づくとススキのなかをヨタヨタと逃げる。ひとたび飛び立つとなかなか止まらない。 草原下部の潅木が混じるあたりでミスジチョウを見る。まだ兵庫県内ではまともな写真が撮れていない種なので慎重に近寄るが、残念、逃げられる。 新鮮なヒオドシチョウを見る。深い赤色の鮮やかに間欠開翅を繰り返す。 アカタテハ、ヒメアカタテハを見る。 山の頂上ではキアゲハ♂が占有行動中、同種ばかりでなく通りかかるチョウすべてに対して見境なく追いまわす。 オオチャバネセセリは新鮮、しかもとても大きな個体。たぶんメスであろう。 この時期いつも出遭うコキマダラセセリは一度も見かけず。 大型ヒョウモンの一種らしい終齢幼虫を見る。見事な黒色針毛虫である。たぶんオオウラギンスジヒョウモンであろう。 雨の中をツマグロキチョウが弱弱しく飛び出すがすぐ葉に止まる。後翅裏面に現われる褐色の筋も薄く、一見キチョウの矮小個体のようである。 コナラの幼木からアカシジミが飛び出す。産卵行動中のメスかもしれない。 雨の中、ハルニレの大木の高枝を叩くとカラスシジミが落ちてきた。ややスレぎみ。滴り落ちる雨のしずくや湿気によるレンズの曇りを気にしながら撮影する。数分もすると雨の中でも飛び立ち、樹冠にもどっていく。 夕刻遅い時間に雨とガスの中、高原のカシワ林の様子を確認に行く。すでに活動を終えて葉に休むハヤシミドリを見る。オス・メスとも新鮮。 その他カシワ林で見かけたのはミズイロオナガのみ。ガスがかかるとレンズは曇り、光量が少ないため低速シャッターしか切れず撮影には最悪の状況となる。〔養父市、美方町、村岡町〕

6月23日(晴れ時々曇り) 南の湿った風が入り蒸し暑い。出張途中、新幹線の新神戸駅ホームからシジミチョウの卍飛翔を見る。午前11時、異種のシジミチョウが卍飛翔&追い駆けあう。個人的独断になるがウラギンシジミ♂&オオミドリ♂と見た。新幹線ホームからゼフが見られるのはたぶん新神戸駅だけであろう。〔神戸市〕

6月20日(曇り時々晴れ) 昨日の疲れと今朝の天気予報から今日は一日休養日にしようと思ったが、10時過ぎから晴れ間が広がる。家事を適当に済ませ急いで午後からフィールドに出る。西播磨の岡山県境に向うにつれ雲が厚くなり今にも雨が降り出しそうな空模様、しかも風が強く、こんな日は撮影に向かない。 ナラガシワを叩いてみるが飛び出すのはウスイロオナガとウラナミアカばかり。このポイントでは今年はウスイロオナガの比率が高い。 ウラジロミドリやヒロオビミドリもいるようだが樹冠に消えるばかりで種・性別の確認が出来ない。 地上3mのナラガシワの枝から大きなタテハが飛び出しあっという間に消える。大きさや飛び方から判断するに、たぶんオオムラサキ♂であろう。 ヒロオビがいつもテリトリーを張る空間をチェックするために移動する。案の定、飛び回っていた。地上8mから15m、ナラガシワの大木に囲まれた空間をすばらしいスピードで追い駆けあう。卍になることは少ない。昨日見たアイノミドリの追尾飛翔とは明らかに違う。試しに3頭ネットインして確認してみると、すべて大スレで見るも無惨に鱗粉は剥げ落ちている。メスに比べてオスは一回り小さく、前翅は尖っている。ネット越しでも翅表の金黄緑色が美しく耀く。 栗林の下草の笹に産卵するオオチャバネセセリを見る。この種は全国的に急激に数を減らしているらしいが、今日見かけたセセリはすべてオオチャバネであった。〔上月町〕

6月19日(但馬:晴れのち曇り、播磨:夕刻、曇りのち雨) 朝4時起床、6時半但馬着。晴れ間が広がるが風が強い。 ハルニレの高枝を叩くとカラスシジミが飛び出す。風がなければ露に濡れた体は上手く飛ぶことができず落ちてくるところだが、今日は高所を元気に飛び回る。従って個体の鮮度は確認出来ず。 スキー場の草原にモンキチョウが多い。時々ウラギンヒョウモン♂が飛ぶがこちらは数が少ない。 撮影地を移動する。ミズナラの森の中でムラサキシジミ♂の開翅を見る。この時期の開翅はめずらしい。森の中で圧倒的に多いのがヒメキマダラヒカゲとクロヒカゲである。それこそ無数にいる感じ。 一度ヤマキマダラヒカゲ♀らしき姿を見るが同定できず。 標高900mのピークにオオミドリ♂が集まる。新鮮。風が強いため占有行動は見られず。 ようやく咲き始めた高標高地のウツギの花にサカハチを見る。ほとんどが大ボロの春型だが、1頭のみ新鮮な夏型が混じる。 路上で吸水するコムラサキ♂を見る。 谷あいに咲くウツボグサやニガナの花にスジグロシロチョウが集まる。飛翔は緩やか。 深い渓谷にアイノミドリ♂の占有行動を見る。差し込む朝日にキラキラ耀きながら卍飛翔や追尾飛翔を繰り返す。何度見ても見飽きないすばらしい光景である。ときにはジョウザンミドリが混じるようだが確認出来ず。 しかしながら今年は数が少ない。多い年の1/3から1/5くらいしか見かけない。このポイントではせいぜい5頭しかいないようだ。 渓谷を移動し1時間後の10時に再びもどったところ、一日の活動の終わりらしく沢沿いを低く緩やかにチラチラ飛ぶアイノ♂を見る。しばらくすると岩に止まり表面に生えるコケから吸水をはじめる。数分後近くの葉の上で翅を広げたあと、あっという間に飛び去る。何とか2カット、開翅を撮影する。 アイノがテリを張るポイントの300m上流でエゾミドリ♂を見る。こちらも占有行動中。 アカシジミを各地で見る。例外なくすべてスレ個体。 林道で翅を広げるルリタテハを見る。 同じく林道上でミドリヒョウの求愛行動を見る。いやがるメスをしつこく追いまわしたあげく飛び立たせ、後方から盛んに迫る。 カラムシの葉の上を緩やかに滑空しながら飛ぶのはアカタテハ、産卵行動かもしれない。 林道をフワフワ飛ぶアサギマダラ♂を見る。本日は計3回目撃する。 アイノミドリとまったく同じところでテリを張っていたのはヒメキマダラセセリ。 イチモンジチョウ、アサマイチモンジ、コミスジ、テング多い。いたるところで見かける。 キアゲハ♀の産卵行動を見る。 高原のカシワ林に羽化したばかりと思われる新鮮なミズイロオナガを見る。カシワの葉の表面に付く汁を吸っていた。 林道でたたずむノウサギを見る。その距離30m、耳を傍だたせながら草を食んでいた。〔村岡町〕 スキー場の草原にギンイチモンジセセリを見る。翅裏はすでにスレている。〔養父市〕 但馬からの帰り道、急に思い立ってミドリシジミの撮影ため寄り道する。小雨のなか、オスは盛んに占有行動を繰り返す。あいにく曇天・雨天のため開翅するそぶりは見せない。メスの産卵行動を見る。5mm程度の太さの枝の下部に腹を押し付け卵を産みつけたかに見えたが結局ポーズだけであった。 ジャノメチョウ♂初見。〔加古川市〕

6月13日(快晴) 昨日の遠征の疲れが残るが、早朝から西播磨へ向う。6時30分現地着。朝日は強く差し込むが下草はまだ露に濡れている。気温は20℃まで達していない。試しにナラガシワを叩いてみると白いゼフがパラパラと降りてくる(=落ちてくる)。気温が低いためまだ活発に飛べないようだ。下草に止まったところを確認すると、ウラジロミドリとウスイロオナガである。ウラジロミドリ♂はしばらくすると翅を広げるが残念ながらどれもスレ個体。10分ほど翅を広げたあと、体が温まったのか、次々と樹冠に舞い上がっていく。種を問わずゼフ♂の開翅シーンをモニターに捉えることが出来ると心が踊る。ウラジロ♀の開翅も撮影成功。 ウスイロオナガは翅を開くことはない。どの個体の翅裏もややスレている。 今日はヒロオビには出遭わず。早朝しか行っていない関係もあるが今年はまだ一度も見ていない。このポイントでは今年は少ないのかもしれない。 ウラナミアカ、オオチャバネセセリを見る。〔上月町〕 9時半に一旦帰宅、所用を済ませ午後から再びフィールドに出る。播磨奥地の山地にメスアカミドリのテリ張りを探すが見事空振りとなる。新規ポイントの開拓はこれの繰り返し。 オオミドリ♀らしきゼフがクリの花で吸蜜していたが種の同定出来ず。 ヒメキマダラセセリ♂3頭の占有行動、追い駆けあいを見る。 新鮮はテング多い。〔安富町〕

6月12日(曇り時々雨) 台風一過、西へ遠征の一日。 ヒョウモンモドキ保護の会の了解を得て、生態撮影のため“朝2番”の新幹線で広島に向う。9時半現地着。小雨が降る中、多くの個体が下草ではねを休めたり、ノアザミの花で吸蜜しているのを見る。食草である湿地に生えるキセルアザミを初めて見る。地主の話によれば、休耕田の状態が長く、樹木も侵入していたのを切り払い、ヒョウモンモドキの棲みやすい環境に整備したところ一気に数を増したとのこと。求愛、交尾、交尾拒否、産卵行動、などの生態を観察する。成虫だけでなく羽化直前の蛹やすでにキセルアザミの葉の裏に産みつけられた200〜300もの卵塊を見る。また成虫の翅表の個体変異も多く、さまざまなバリエーションを堪能する。ヒョウモンモドキに混じり新鮮なウラギンヒョウモンも吸蜜に訪れる。尚、当生息地は採集者の侵入を防ぐため24時間の監視が行なわれているとのこと。ここを含めすべての生息地は私有地であり、無断で侵入する者に対しては法的措置を講ずる場合あるとのことである。また地元有志により定期的に巡回監視がされていて、特に他府県ナンバーの車に対しては厳重なフォローがなされているとのことである。地元の皆さんの懸命な努力を踏みにじる行為は犯罪以外の何ものでもないと実感する。 かつてヒョウモンモドキが生息しながら採集圧で絶滅した山間部の湿原にヒメヒカゲ、ハッチョウトンボを見る。やはりというかここでも採集者の姿を見かけ、腹立たしいというより何か悲しくなる。〔広島県世羅・加茂台地〕

6月6日(雨のち曇り・午後から時々晴れ) 朝起きれば窓の外は雨・・、でもこの時期家でじっとしているわけにはいかない!雨合羽、長靴他万全の雨準備を整え早朝からフィールドに出る。 午前8時過ぎ、雨は小降りになったとはいえ依然降り続く。しっとり濡れたナラガシワの葉にウラナミアカシジミを見る。新鮮。雨に打たれじっとしている。カメラのレンズを近づけても逃げない、気温が低いため活動できず逃げられないのかもしれない。 同じ樹にウラジロミドリ♂を見る。これまた新鮮。これも逃げないだろうとタカをくくっていたところ、2カット撮影後あっという間に樹冠へ飛び去る。油断禁物! ミズイロオナガかウスイロオナガらしき個体を見るがネットを持っていないため確認出来ず。 クリ林の林床近くを飛ぶキマダラモドキを見る。♂♀とも確認。出始めらしく両方とも新鮮。 同じ林床ではクロヒカゲ、ナミヒカゲが圧倒的に多い。 ナラガシワの大木の“樹液食堂”に集まるのはクロヒカゲ、ヒメジャノメ、オオスズメバチ、それとノコギリクワガタ♂♀のペア。 ナラガシワ林の下でササユリの花を見る。〔上月町〕 

6月5日(快晴) 待ちに待った週末。朝3時起床、3時半自宅発、但馬着5時半。狙うは新鮮なフジミドリ♂。現地では気温は低く肌寒い。しかも強風が吹き荒れている。絶好の条件がそろうなか、はやる心を抑え、下枝・下草に止まっていないか注意深く広範囲に探すが残念!1頭も見つからず。出てくるのはややスレぎみのアカシジミがポツポツ現われる程度である。 下枝に止まるウラクロシジミ♂を見る。4年ぶりの撮影となるが、超クローズアップは逃げられて失敗。 アザミで吸蜜するモンキチョウ♂♀を見る。吸蜜中の♂に♀が近づくと♂はすぐ吸蜜を中止し求愛行動に移る。交尾には至らず。モンキチョウ♀のシロツメグサへの産卵を見る。 イチモンジチョウ多い。スレ・カケ個体が多い。 ヒメキマダラヒカゲ♂を見る。森の中の陽だまり、下枝の先端で占有行動を見せる。翅を閉じた姿勢での待機である。 薄暗い森の中ではコジャノメ、クロヒカゲが活発に飛び回る。 風に流されるように飛ぶミスジチョウを見る。個体の大きさからたぶん♀であろう。 見かけるテングはすべて新鮮。 アザミで吸蜜するイチモンジセセリを見る。 クモガタヒョウモン♂の素早い飛翔を見る。 ニガナの花にはスジグロシロが多い。 明るい開けた空間ではモンキアゲハ、カラスアゲハ、キアゲハ、アオスジアゲハが活発に飛び回る。 その他の確認種は、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ、ヒメキマダラセセリ、アカタテハ、コミスジ、モンシロといったところ。 フジミドリの結果は、正午過ぎにブナの樹冠を飛ぶ♂を数回目撃するのみ。発生時期初期なのか、今年は発生数が少ないのか、判断がつきかねる。〔城崎町〕 途中仮眠を取り但馬から播磨に戻る。 陽が傾いた頃、ハンノキの低木に多くのチョウが舞う。すべてミドリシジミと思いきやさにあらず。トラフシジミ(夏型)、ナミヒカゲ、ミドリシジミと個体の大きさが違う3種が同密度で卍飛翔・追尾飛翔を繰り返す。卍になるのはミドリだけかもしれないが・・。ミドリ♂の開翅個体を探すが今日は出遭わず。〔加古川市〕  キマダラルリツバメ♂の占有行動を見る。テリトリーを張る位置は地上2.5m〜3m。ひとたびもつれると1分程度追い駆けあう。卍はゼフのような小さな“石臼スリ”型ではなく、2頭が等間隔の状態で大きく螺旋状にうねるように飛ぶ。追尾飛翔の時間も長い。追尾する空間の大きさは地上5m〜20m、横方向の移動距離は最大30mといったところか。黒と白(黄色ではなく)のパッシングのすばらしいスピードで飛び回る姿にただただ見とれるのみ。青空をバックに夕日を浴びるアングルで撮影する。今日は開翅シーンには出遭わず。〔播磨地方某所〕 

6月4日(快晴) 真夏のような一日。 午前11時、都会の市街地の真ん中でムラサキツバメ♀を見る。〔神戸市〕

5月30日(午前:曇り 午後:曇りのち晴れ) 雨の予報は外れたが、蒸し暑い一日となる。溜まった所用を午前中に済ませ午後からフィールドに出る。 本日の撮影目的種に早々に遭遇。ナラガシワとコナラが混じる林の下草にミズイロオナガシジミを4頭見る。初見&新鮮。 撮影地を移動。雑木林の縁の薄暗い小道を歩いているとウラゴマダラシジミが飛び出す。 ヤモノイモの葉に止まるダイミョウセセリを見る。 農場のなかの水溜りで吸水していたのは新鮮なテング約10頭、ルリシジミ、ウラギンシジミ各1頭である。 クレソン(オランダカラシ)の白い花に多くの虫が集まる。モンキ、モンシロは数頭づつ、他にヒメアカタテハ、スジグロシロチョウが吸蜜する。スジグロシロは加古川市内では初確認種。 雑木林の縁にアサマイチモンジ、コミスジが多い。 アラカシに止まるムラサキシジミを見る。 アザミで吸蜜するスレのチャバネセセリを見る。初見。〔加古川市〕

5月29日(曇り時々小雨) 午前中は仕事、帰宅後小雨がパラつくなか、フィールドに出る。まずヒメヒカゲの観察から。ヒメヒカゲは数を増している。メスも多く混じる。羽化したばかりのメスも多い。羽化直後の体液を滴らせながらヨタヨタ飛び出す。当然のことながら着地も下手である。どのメスも新鮮ですばらしく美しい。今日はメスを集中的に、美しい個体、変わった斑紋の個体を選んで撮影する。交尾ペアを目撃、突然足元から飛び出した。オスはぶら下がったままメスのみの飛翔で短距離を飛ぶ。ほぼ連続した生息地であっても草丈の低い(明るい)草原と潅木の混じるやや暗い草原ではヒメヒカゲの発生時期がズレている。明るい草原では発生が早く、やや暗いところでは遅い。一週間から10日くらいズレていると思われる。 ウラナミジャノメ初見。一箇所で4〜5頭目撃したので数日前から現われているもよう。ヒメヒカゲ♀とほぼ同じ大きさであるが、色の違い、飛び方の違いで遠くからでも一見して判別できる。止まるところは下草奥深くや小枝の根元などが多く、撮影しやすいポジションには止まってくれない。 この草原のもうひとつの主役であるウラギンスジヒョウモンもすでに現われている。ササの葉で翅を開いて休む新鮮なオスを見る。聞くところに寄れば近年全国的に激減しているとのこと、確かに出遭うのはヒメヒカゲ生息地ばかりである。 ミドリシジミ初見、これまで一番早い確認である。当然オス。 ナミアゲハ第2化個体を見る。 クヌギの樹液染み出し箇所でカブトムシ♀を見る。あまりに早い出現に驚く。〔加古川市〕

5月28日(曇り) 仕事帰りの夕刻、ウラキンシジミ生息地を訪ねるが姿を見せず。この時間帯はサトキマダラヒカゲやクロヒカゲ、ナミヒカゲの天下である。超ボロのルリタテハを見る。〔西脇市〕

5月27日(晴れ時々曇り) 有給休暇を取ってこの時期恒例のベニモンカラスの撮影に岡山県に向う。 9時現地着、時々雲がかかるがまずまずの天気、気温は20℃を超えている。早々に3頭が活発に飛びまわるのを見る。残念ながら3頭とも破損・スレばかり。中には尾状突起周辺が大きく失われている個体も混じる。空間に張り出した葉に止まり盛んに占有行動を見せる。他の個体が近づくと敏感に反応し、すぐに追尾する。追尾飛翔は水平方向の追い駆けあいより、卍状態で少しずつ上方向へ舞い上がっていく場合が多い。時には3頭がもつれるが長くは続かない。占有する場所(葉)にはかなり固執し、何度も同じ場所に戻る。舞い降りた時の姿勢にこだわらず、葉の上では盛んに歩行し位置を変える。時には180度回転する。葉に垂直に止まることは少なく、陽の当る角度に影響を受けているのか体を傾ける。体を傾ける一連の行動プロセスはコツバメとよく似ている。飛翔スピードはコツバメよりやや遅い。しばしば陽が当っていないにもかかわらず体を倒すのを見る。撮影に関して言えば、人の気配に敏感でなかなか近寄らせてくれない。せいぜい50cmが限界である。残念ながら広角接写のチャンスはなかった。また翅裏の地色が暗いためピントが合い難く、露出設定も難しい。先日の黒いアゲハの撮影の難しさに同じである。さらに足元が悪いためしっかりカメラを腕でホールドできず、しかも吹く風に被写体も微妙に揺れているためブレ写真の山となる。撮影途中にクローズアップレンズNO1を落としてしまい、それ以降さらに不便を強いられる。200カット以上撮影するが結局パソコンに取り込んだのは十分の一以下。連続4時間半、同一場所で撮影する。幸運にも採集者は現われず、思う存分撮影する。撮影はいつもこうでありたい!*パソコンのモニターを見ていて、この種の逆光撮影では翅の裏からでも表のベニモンの広がりが確認できることに気が付く。〔岡山県〕 岡山県からの帰路、西播磨でナラガシワの林を見て廻る。ナラガシワの葉の上で休むアカシジミを見る。ナラガシワ系ゼフ3種はまだ出ていない。樹冠を飛ぶシジミはウラジロ♂ではなくウラゴであろう。栗林の中ではコジャノメ、サトキマダラヒカゲ、ナミヒカゲが多い。キマダラモドキは見かけず。 ササの葉にゴイシシジミ♂を見る。ややスレ個体。 陽当りの良いナラガシワの低木にコチャバネセセリが多い。オスは占有行動中、眼で追うのが難しいほど猛スピードで盛んに追い駆けあう。交尾個体確認。 素早い飛翔のゴマダラチョウを見る。 コムラサキ初見。 ウツギの花で吸蜜していたのは、コチャバネセセリ、ダイミョウセセリ、アサマイチモンジ、メスグロヒョウモン♂♀。 テイカカズラの花にモンキアゲハを見る。〔上月町〕

5月23日(晴れ時々曇り) 「兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会」設立準備の打合せのため早朝から但馬に向う。 参加メンバーで10時過ぎから幼虫のフィールド調査を行なう。食草であるオミナエシの葉の食痕を目印に注意深く探す。結果、調査ポイントは2箇所、目撃頭数は約10頭、6齢が3頭、残りは終齢(7齢)を確認する。1回の食餌時間の長さ、葉のどの部分を好むか、静止しているときの位置、など多数の貴重な観察データを得る。*本件に関しては近々更新予定の「HELP!ウスイロ・・」コーナーをご覧下さい。 スキバホウジャクの羽化直後の個体を見る。まだ鱗粉は剥げ落ちていない。もともとはこんな翅の模様をしていたのかと驚く。そういえばスキバホウジャク幼虫の食草もオミナエシである。 ギンイチモンジセセリを見る。見かける個体は新鮮。開翅することも多く、陽光の当り具合で褐色の翅表の色が微妙に変化する。撮影は難しい。一度飛び立つと容易に止まらない、止まっても50cm以内に寄らせてくれない。 その他にウスイロ生息地で見かけたのは、ベニシジミ、サカハチ、キマダラヒカゲ(サトかヤマかは未確認)、思ったほど多くない。やはり気温が低いためだろうか。 麓の集落ではボロながらウスバシロがまだ飛んでいる。民家の庭先のナデシコの花で吸蜜するオス、メス各1頭を見る。 カラスアゲハ(?)、クモガタヒョウモン(?)が活発に飛び回る。〔養父市〕

5月22日(曇りのち時々晴れ) 快晴かと思いきや朝起きればドンヨリした曇り空が広がる。 2週間前と同じコースを辿るべく朝8時前に家を出る。 9時過ぎ現地着、今日もアゲハ多い。アオスジアゲハ、クロアゲハ、オナガアゲハ、モンキアゲハ、カラスアゲハ、ジャコウアゲハがアザミの花で吸蜜する。たまに新鮮な個体が混じるがどの種も大半はカケ・スレ・ボロである。オナガアゲハはメスを確認、フィールドで出会う機会は少ないが本日は2頭を見る。 見かけるアゲハの数は2週間前と同じかそれ以上多い。 他にアザミの花で吸蜜していたのは、ヒメキマダラセセり、ダイミョウセセリ、キタテハ(夏型)。 路上に転がる動物のフンで吸汁するのは。イチモンジチョウ、アサマイチモンジ、テングである。テングは羽化直後の新鮮な個体。テングは母チョウの生き残りと新個体の出現とがほぼ同時期のもよう。 本日の第一目的ははクモガタヒョウモンの撮影、期待に違わず明るい土手のアザミに多い。カメラのレンズが近寄ってもあまり気にせず夢中で吸蜜する。メスは前翅先端の白紋も鮮やかで実に堂々とした個体が多い。オスはややスレも混じるが翅表の橙色は美しい。こうなるとアゲハはジャマとなり、黒い影が近づくと手で追い払いクモガタの撮影に集中する。 クモガタを狙っているすぐそばを黒いタテハの影が横切る。何かと思えばスミナガシ。当地では見かけることがすくなく狙って撮影できる種ではない。イタドリの葉に止まった一瞬をモニターに捉えることにに成功、何とかワンチャンスをモノにできた。〔上月町〕 目的達成(プラスα)のため昼前から播磨東部に戻る。エノキの森にゴマダラチョウが多い。見かける個体の多くはエノキの大木の樹冠を滑空していくが、時には産卵行動を見せる。腹を折り曲げエノキの小枝に産み付けていたようだが距離があったため確認出来ず。 イボタの低木の群落にウラゴマダラシジミをみる。曇天のためか日中から活発に飛び回るが、ひとたび陽が差すとまったく飛ばなくなる。下枝を注意深く探すとポツポツと止まっている。発生初期のためか見かけるのはオスばかり。ひとたび陽が翳り雲が厚くなるとイボタの樹冠を舐めるように次々と飛び移って行く。 アカシジミ初見。時にウラゴともつれる。〔加西市〕 ギフ幼虫は単独生活に入っている。茎だけを残し葉はなく丸坊主になっているヒメカンアオイの株を集中して探すが見かける幼虫の数は少ない。 シライトソウの花を見る。 ヒメヒカゲ生息地に移動する。先週から出始めたポイントは数を増しているが、その他のポイントはまだこれからといったところ。 ウラナミジャノメはまだ姿を見せていない。 ヒカゲチョウ初見、時間をかけて集中して撮影する。〔加古川市〕

5月15日(晴れのち曇り、夕方から雨) 昼前から所用があるため、朝6時から10時までフィールドに出る。 ヒメヒカゲ初見、もしや出ているのでは?と、かすかな期待をもって探したところ、待ってましたとばかり♂2頭飛び出す。このポイントは毎年、他の発生地より1週間くらい早く出現する。 最初はなかなか近寄れなかったが根気よく追いまわしているうちに近寄るコツを思い出す。2m以内での横の動きは禁物、縦から少しずつ近寄るのが賢明である。時々間欠開翅を見せる。まだ羽化して間がないためか、風が強いためか、活動するには時間が早いためか分らないが今日の個体は積極的には飛ばない。 ギフ幼虫を観察する。3〜4齢といったところか。カメラのレンズが近づくのを嫌ってか、短い橙黄色の臭角を出し警戒の仕草を見せる。時間の制約があるため真面目に確認したわけではないが、先日の卵の確認数の多さに比べると今日確認した幼虫は随分数を減らしているようだ。幼虫がいるのは薄暗いジメジメした藪の中、そんな場所にはクモやオサムシなどの敵もうようよしていることを考えると数が減るのも当然と言えば当然か。 ブタクサの花で吸蜜するヒメアカタテハを見る。 ニガナの花で吸蜜していたのはヒメウラナミジャノメ。 ハリエンジュの花は散り代わってクロバナエンジュが満開。ノイバラやスイカズラの花を見る。〔加古川市〕

5月8日(晴れ) 友人からの情報をもとに西播磨に向う。 岡山県境まであとわずかのところ、川沿いの道端にアザミが花をつけている。この花に多くのアゲハ類が集まっている。視界には常に5〜6頭、多い時には10頭以上。一番数が多いのがオナガアゲハ、♂はボロから新鮮までさまざま、♀も1頭混じる。♂に比べ♀は警戒心に乏しくレンズが翅に触れても逃げない。吸蜜中の♀に♂が盛んに求愛するが、♀は“その気”がなく♂を無視して吸蜜を続ける。 オナガに次いで多いのがカラスアゲハ、こちらもボロから新鮮なものまでいろいろ飛んでいる。本日確認したのはすべて♂。 ミヤマカラス♀2頭も盛んに吸蜜する。1頭は新鮮だがもう1頭はスレている。後翅表の青色、緑色の鱗粉や翅端の赤紋も鮮やかですばらしく美しい。まさに“美の極致”といったところ。 モンキアゲハは人の気配に敏感で近寄れない。後翅裏の赤紋も鮮やかな♀である。粘りに粘って何とか撮影するも写真の出来は“今ひとつ”。 クロアゲハ♂は新鮮、こちらもなかなか近寄らしてくれない。 これだけ多くのアゲハを一度に見たのは何年ぶりだろうか!すばらしい時間が流れていく。と、同時にメモリー残量やバッテリーの消耗も激しい。撮影に関して言えば黒っぽいアゲハの撮影は本当に難しい!白昼に黒い影を写すようなものである。ピントは合わない。コントラストがキツイため露出設定が難しい・・等、10カット撮影してもまともなものは1カットあるかどうか、といったところ。飛翔撮影なみの効率の悪さである。 他にアザミで吸蜜していたのは、オアスジアゲハ、キチョウ、スジグロシロ、ヒメアカタテハ、イチモンジセセリ(初見)、ウスバシロ。 崖の切通しの陰で吸水するヒメキマダラセセリ♂を見る。初見。 最深部の集落でウスバシロを撮影する。ネギの花にはどこでも多くの個体が群れている。田植えの準備が進むなかを優雅に滑空する多くのウスバシロ、夢のような光景である。何百年も続いてきた日本の山村の5月の原風景であろう。交尾済みの♀に強引に交尾を迫る♂を見る。♀には当然、交尾嚢があり翅を広げ交尾拒否の姿勢をとるが、♂はそんなことにはお構いなく、角度を変えながら必死に交尾を試みる。10分以上をこの状態が続く。 その他ネギの花で吸蜜していたのはアオスジアゲハ、アオバセセリ。 標高を下げ市街地に戻る。ナラガシワの樹の下の水溜りでナガサキアゲハ♂、オナガアゲハ♂、多数のコチャバネセセリが吸水する。ナガサキはとても新鮮、吸っては排出するポンピングを繰り返す。〔上月町〕  雑木林の薄暗い道にコミスジ♀が多い。新鮮。陽光の当る角度で翅や体が黒から青紫色に変り一瞬耀く。 コチャバネセセリの占有行動を見る。地上3〜5mの樹冠をすばらしいスピードで追尾する。 モンキアゲハの吸水を見る。 クロヒカゲ初見。〔加古川市〕

5月5日(曇りのち晴れ) 昨日の悪天候の余韻は午前中まで残り、ようやく晴れ間が広がった午後からフィールドに出る。 田のあぜに咲くミヤコグサの花の周囲を飛ぶ青いシジミを見る。てっきりシルビアだと思っていたが写した画像を見てガックリ、ヤマトであった。 シロツメグサで吸蜜するスレのモンキチョウ♀を見る。 ブタナの花を次から次に移り吸蜜を繰り返すナミアゲハを見る。 雑木林の中の薄暗い小道を緩やかに飛ぶクロアゲハ♀を見る。 丘の上ではクロアゲハ、カラスアゲハ、ナミアゲハが活発に飛び回る。たぶんすべてオス、自分の縄張りをパトロールしているのであろう。 モンキアゲハ初見。 同じところでサトキマダラヒカゲ♂の占有行動を見る。カメラのレンズを近づけてもまったく気にしなかったが、クロアゲハが近くを飛ぶとすぐさま飛び立ち追尾飛翔を見せる。〔加古川市〕  ギフ産卵地数箇所を廻る。まだクリーム色の卵塊から二齢幼虫までさまざまな段階の生態を見せている。〔加古川市・加西市〕

5月3日(午前:晴れ時々曇り、午後:曇り一時小雨) 天気は下り坂、午後からフィールドに出る。 市街地を運転中、クスノキの街路樹にアオスジアゲハを見る。曇り空ながらナミアゲハの活動も盛ん。 雑木林の奥深く薄暗がりの中からクロコノマが飛び出す。クヌギの葉にとまるが風が強いのと光量不足のため撮影は失敗。 4日前に同じくジャコウアゲハの撮影に向う。今日も数多く飛び回っている。畑の一角の2mほどの畝にネギが植えられ、おりしも花を付けている。このネギの花に多くの昆虫が集まる。今日確認したのは、ジャコウアゲハ♂5、アオスジアゲハ6、ツマグロヒョウモン♂1、ナミアゲハ1、紅色のハナカミキリ1、ハナムグリ40〜50頭、ミツバチやハナアブもそれくらい。これだけ一箇所に集まると壮観ですらある。吸蜜中のジャコウ♂はすべてボロ、ネギだけでなくホトケノザの花でも吸蜜する。食草のウマノスズクサが生える明るい竹やぶにジャコウ♀が低く緩やかに飛ぶ。手(脚)当り次第、下草に触れていくのはたぶん食草かどうか確認しているのであろう。運良く食草に触れても気に入らないと産卵行動には入らない。今日の観察では産卵には出遭わず。 日差しが弱いせいか日中でもサトキマダラヒカゲの活動が盛ん。 ナガサキアゲハ♂の飛翔を見る。ジャコウと比べるとすばらしく敏捷である。 観察地を移動、湿地のハンノキの幼木にミドリシジミ幼虫を見る。葉を折り曲げギョウザ状に綴った巣の中に潜んでいることが多い。幼虫の体長は10mm弱から15mm程度までか。巣のすぐそばで新芽を食する幼虫を見る。新芽の上から覆い被さるように体を折り曲げ食べていた。横から見ると“逆Jの字”の状態。 ハリエンジュの開花始まる。〔加古川市〕

5月2日(晴れ) GW中の好天は今日のみとの予報、早朝から但馬に向う。 高原の棚田はすでに水が入れられているところが多い。なかには田植えが完了しているところすらある。 ウスバシロはすでに現われている。見かける数はそれほど多くないので、まだ出始めのもよう。風が強いためいつものフワフワと優雅に飛ぶ姿は今日は見られず。風に流されていくシーンや風を避け下草にとまる個体を見る。 ハルジオンの花にベニシジミが多い。 植栽のツツジ(たぶんキリシマの園芸種の一種?)にミヤマカラスアゲハの吸蜜を見る。ボロの大破個体から新鮮なものまでさまざま、すべてオス。ツツジの大きな株は20〜30m離れて3ヶ所、その間を計4〜6頭が飛び回る。吸蜜したり、パトロールしたり、追尾したり、と活動は活発。人の気配に敏感で近寄って思うように撮影できない。ひとつの花での吸蜜時間は短く、次々と移動していく。気に入った花では羽ばたきをやめ頭部を花に突っ込んで吸蜜する。木の陰に身を潜め、カメラの電源は常時ONで狙うがなかなかチャンスがめぐってこない。バッテリーの消耗を気にしながらこの場所で1時間以上粘るがさしたる成果はあがらず、残念! 同じ株でキアゲハの吸蜜を見る。 コツバメ♀もこの株から離れず。もしかしたら産卵していたのかもしれない。 公園の植栽の白いシバザクラの花で吸蜜するアオバセセリを見る。新鮮。“白い絨毯”の上を歩きながら吸蜜花を移動していく。 同じ花でヒメアカタテハの超ボロを見る。但馬地方では成虫越冬しないとされているが、この破損個体を見ていると、本当にそうか?!と思ってしまう。とにかくこの種の越冬状態は図鑑の記載よりかなり幅広いバリエーションに富んでいるような気がする。 山かげの明るい大きな谷にスジグロシロチョウ、サカハチ、ツマキ、ルリシジミ、イカリモンガが多い。 サカハチの新鮮な個体を選んでじっくり撮影する。 ツマキチョウが翅を閉じてとまっていると翅裏の緑斑紋がすばらしい保護効果を発揮し周囲の色彩に紛れてしまう。そうなると見つけ出すことは容易ではない。 ボロのオナガアゲハ(?)の飛翔を見る。 越冬明けのルリタテハ、キタテハが活発に飛ぶ。キタテハの翅はあまり破損していず。 ネギの花(葱坊主)で吸蜜するモンキチョウを見る。 イチリンソウ、ニリンソウ、ヤマルリソウ、キケマン、ムラサキケマン、シャガなど春の山野草は今が満開。〔村岡町〕

4月29日(快晴) 一昨日、昨日とはうって変わって暖かい、というよりは暑いくらいの一日。 「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動の一環で早朝からギフチョウの産卵状況の調査に参加する。思った以上に好結果が得られた。どういった理由かわからないが、ある一枚の葉には時期を違えて5回の産卵、計50卵を確認する。この葉はたぶん母チョウが産卵を促す条件が揃っているのであろう。孵化直後の幼虫を確認する。“今、卵から出ました”と言わんばかりで卵の殻の上や周囲にかたまっていた。もう少し時間がたてば仲良く整列するのであろう。今日の調査でもヒメカンアオイの大きな株が密集している場所では産み付けられた卵は少なく、パラパラとしか生えていない場所の株への産卵が多いことを実感する。 トラフシジミは今日も多く見かける。 朝日を浴びて開翅するツバメシジミ♂は新鮮で美しい。 車道を素早く飛ぶカラスアゲハ♂を見る。 テングのボロはまだまだ多い。 フジの花で吸蜜するコチャバネセセリを見る。 田のあぜに咲くブタナの花で吸蜜するツマグロヒョウモン♀を見る。撮影には絶好のロケーションだったため慎重に、かつ時間をかけて撮影する。 雑木林・竹林の縁、南向きの畑に多くのチョウが集まる。この空間、このポイントはすばらしいのひとこと!まず出迎えてくれるのはジャコウアゲハ。オスはボロが多いがメスは新鮮。メスはとまることなく飛び続け下草を丁寧にタッチしていく。注意深く見ると食草のウマノスズクサはポツポツと生えている。気に入った草に出遭うと腹を大きく曲げて葉の裏に産卵する。産みつけられた卵はオレンジ色、一度に4〜5卵産むことが多いようだ。時々オスがチョッカイをかけるがメスはすべて交尾済みらしく逃げ回るばかりである。 畑のネギの花で吸蜜するのは、ジャコウアゲハ♂(メスはけっして吸蜜に来ない)、オアスジアゲハ、トラフシジミ、コミスジ、ツマグロヒョウモン♀、キタテハ(まだ生きていたのか!と思うような超ボロ)、それと多くのハナムグリや紅色のハナカミキリ、ニホンミツバチ、ハナアブやハエなど多数のムシたちである。ジャコウアゲハ♂はオオアラセイトウやホトケノザでも吸蜜する。 ナガサキアゲハ♂初見、すばらしいスピードで飛び回る。 サトキマダラヒカゲ多い。 ヒラドツツジの植栽にナミアゲハ、クロアゲハが吸蜜に訪れる。 アラカシにとまるムラサキシジミ♀を見る。 ニワゼキショウの花を見る。〔加古川市〕

4月28日(晴れ) 昨日の暴風雨はようやく収まったが、まだ風は強く気温は低い。 出勤前、ギフ生息地を廻る。 車道わきのヒメカンアオイの株多数がごっそり掘り起こされ持ち去られていた。25日には何ともなかったのに…。 ギフ飼育のためか、山野草目的か分らないが、早朝から暗澹たる気分になる。〔加古川市〕 

 ギフ飼育のために持ち去る人に一言、ギフの幼虫期間は長くてせいぜい一ヶ月、大量に葉っぱがいるのは最後の一週間だけ。大きな株から葉のみを間引き、濡れ新聞に包みビニール袋に密閉し冷蔵庫に保管すれば一ヶ月は持ちます。けっして、けっして根こそぎ持ち去らないように!復活するのに短くても数年、長ければ10年以上かかります。あなたがもし真のチョウ愛好家なら根こそぎ持ち去る罪の深さを感じてください!山野草愛好家に一言、山野草はフィールドで出遭ってこそ価値があるもの。自宅に庭や植木鉢のなかに押し込められる山野草の悲しさを感じてください!急速に失われつつある里山を保全し、ヒメカンアオイ自生地を守る活動を進める我々に真っ向から対決する行動には断固反対します。もしこのような恥ずべき行動をフィールドで見つけたらそれなりの対応をしますので覚悟しておいてください!!

4月25日(晴れ) 昨日に続き今日も晴れているが気温が低い。 午前11時前からフィールドに出る。 アオスジアゲハ初見、街路樹のクスノキに多い。子供の通う小学校では一週間以上前から出現しているとのこと。 なぜか今日はトラフを見かける回数が多い。当然すべてボロ、各地で30頭以上見たかもしれない。 コナラ幼木の新葉のつけ根にミヤマセセリ♀の産卵を見る。翅を開き腹を曲げ一卵づつ丁寧に産み落としていく。卵の表面には縦の溝があり、アカタテハの卵のような形状である。クリーム色の美しい卵。 セイヨウタンポポで吸蜜するナミアゲハ♀を見る。 カラスアゲハ初見、雑木林の小道で翅を広げ下枝にぶら下がっていた。近づいても飛ばないと思いきや、敏感に反応しあっという間に飛び去る。 ササの葉にとまるコチャバネセセリを見る。腹の膨れ具合からメスらしい。今日の個体は鈍感なのか、レンズを触れるぐらい近づけても大丈夫、じっくり時間をかけて撮影する。 丘のピークではキアゲハ♂2頭が追い駆けあう。その間隙を縫うようにナミアゲハやクロアゲハ♂がパトロールしていく。クロアゲハは初見。 昨日に続きツマグロヒョウモン♀を見る。 田起こし前の水田のレンゲ畑に羽化したばかりと思われるモンキチョウ♂を見る。眼はエメラルドグリーンに耀き、翅はピンクの縁取りが鮮やか、すばらしく美しい。 ヒメアカタテハが活発に飛ぶ。 雑木林の縁の薄暗い小道に張り出すイボタの枝にウラゴマダラシジミの終齢幼虫を見る。若葉とまったく同じ色の体、葉の形まで似せている。注意深く探さないと見つけられない。この冬この枝では6卵確認したが、結局1頭しか生き残れなかったようだ。幼虫にアリがまとわりつき離れない。 池の土手のシルビア生息地でオスの活動を見る。風が強く気温が低いためか地表近くを低く飛びすぐとまってしまう。体温を上げるためか盛んに翅を開く。これまでの観察から陽が高くなる午前9時以降は開翅しないものと思っていたが、これは誤りのようである。開翅行動は気温の影響を受けているようだ。 ギフ生息地を廻るが今日はただの1頭も見かけず。 なぜか今日はヘビによく出くわす。5〜6回くらいか。最後に出遭ったヤマカガシはなにか大きなものを丸呑みした直後らしく胴がもっこり膨らみツチノコ状態であった。〔加古川市・加西市〕

4月24日(晴れ時々曇り) ここ数日の夏のような気温の上昇も一段落、平年並みの気温にもどり朝からすがすがしい。 朝8時半からフィールドに出る。 スレのトラフシジミを見る。気温が低いためか活発に飛ぶことができない。アラカシやコナラの葉先にとまり、陽の光を効率よく浴びるため体を倒す。 コミスジ多い。すべて新鮮。オスが圧倒的に多い。気温が上がるにつれ盛んに追い駆けあう。時には3頭がもつれる。飛翔シーンの撮影を試みるが、コミスジ独特のスイースイーという飛び方、真横のカメラアングルではうまくいかない。青空バック、見上げる形のカメラアングルに変更して撮影する。 雑木林の中ではボロのテングが多い。陽だまりに数頭かたまっている。 ツマグロヒョウモン初見、新鮮なメス。雑木林の縁の荒地の地面にとまり翅を開く。 ヒメウラナミジャノメ一気に数を増している。畑のあぜや林の中、どこでもいっぱい飛び回っている。視界に10頭以上入ることもある。 コツバメは見かける数を減らしている。メスを数頭見るのみ。 コチャバネセセリ初見、明るい雑木林の林床のササ原で2頭目撃。 越冬明けのルリタテハを見る。いずれの個体も大きくスレている。 丘のピークでキアゲハのボロ♂を見る。 ミヤマセセリは数を減らしている。車道にとまるメスを見るが色あせている。 雑木林の縁でサトキマダラヒカゲを見る。初見。クサギの幹に止まっていた。 ヤマツツジの花で蜜を吸うナミアゲハ♂を見る。飛翔は遅く、吸蜜花の移動はのんびりしたもの。花の中に頭から体半分を突っ込む形で蜜を吸っていた。 畑のあぜにベニシジミ、モンキチョウ多い。 今日の撮影の目標はギフの産卵シーン。ヒメカンアオイ自生地を7〜8箇所廻る。各地で卵を見る。それほど真面目に卵を探しているわけではないが、葉の裏にポツポツと卵塊を見つける。11卵1箇所、10卵2箇所、9卵2箇所、8卵1箇所、7卵8箇所、6卵2箇所、5卵3箇所、4卵1箇所、2卵1箇所、1卵1箇所と言った観察結果。産み付けられたばかりの卵塊からすでに孵化、殻しか残っていないものまでさまざま。殻はあるのに幼虫は見当たらず、すでに何ものかに捕食されてしまったのかもしれない。明日孵化予定の真っ黒な卵もまじる。ヒメカンアオイの大きな立派な株はあまり好まなくて、葉が数枚しかない貧弱な株を好んで産卵している気がする。母チョウ自らが、自分が残す子孫にはわざと試練を与えていると勘ぐりたくなってくる。もちろん母チョウは意識しているわけではないだろうが…。1m四方の中に30〜40卵産みつけていた箇所があったが、食草の葉の枚数は100枚もなく、この箇所では1頭も蛹化できないと思われる。 ヒメカンアオイの葉にとまっていたメスを見る。こちらが気が付くのが遅く、ギフ♀もこちらの気配に気が付きあわてて飛び立ち近くの石にとまる。産卵途中だったかもしれない。右尾状突起が半分無くなっている以外は破損箇所はなく、あまりスレていない美しいメスであった。曇り空の下での撮影中、突然雲が切れ日差しが強まったと思ったら急に飛び立ち、あっという間に樹冠に消えた。今日のギフ成虫目撃はこの1頭のみ。正直言ってもっと数多く、簡単に撮影できると思っていたのに…、そんなに現実は甘くない! シルビアシジミ初見、オス1頭。風が強く地表の葉にしがみ付く。 コナラ、チゴユリ、アケビの花を見る。〔加古川市・加西市・小野市〕 

4月18日(晴れ) 「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」メンバーで早朝から但馬ギフの観察に向う。 午前10時前、渓谷下部の林道入口に到着。早速スギタニルリ&コツバメの出迎えに合う。スギタニルリはオスが多い。ネットインして確認はしていないが翅はかなりスレている感じ。トチの大木の下、地表近くを活発に飛ぶ。林道上に交尾ペアが飛び出す。メスは大きくオスは小さい“蚤の夫婦”。オスがぶら下がり、メスのみの飛翔で短距離を移動する。こうなるとしめたもの!じっくりと時間をかけて撮影する。 コツバメは一週間前に比べると数を減らしている。 スギタニルリに混じりルリシジミを見る。翅表の青色の濃淡で飛翔中であっても同定は容易。 アカタテハの産卵を見る。林道わきに生えるカラムシの新葉の先端に丹念に一卵づつ産み付けていた。10頭以上の母蝶を見る。 スジボソヤマキ♀を見る。残念ながら撮影可能圏内には飛来してくれず、遠くから眺めるのみ。 スジグロシロ多い。民家周辺ではモンシロばかりだが、一歩林道に入ると白いチョウはこの種が圧倒的に多くなる。 サカハチ初見、落ち葉の上で静止していた。間欠開翅するがタイミングに合わせて撮影するのはホネが折れる。 越冬明けのルリタテハの飛翔を見る。 林道にはテング多い。スレ・ボロばかり。 林道を活発に飛ぶミヤマセセリを見る。 ギフは今が最盛期、平均5分に一度見かける。気温が高いためか、はたまた地形のせいか分らないが、飛翔スピードは速く、シャッターチャンスは極めて少ない。一瞬、道傍のスミレで吸蜜したがすぐ飛び去る。鮮度確認のため捕獲してみたところ、オスは大破個体から比較的新鮮なものまでさまざま、メスは新鮮。午後から観察地を移動する。尾根筋で占有行動中のオスを見るが、風が強いためか、時間が遅いためか分らないが見かける数は少ない。ナガバモミジイチゴの白い花で吸蜜するボロオスを見る。吸蜜時間は長く数分間花にぶら下がっていた。新鮮なうちは吸蜜時間は短いがボロになるにつれ長くなるのかもしれない。 車の運転中にツマキチョウの飛翔を見る。〔日高町〕 交通量が多い川沿いの道にジャコウアゲハ♂を見る。計10頭くらい飛び回るが、わずか5分の間に2頭が車に巻き込まれ路上に転がった。この調子だと交通事故死の確率は相当高いようだ。路肩の溝の中にはナミアゲハが転がっていた。〔養父町〕

4月17日(快晴) 陽が高くなるにつれて気温はぐんぐん上昇、あっという間に20℃を越えてしまう。本来ならギフ生息地にじっと腰を落ちつけメスの飛来を待ち産卵シーンの撮影に専念したかったところだが、残念!仕事の都合で、不本意ながら別の用向きでフィールドに出る。 西播磨標高200m台地の上では、ボロのテング多い。 キタテハ、ミヤマセセリをポツポツ見かける。今日くらい気温が高いとミヤマセセリの飛翔スピードは格段に速くなるようだ。 林道上を弱弱しく飛ぶのは越冬明けのキチョウ。 スジグロシロチョウ♀の飛翔を見る、初見。 千種川沿いでヒメウラナミジャノメ初見。 里山の畑周辺を飛ぶのは、モンシロ、モンキ、ツマキチョウ。 車の運転中にジャコウアゲハを見る、初見。〔上郡町〕  

4月11日(晴れ) 晴れとは言いながら薄い雲がかかる。今シーズン初めて但馬へ。 越冬明けのアカタテハを見る。メスらしく産卵行動らしい飛翔を見せる。スギタニルリシジミ盛期。8時30分時点では朝日を浴びて翅を広げる個体が多い。早朝の個体はもっと鈍感かと思っていたのだがどうしてどうして近寄らせてくれない。慎重に接近しても30cmが精一杯。それに比べて吸水中の個体の撮影は容易。9時を過ぎると翅を開かなくなる。午前中は翅表の深いブルーを耀かせ地表近くを低く飛ぶことが多い。スジタニルリの活動を見ると但馬の春を実感する。 コツバメ盛期、林道のいたるところに止まっている。同種ばかりでなく、スギタニルリやルリにも反応し盛んにスクランブルをかける。 残雪の中、ギフ♂が敏捷に飛び回る。このポイントでは占有行動をとる個体はなく、斜面や林道沿いを低く素早く飛ぶ。時々地表に止まるが近寄ると敏感に反応し撮影は難しい。別のポイントに移動する。例年通りここでは数頭のギフ♂がテリを張っている。林道上に止まり、時には50mの縄張りを行きつ戻りつパトロールを繰り返す。発生時期が早いためか見かける頭数は少ない。でもすべて新鮮。スミレの花で吸蜜するシーンに出くわす。一箇所での吸蜜時間は長くても数秒、これだけシャッターチャンスが短いと撮影は失敗してしまう。 今日の但馬遠征の第一目的は越冬明けのスジボソヤマキチョウの撮影。ギフ観察中にメスを見かけたがあっという間に谷深く飛び去る。ギフ撮影完了後、帰途に着くべく車で林道を下るとき、崖の法面にスギボソヤマキ♂を発見。スミレで吸蜜を繰り返していた。吸蜜時間は長く一箇所で約1分くらい留まっていた。翅裏はシミだらけ、翅の縁も擦り切れボロボロの状態。ここまでボロだと撮影意欲がそがれてしまう。 ヤマルリソウ、イカリソウ、イワナシの花を見る。ショウジョウバカマはどこでも満開。〔日高町〕

4月10日(晴れ) 天気予報によれば気温はグングン上昇、すばらしい一日の予感。 ヒメアカタテハ初見、しかしながら翅はすでに欠けている。 ツバメシジミ初見、明るい畑の土手に多い。カケ個体も混じるためかなり前から発生していたもよう。 越冬明けルリタテハを見る。うち1頭はメスの大型個体。サルトリイバラの新芽を捜すような飛翔行動を見せる。 丘のピークにヒオドシチョウを見る。翅の縁は無惨に擦り切れている。しかし飛翔は力強い。 ツマキチョウ初見、貯水池の土手を種独特の直線的な飛翔を見せる。 トラフシジミ初見、翅裏の白筋紋も鮮やか。陽の差し込む角度に合わせて体を傾ける。 キタテハ、テングは見かける数を減らしている。 ルリシジミ多い。丘のピークには必ずと言っていいほど姿を見せる。止まっても翅は開かない。 ミヤマセセリ多い。まさに最盛期。明るい雑木林の林床をピョンピョン跳ねるように飛び回る。地表に止まると必ず180度翅開くが、そのまま姿勢で1分も経過するとV字に開翅角度を狭める。日差しが強すぎるときの体温調整にための行動かもしれない。スミレの花にぶら下がる形で吸蜜する。吸蜜時間は長くても数秒しかない。撮影失敗。 コツバメ数を増している。ミヤマセセリに同じく今が最盛期。 ツバメシジミが見られる土手にベニシジミ多い。 丘のピークの草原にヤマトシジミを見る。翅裏地色が暗く且つ黒班紋が少ない低温型ではなく一般的な翅裏をしていた。 今日の撮影の第一目標は言わずと知れたギフチョウ。 午前10時前、ヒメカンアオイ自生地の斜面に数多く飛び回る。すべてがオス、しかもすべて新鮮。コバノミツバツツジやスミレ各種が咲いているが吸蜜シーンには出遭わず。木々や草花、新芽の芳香が濃く漂う雑木林の中、次々現われる新鮮なギフチョウ、たとえようもなくすばらしい光景である。息を切らして登ったピークには案の定、ギフ♂がテリを張っていた。木々の木陰が微妙に入るピークに続く踏み分け道を行きつ戻りつフワフワ飛ぶ。ここの個体はモンキチョウ♂並に黄色が濃くすばらしく美しい。このピークには他にキアゲハ♂1、ナミアゲハ♂2が集まる。ギフはキアゲハとたびたび戦うがいくぶん劣勢、背後から追いかけまわされることが多い。時間をかけて観察・撮影する。気が付いたことは、ギフがブッシュの中に入っても巧みに飛び回りけっして草木にぶつからない飛翔能力の高さと、日光をさえぎるもののない開けた空間にはけっして進出しないことである。このピークでは計3頭のギフが占有行動中であった。 ヒメカンアオイの大群落地に移動する。羽化したばかりと思われるオス2頭確認。笹の葉に止まり翅は開いたり閉じたり繰り返す。おかげさまで時間をかけて多くの枚数を撮影する。モニターに捉えたすばらしい画像にドキドキしながら枚数を重ねる。気分は最高潮!メモリーとバッテリーを気にしながら100カット以上の撮影となる。 正午を廻り次のピークを目指す。途中、林床を弱弱しく飛ぶギフ♂を見る。ここの個体も新鮮。ヒメカンアオイ自生地の近くを離れないところをみるとメスの飛来(羽化?)を待っているのかもしれない。ここのピークではギフはいなくてキアゲハとナミアゲハばかりである。 陽も傾き始めたが次のピークに移動、やはり時間が遅くテリを張るキアゲハを見るのみ。ここで出会った同好者からの聞き取りでは数分前までギフが飛び回っていたとのこと。〔加古川市・小野市・加西市〕

4月6日(晴れ) 仕事をしているのがモッタイナイような暖かいギフ日和。勤務中の外出時にナミアゲハを見る。初見。〔尼崎市〕

4月3日(晴れのち曇り夕方から小雨) 所属する「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動の一環で早朝からギフチョウ生息地を廻る。 占有行動中のコツバメを見る。陽の角度に合わせて体を倒す。カメラを近づけると飛び立つが、しばらくすると同じ場所に戻ってくる。 よく手入れされた明るい雑木林の中をミヤマセセリが活発に飛ぶ。落ち葉の上に翅を開いて止まると、模様・色とも周囲に同調してしまい容易に見つけられない。 ルリタテハ、キタテハ、ルリシジミ、テングチョウを見る。 午前中はギフの姿なし。 メンバーの情報によると山頂でテリを張るキアゲハ♂確認とのこと。 コバノミツバツツジ開花始まる。ショウジョウバカマの花を見る。〔加古川市〕 3月13日野外で見つけたギフ蛹の状況確認に行った友人からケータイに連絡が入る。羽化の瞬間のビデオ撮影に成功、現在翅を伸ばしている最中とのこと、急いで現地に向う。12時15分着、大型のオスを確認する。地上10cm笹の茎に止まり翅が固まるのをじっと待っている様子。羽化は11時に突然始まったとのこと。12時30分ころから翅をわずかに広げ始め、数分後には全開翅するとともに活発に動き回るようになる。突然フワーと舞い上がり地上1m位の高さで数m移動、舞い降りる。慎重に撮影枚数を重ねていたところ、再び舞い上がり、移動後舞い降りた。これを何度か繰り返すうちに、飛翔の高度は高く、羽ばたきは力強く、長い距離・時間を飛ぶようになる。同時に敏感になり、なかなか近寄れなくなる。この個体を追いまわし、地表に降りたと思われるところに急行し、慎重に近寄りやっと探し出したそのわずか数十センチ横で新たなオスを発見。こちらは翅を伸ばしている最中、ものに掴まりぶら下がった状態ではなく、なぜか地表で伸ばしていた。落下したのかもしれない。やがて翅を小刻みに震わせたかと思うとバタバタと地面で羽ばたき始めたが舞い上がれず、ふたたび静止する。昼食もそっちのけで撮影に没頭する。〔播磨地方某所〕 *後で友人が撮影したビデオ映像を見る。残念ながら蛹の背が割れる決定的瞬間は写っていなかったが、その2〜3秒後、体を前後左右に力強く揺すりながら蛹の殻から出てくるシーンや除々に翅が伸びていく様子が見事に捉えられていた。

3月28日(快晴) 気温はグングン上昇、桜も開花へまっしぐら。早朝からチョウ撮影とは別の用向きでフィールドに出る。 アラカシの植栽にムラサキシジミが多い。カケ・スレから完品までさまざまな状態、合計20頭以上は見かける。小さな個体が多かった。 ヤマトシジミ初見、多くの個体が飛んでいたので数日前から現われていたと思われる。この時期のヤマトは翅裏の黒点紋が薄く別種の様である。 越冬明けのウラギンシジミ、アカタテハを見る。両種とも今シーズンは初見、活発に飛び回る。 昨日に続き、ミヤマセセリ、キタテハ、テング、ルリタテハ、モンシロ、モンキを見る。〔香寺町〕  播磨各地のギフチョウ生息地を廻った友人からの情報、ギフは見かけず。ナミアゲハ初見。〔播磨各地〕

3月27日(晴れ) 春の日差しだが風が強く体感温度はむしろ肌寒いくらい。 午後からフィールドに出る。 運転中にモンシロチョウ、モンキチョウの飛翔を見る。 お気に入りポイントのひとつである郊外の小ピークに向う。案の定、越冬明けのヒオドシがピークを占有していた。顔の傍を飛ぶと羽ばたく音が聞こえる。はじめは近寄ると敏感に反応していたが10分20分と根気よく撮影するうちに、人の気配に慣れてきたのか注意を払わなくなった。 ルリシジミが活発に飛び回るが止まらない。 ミヤマセセリ初見、数頭が活発に飛び回る。時にはヒオドシと縺れ合う。撮影を試みるもまったく止まらない。すぐ諦めた。 ルリタテハを見る。越冬明けにしてはどれも新鮮な個体。翅は破損していない。撮影は失敗。 ベニシジミ初見、もっと早いかと思っていたのに案外遅かった。本日はオス、メスとも確認。じっくり見ると春型のメスはすばらしく美しい。 越冬明けツマグロキチョウ目撃。ホトケノザで吸蜜していた。加古川市内で初めての確認である。2年前お隣りの三木市で確認していたので、もしかしたら…と思っていたところ幸運にも出合った。加古川市内ではシルビアシジミ、ヒメヒカゲ、ウラナミジャノメ、ギフチョウの4種の絶滅危惧および危急種が生息しているが、私自身の目撃としては今回のツマグロキチョウで5種目となる。あと生息の可能性があるのは、キマダラルリツバメ、クロシジミといったところか。 ギフチョウ生息地を廻るが今日は出合わず。まだ少し早いようだ。 コツバメらしい影を見るが確認出来ず。 各地でキタテハ、テング、キチョウを見る。 コバノミツバツツジ、スミレ各種、シュンランの花を見る。 野山を歩くと新芽の芳香が心地よく春の訪れを実感する。〔加古川市〕 

3月21日(晴れ) チョウ希少種絶滅回避のための有志諸氏の打合せに出席する。 休憩時に近くの畑を散策する。キタテハ多い。50m四方で約10頭くらいか。地表に止まり盛んに翅を開くが、ここのキタテハは人の気配にとても敏感、10cm接写ができない。 モンシロチョウ、モンキチョウの飛翔を見る。 果樹園の下草オオアラセイトウ(ムラサキハナダイコン)は満開。 レンゲの花を見る。 ビロードツリアブを見る。〔神奈川県小田原市〕

3月14日(快晴) 昨日にも増して暖かい日。 「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動の一環で早朝からヒメカンアオイ自生地を廻る。 雑木林の中ではどこでもテングチョウが多い。気温が上がる10時ころから活動が盛んになる。まったく翅が破損していないものからボロまでいろいろ見かける。時には卍になるが、基本的に飛びが速いため飛翔撮影はうまくいかない。テングは延べ100頭以上見かけたかもしれない。 キタテハの活動は今日も盛ん。テングほど多くないがそれでも10頭程度は見かける。 越冬明けのルリタテハを見る。翅は破損していない。地表に止まったり頭上の太い枝に止まったり、日向ぼっこを繰り返す。 数十メートル先を歩いていたメンバーによると、コツバメ初見、テングともつれて飛び去ったとのこと、自分の目では確認できず。 ムラサキシジミ♀を見る。コツバメよりわずかに大きい矮小個体。地表の小石に止まり、周囲を歩き回っていたが、何のための行動か分らずじまい。吸蜜ではなさそう。動きが止まると翅を開く。 昨秋からこの冬にかけて毎週のように通った南向きの畑に移動。モンシロ、モンキと数を増している。それぞれ20頭以上いる感じか。早速モンシロの交尾ペアを見る。オスはぶら下がったままメスの飛翔で何度も移動する。 越冬明けのキチョウも多い。ホトケノザの花に止まり吸蜜したかと思えたが確認はできず。 ウメの花は満開だが、意外にも集まる虫の数は少ない。吸蜜に来ているチョウは見かけず。 アブラナ科の黄色の花で吸蜜するムラサキシジミ♀を見る。〔加古川市〕

3月13日(快晴) 春本番を思わせるような陽気の一日。 朝9時から友人と連れだってギフの蛹探しに出かける。 最初訪れた場所では見つからなかったが幸運にも二箇所目で見つかる。4月終わり頃にはヒメカンアオイの新葉の絨毯を敷き詰めたような密度の濃い自生地らしいが、この時期葉がまったくないところをみると相当数の蛹がいるものと思われる。しかしながら食い破られた2個体、生きていると思われる1個体の計3個体しか見つからず。見つかったのはいずれも石の下の隙間、石に帯を掛け上向きの姿勢で蛹化していた。石の表面は以外に乾燥していて蛹自体は湿っている感じではない。クモが越冬している石の下にはいないもよう。 雑木林の中にテングチョウ多い。地表や葉の上で開翅する個体が多く、別の個体が近づくと盛んに追い駆けあう。 キタテハ多い。雑木林の中、田んぼのあぜ、果樹園の下といろいろな場所で見かける。タンポポで吸蜜するのを見る。 モンシロチョウ初見、雑木林の縁・民家の裏の畑で2頭目撃。うち1頭はすでに翅がすれていたので昨日・今日、羽化した個体ではなさそう。 運転中にも畑の上をヒラヒラ飛ぶのを見かける。 イボタの芽吹きが始まる。〔加西市・加古川市・小野市〕 

3月6日(午前中:曇り時々雪、午後:晴れ) 暖かかった2月とは大違いの寒い3月最初の週末、一瞬だが今日は吹雪になった。 こんな日は成虫は飛ばない。前から気になっていた畑の中のミカン類の枝に付いているクロアゲハの越冬蛹の撮影に行く。蛹化場所にほとんど違いがないのに褐色系と緑色系が見つかる。どちらも見事な保護色で気が付き難い。 街中のいたるところでジンチョウゲの芳香が漂う。アブラチャンは満開。〔加古川市〕

2月28日(晴れ時々うす曇) 午前中は仕事、昼過ぎからフィールドに出る。気温が上がるという天気予報を信じれて、いろいろな種を確認できるかと期待したが、気温は10℃を少し越えた程度しか上がらず曇り空、吹く風も冷たく期待は外れる。わずかにモンキチョウ♂を1頭見るのみ。2週間前に同じく地表にとまり、太陽の角度に合わせて体を倒す。ヒメオドリコソウの群落で開花が始まる。〔加古川市〕

2月22日(晴れのち曇り夕方から雨) 天気予報ははずれ、午前中いっぱい晴れ間が広がり暖かい。 自宅隣りの高校の敷地に植えられているアラカシ、マテバシイの植栽からムラサキシジミが舞い降りる。飛翔は弱い。翅はまったく破損していない。 今日もキタテハの活動が盛ん。活発に飛び回る個体2頭を見かける。 市街地でキチョウを見る。地表から吸水しているように見受けられたが正確なところは確認出来ず。 さらにもう1頭ムラサキシジミを見る。こちらの個体は活発に飛びまわっていた。〔加古川市〕

2月21日(晴れ) チョウ観察とは別の目的でフィールドに出る。昨日に続き今日も暖かい。 キタテハの追尾飛翔を見る。縄張りに入った別のオスを追いかけまわす飛翔ではなく、飛び方も緩やかで長い時間執拗に追尾する飛翔だったためこれは求愛行動かと思われる。 本日のキタテハ目撃数は5頭。〔淡路島・北淡町〕

2月20日(快晴) 出張中、市街地の中でキタテハ、キチョウが飛ぶのを見る。気温17℃〔名古屋市〕

2月14日(晴れのち曇り、夕方から雨) 春到来を思わせる暖かい日。 気温が上がりきった昼過ぎからフィールドに出る。 このオフシーズンお気に入りの南向きの土手を歩く。キャベツ畑にモンシロチョウ幼虫を見る。大きさから明らかに終齢幼虫、今日は日向ぼっこだけかまったく動かず。 この陽気に誘われたのか越冬中のキタテハが飛び出す。翅はそれほど傷んでいない。人の気配に敏感なため接写での撮影は失敗。 畑の間の草地からモンキチョウ♂が飛び出す。先シーズンの個体がまだ生き残っていたのかと思いよ〜く見れば、何と羽化したばかりの新鮮な個体!今シーズンの初見第一号。近づくとパッと飛び出し、直線的に短く飛び、また草むらに舞い降りるという、第1化個体特有の活動を見せる。静止中は効率よく陽を浴びるため、太陽の角度に合わせて体を倒す。合計3頭のモンキチョウ♂を見る。 越冬中のキチョウ、テングチョウの飛翔を見る。 ナナホシテントウ、ナミテントウの活動を見る。〔加古川市〕

2月8日(晴れ時々曇り) 冬型の気圧配置で肌寒い。 雑木林の縁の道脇に生えるイボタにウラゴマダラシジミ越冬卵を見る。一般的にイボタの芽吹きは早いと言われているが、生える場所の地形や湿度、照度の関係からか4月になってから芽吹く木もある。 南向きの日当たりの良い田の土手で盛んに動き回る濃紺色のハムシを見る。 モンシロチョウ幼虫は動きがのろいがまだ元気に生きている。今日は3頭確認、真剣に探せばまだまだいるはず。今年だけのことなのか例年通りのことなのか分らないが、これで当地では幼虫越冬が可能であることを確認できた。 ギフチョウ発生地で越冬蛹を探すが見つからない。〔加古川市〕 

2月1日(晴れ) 昨日今日と暖かい。気温は10℃以上。昼前からフィールドに出る。 昨年の秋からアラカシの葉の上で集団越冬中のウラギンシジミを確認に行くが、四散したのかただの1頭もいない。集団になるのは越冬期間前半の習性なのかもしれない。 モンシロ幼虫はまだ死んでいない。今日もじっとしていた。極端な温度低下さえなければ幼虫でも越冬できるかもしれない。 竹やぶの縁からキチョウが弱弱しく飛び立つがすぐにまた草むらに潜り込み動かなくなる。〔加古川市〕

1月25日(曇り時々晴れ一時雪) 西よりの風が強く気温も上がらずときどき小雪が舞う寒い日 キャベツ畑のモンシロ幼虫を確認に行く。何とか生きていた。葉の裏と隙間にわずかに2頭を確認するのみ。新しい食痕もなく、寒さにじっと耐えている様子。〔加古川市〕

1月18日(快晴) 朝は放射冷却で冷え込んだが陽が高くなるにつれて快晴の穏やかな日となる。 前日の友人からのホシミスジ越冬幼虫の確認情報に触発されて成虫発生地のユキヤナギに探すが見つからず。〔三木市〕  モンキチョウは今日は見かけず。ここ数日の寒波についに力尽きたかもしれない。 キャベツ畑にモンシロチョウ幼虫を見る。数は少なくなっている。しかも終齢幼虫しかいない。若齢幼虫では耐寒性に劣りこの時期になると成長できないと思われる。キャベツの葉には真新しい食痕があるが本日確認した幼虫はいずれも動いていなかった。 テングチョウの飛翔個体を2頭見る。近寄ると敏感に反応し飛び去った。〔加古川市〕

1月12日(晴れ) 冬型の気圧配置が緩み穏やかな日和となる。日射量が最大となる正午になるのを待ってフィールドに出る。 昨年12月21日以来となるウラギンシジミの越冬状態を確認する。3週間前と同じ状態、ただし2頭減って計4頭となっていた。 穏やかな陽気に誘われて越冬中のテングが飛び出す。翅はまったく傷んでいない。日光浴をしたり短い距離を飛んだりとこの時期にしては活動は盛ん。 今日もモンキチョウ♂を確認、テングと同じくこちらも翅はほとんど傷んでいない。効率よい日射を狙ってか太陽の角度に対して正確に垂直になるよう体を倒していた。不用意に近づくとフラフラ飛び立ち短い距離を逃げる。吸蜜シーンは見られず。いつまでモンキチョウが見られるのか楽しみである。〔加古川市〕 

1月11日(曇り時々晴れ) 晴れ間が広がったと思えば雪雲に覆われる冬の天気、気温も上がらず肌寒い。遠くに見える笠形山は雪化粧している。 里山保全・ギフチョウネットのメンバーに誘われて各所のヒメカンアオイ自生地を廻る。明らかにギフチョウ幼虫の食痕が残る葉もあるが、終齢幼虫のすさまじい食欲を考えると蛹まで無事たどり着けたと思われるところはほんのわずかしかない。逆の見方をすれば葉が残っていない、見つからないところにこそ蛹がいるのかもしれない。落ち葉を取り除くと株の根元にはつぼみが付いている。なかにはすでに開花しているものもある。日を改めて越冬蛹を探すことにする。〔姫路市、加西市、加古川市〕 

1月4日(晴れ時々曇り) 午前中は雲もなく穏やかな日となる。 久しぶりに花公園へ。 吸蜜に適した花も少なくチョウの姿無し。 公園わきの畑にキチョウが舞い降りるのを見る。 落ち葉の上で日向ぼっこ、じっとして動かず。 松林の中の林床にフユイチゴの実が多い。〔加西市〕

1月3日(晴れのち曇り) 午前中は晴れ、午後から曇り。 昨年末からお気に入りの観察ポイントへ行く。 タンポポで吸蜜するモンキチョウ♂を見る。花から花へと活発に飛び回っていた。4日前とは明らかに違う個体である。年がかわっても生き残っているのを確認したのは今回初めてである。 地面に落ちていたキチョウを拾う。死んでいるのかと思いきや手のひらにのせるとモゾモゾと動き出した。 畑の中の柑橘類(レモンか?)の枝にアゲハ類の蛹が多いが、蛹化失敗個体や食い散らかされた蛹も目に付く。日を改めて調べてみよう。〔加古川市〕 

1月1日(晴れ) 帰省のため早朝から滋賀へ車を走らせる。午後から2時間半、鈴鹿山中に分け入りキリシマミドリの卵を探す。 車の寄り付きの良い道路わきは元より、こんなところまで!と思うような奥地まで、採卵された痕跡がありまったく卵が残っていない。それこそ根こそぎ状態で奪い取られて、卵が付いていたと思われる枝が無惨な切り痕をさらしていた。業者かマニアか分らないが何もここまで採らなくてもよいのでは・・、一箇所に10卵あれば半分くらいは残して置くような心の余裕がなぜないのか・・、過度な採卵がその年の成虫の減少につながるのは確実であり、新年早々暗い気分にさせられる。 2時間半かかってようやく採り残しの卵を見つける。アカガシのヒコバエ先端の芽に2卵、すぐ下に1卵、1枝に計3卵ついていた。慎重に撮影する。〔滋賀県鈴鹿北部〕


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