◆秘策、オナガシジミ撮影方法

 前項のウラベニキアゲハ遭遇から1時間後、オナガシジミの撮影に悪戦苦闘していた。オニグルミを片っ端から探して廻ってもいないのだ。いるときにはひと枝叩けば5〜6頭がパッーと飛び出すというのに今日に限って、ワイドビューしなのの発車時刻まであと2時間しかないというときに限って現われてくれない。これで最後と道路わきに車を止めて見上げてみれば、オッー、いるではないか!例よって樹幹をチラチラしている。一昨年女房をだまくらかして購入した蝶研の自慢の9mを持ってきているので採集するなら簡単なのだが、今日はあくまで撮影only、愛機のデジカメでせめて15cmまで、出来れば5cmまで近寄りたいのだ。下枝や下草にいないかとウロウロキョロキョロ、でもいなかった。やっと見つけたヤツは4mのところに止まっていた。ウーン高い、高すぎる、どうしたものかと思案していたところ、同行のK氏曰く、「車の屋根に上がりますか?」これは名案!さっそくパジェロのルールデッキによじ登り恐る恐る立ち上がったのであった。すごいぞ、高いぞこれは!これならいけそう!と目標のオナガにカメラを向けた瞬間、高所に飛び去った。いい歳をしたおっさん2人があーでもない、こーでもない、と言いながら、車の屋根に登ったり降りたり、挙句の果てに屋根に乗ったまま車を動かしたりするものだから、通りかかる人たちは何事かと興味半分、変なヤツらに関わりたくない気持ち半分の表情を顔に浮かべているのであった。分別ある一般常識人であればこうした状況では恥ずかしさが先に立つのであるが、蝶の撮影オタクの我々は他人の視線など気にならないのである。でもいくら早く降りて来いと願ってみてもどうにもならない状態が続く。時間もどんどん過ぎていく。あまりに長時間見上げているので首も痛くなってくる。暇つぶしにという訳ではないが自慢の9mでネットイン、極めて簡単。新鮮かスレか確認することにした。時期的には当然のことながらスレ、あ〜あ、と放ったところ3mの高さに止まったのであった。仕方が無い、これでも撮影するかと気分を取り直し、またまたパジェロによじ登った。こんなヤツでもなかなか敏感で近寄れない。細心の注意を払いながらどうにか20cmまで寄りやっとのことでシャッターを押したのであった。ヤラセぎみでなんとなく後味が悪く、すっきりしない撮影ではあったが、ときにはこんな苦労も必要だと自分に言い聞かせて長野をあとにしたのであった。


こぼれ話の目次に戻る

TOPに戻る