◆海外遠征 行動レポート
2025.5.11~5.16 台湾
5月11日(現地:雨)
今日から16日まで、今年2回目の台湾への遠征を決行する。朝3時起床、自宅発は午前4時、神戸空港ベイシャトル駐車場午前5時着。この駐車場、この3月から有料になってしまった。これまでは、関西空港行きの高速連絡船内で駐車券への搭乗証明を印字すれば一ヶ月以内なら駐車無料だったのに、3月から500円/日(7日間以内)、以降は1500円/日になったらしい。有料への変更理由は、神戸空港へ国際便が発着することに伴い、空港へのアクセスは車ではなく、公共の交通機関を使ってほしいとのことである。ただベイシャトル利用者に対しては???と言わざるを得ない。更に、ベイシャトルの事前予約に関して、以前からTELやオンライン予約であったが、今回から、事前にWebにて撮影することでの顔認証予約を追加実施していた。試しに顔認証で予約したところ、チケットレスで乗船することができた。関西空港ベイシャトルターミナル着は午前6時、今回の搭乗機ピーチが発着する第二ターミナル着6時20分。手荷物を預け、保安検査、出国審査も順調に進み、7時15分搭乗開始となった。6ヶ月も前に予約しているため、前から2列目の左窓側(南行きは窓に直射日光が当たらない側)だ。7時45分離陸。いつもは滑走路を北東方向(生駒山方向)に飛び立つのだが、今回は南西方向(淡路島方向)に飛び立った。おかげで淡路島越しに明石海峡大橋を撮影することができた。
![]() |
関西空港を南西向きに離陸、淡路島の向うに明石海峡大橋が見える |
日本との時差は1時間、予定通り現地時間9時50分、雨に煙る台北桃園空港に着陸する。1年前の台湾遠征時も今日と同じ雨の中!雨の多い5月とは言え、予想通りの出だしとなる。飛行機を降り、入国審査へ向かう途中、通路にさりげなく置かれていた動植物検疫免除カードに気付かず、素通りしてしまった。これがとんだトラブルになるとはこの時は思いもしなかった。しばらく進むと“動植物検疫免除カードをお持ちの大阪からのピーチ便の方はこちらへ。その他の方はあちらへ”と分けられてしまった。カードを持っていない小生は当然“あちら側”の列へ組み込まれた。この列の長いことこのうえない。30分近く並ばされた。何を調べているかと言うと、台湾への持ち込みが禁止されている肉類などの食品の有無だ。ふと気になったのは、昼食用、長距離移動中の間食用としてフジパンのスナックサンド(ヤマザキのランチパックに同じもの)を5個持っていることだ。まあ大丈夫だろうとタカを括っていたところ、X線検査装置が「ブー」、女性検査員が“手荷物を開けろ!”との指示。おとなしく従うと当然スナックサンド5個が出てくる。ツナマヨ2個、タマゴ1個、テリヤキチキン2個の内訳だ。検査官のオネーサン“テリヤキチキンは肉類だから没収、その他はOK”、書類にサインさせられ何とか通過と相成った。ヤレヤレやっと終わったと安堵したその次は入国審査だ。ここも長蛇の列、飛行機を降りたところから預けた荷物を受け取るターンテーブルにたどり着くまで約1時間かかってしまった。ターンテーブルの取扱い便の表示を見れば「Peach
Kansaiは終了」。これはまずい!しばらくテーブルを流れている荷物を眺めていると、“あった!あった!”で小生の荷物はまだ回っていたのだ。通貨両替、SIMカード入替、イージーカードへの追加補充入金とこなし、台北中心部へ向かうが相変わらず外は雨が降り続く。夕刻やって来る友人との待合せ場所を事前チェックののち、MRT(地下鉄)で簡単に行ける台北市動物園に向かう。動物園前駅に到着しても依然として雨が続く。スマホでこれからの天気を見れば、夜の11時まで雨は止まないとのこと。待合せ場所のバスステーションに戻り、持参した文庫本を読んで時間をつぶす。
![]() |
台北バスステーションの長距離路線切符売り場 |
友人到着予定時間午後6時30分、しかし一向に現れない。“少し遅れる”とのメールが入るが、なかなかやって来ない。結局やって来たのは午後7時45分。聞くところによれば荷物が出て来ずこの時間になってしまったとのこと。両名とも入国時のトラブルに見舞われたということか。午後8時15分の高速バスで今回の拠点となる宜蘭(イーラン)に向かう。3列シートの本格的な高速バスで、乗り心地はすこぶる良い!ウトウトしているうちに宜蘭に到着、時間は午後9時45分。コンビニで食料を仕入れ、ホテルにチェックイン。これまで台湾で泊まったホテルのなかでは一番だ。なんとウォシュレットが付いていた!午後11時就寝。
![]() |
宜蘭で泊まったホテル、ウォシュレット有り |
5月12日(曇り)
台湾2日目。悲しいサガでいつも通り午前4時に目が覚める。このホテルのTV、なんと日本のBSがすべて映る。TVをつければドジャース大谷の打席だ。これからの撮影に備え体力温存のため眠らなければと思いつつ、ずっと見てしまう。さすがにサブチャンネルは映らず、朝ドラに切り替わる。
午前7時半の待ち合せで、本日案内をお願いしている現地の友人を待つが一向にやって来ない。1時間待ち8時半になってもやって来ない。何かの行き違いが起きたのは明らかだ!今日目論んでいたフトオアゲハの撮影は断念し、友人の発案の電車で行けるカルミモンシロチョウの撮影に向かう。行先は台北駅に近い山の中の駅、言わば昨日夜の行程を戻る形となる。1時間20分間の短い鉄道旅だが、にわか鉄チャンに。電光掲示板はさておき、全体的な駅の雰囲気は40~50年前の国鉄時代ようだ。
![]() |
台鉄(台湾国鉄)宜蘭駅の改札口 |
午前10時過ぎ、目的の駅に降りる。駅のホームのすぐ横で、お目当てのカルミモンシロチョウが飛んでいるではないか!カメラを持ってホームを駆け回っているとすかさず駅員から注意を受けてしまった。駅から離れた草地を歩くと、あちこちでモンシロチョウが舞っている。普通のモンシロチョウが9割、カルミモンシロチョウが1割くらいだろうか。カルミのメスは特徴があるのですぐわかるが、オスはタダモンシロに似ていることもあり、近くで良く見ないと同定できない。更にタイワンモンシロチョウも加わっているため、ややこしいことこの上ない。カルミモンシロ撮影中、ツマベニチョウ、ヤエヤマイチモンジ、カラスアゲハが視界を横切る。ここでの撮影は1時間、早々に宜蘭に戻る。戻る途中、電車の窓からアオスジアゲハ、タイワンアサギマダラ、ワタナベアゲハを見る。宜蘭に戻り、タクシーで郊外の自然公園に向かう。公園の草地ではタイワンモンシロチョウが多い。日本では見られないミスジチョウの仲間も次々姿を見せるがまったく同定できない(帰国後、リュウキュウミスジ、タイワンホシミスジと判明)。ムラサキシジミ、ヒメウラナミシジミ、タイワンルリシジミ(ヤクシマルリシジミ)を見る。鶏ガラ捨て場に集まっていたのはクロアゲハ♂(台湾のクロアゲハはしっぽがない)。ここでもヤエヤマイチモンジを見るが、石垣島在住の友人によれば、八重山で見かける個体とは斑紋が少し違っている感じがする…とのこと。明るい草地に開かれた花壇にタイワンフタオツバメ(日本のキマダラルリツバメに似る)を見る。カメラの準備に手間取り、正確に眼にピントを合わせることが出来ず、痛恨の失策!飛び去った方向を根気よく探すが見つからず。帰りのバスを待つ時間に周辺を散策すれば、クスノキの葉裏にマダラチョウの蛹を見つける。クロテンシロチョウ、コモンマダラを見る。午後3時50分のバスで宜蘭に戻る。この日食べたおにぎりが良くなかったらしく、正午過ぎから腹の調子が一気に悪化!三度もトイレに直行するはめに!トイレの鏡で自分の顔を見れば“真っ青!”、“これはかなりヤバイ”、と気にしながら撮影を続ける。そうこうしているうちに急速に体調が戻ってくる。ホテルに戻る頃には完全に復活していた。
5月13日(晴れ)
台湾3日目。昨日、行き違いで合流できなかった地元の方と今朝は無事合流することが出来た。彼の車の助手席には日本人が一人。直接お会いするのは初めてだが、これまでTELやメールで何度もやりとりさせていただいている大先輩であった。聞くところによれば、当地には数日前から滞在しているが、まだフトオアゲハを見ていないため、帰国を遅らせているとのこと。一昨日も昨日もフトオアゲハが現れるポイントに行ったが、現れなかったとのことであった。道中、車内で話が弾み、あっという間にフトオポイントに到着する。時刻は午前9時。フトオアゲハ撮影狙いですでに10人以上が集まっている。
![]() |
フトオアゲハが吸水にやって来る鳩之澤温泉の河原 |
硫黄成分が流れ込む河原のポイントでは温泉特有の匂いが漂っている。周辺を散策すると、テングチョウ、アカタテハ、アオスジアゲハ、ミカドアゲハ、キミスジ、キバネセセリ似の大型セセリ(帰国後、タイワンアオバセセリと判明)などを確認する。9時30分、突然「フトアゲハ飛来!」の合図が出る。河原に広く散らばっていたカメラマン全員が一斉に集まる。温泉水が流れ込み、ヘドロのような堆積物が溜まる水場で1頭のフトオアゲハが水を吸っているのが目に入る。“オォー、これがフトオか!図鑑で見るのとまったく同じや!”初めての出遭いに感動する。本種は一旦吸水を始めると余程のことがない限り吸水を続けるとのこと。その言葉通り、延々と水を吸い続けた。風が吹かない限り、翅を閉じ、ピクリとも動かない。カメラマンのストロボの光にも反応しない。この瞬間、このチョウを取り囲んでいたカメラマンは35人、地元台湾の方たち、我々日本人達たち、ガイド付きで香港から来ていた撮影者たち、国籍は様々だが、一斉にかつ、一心不乱に撮影する。
![]() |
飛来したフトオアゲハを囲むカメラマン、その数37人 |
性別を出して申し訳ない気もするが、女性の撮影者は撮影に夢中になると周りで撮影している人たちへの配慮が足らず、平気で他の撮影者のレンズの前に出てしまう。小生も動画を撮影中に頻繁に女性の頭部が映り込み、しばしば中断を余儀なくされる。45分後一人の地元のカメラマン(男性)が自身のスマホで撮影しようと15㎝まで接近する。これだけ近いと他の人の撮影の邪魔になるだけでなく、突然飛び立つ危険も感じられ、いろいろな言語で注意を促す言葉が発せられる。しかしこの御仁、スマホを下げるどころか、更に接近を始める。と、その瞬間、恐れていたことが起きてしまう。延々と吸水を続けていたこのフトオ君、フラフラと飛び立ち、頭上高く舞い上がり二度と降りて来なくなった。後で聞けば、このオッサン、今日のようなことが度々あり、皆から嫌がられているが、非難などどこ吹く風で、一向に改めない御仁らしい。フトオが飛び去ると同時にカメラマンは一斉に引き上げた。我々は案内の方の発案でフトオポイントの上部、大平山の中腹、ツツジの花にやってくるフトオアゲハを狙うことに。標高1600m付近まで道端に咲くツツジを見ていくが、来ているのはカラスアゲハかタイワンカラスアゲハ。ひそかに期待していたホッポアゲハも姿を見せない。昼食を取った近くのツツジでも来ていたのはボロのカラスのみだ。更に標高を上げると雲の中に入る格好となり、やむなく山を下りる。途中、フトオアゲハの食樹を教えていただく。遅れて山を登って来たカメラマンによると、我々が昼食を取っていたところの近くのツツジにフトオアゲハ♀が蜜を吸いに来ていたとのこと。我々との時間差はたぶん30分もないだろう。案内の方は地団太を踏んでいたが、小生個人的には先刻の吸水シーンを撮影できただけでも充分満足であった。山を上下している途中、車窓からタイワンアサギマダラ、コモンマダラを見る。ミヤマシロオビヒカゲは車から降りて撮影するが、またしても目にピントが合わず、しまらない写真になる。午後2時再び吸水していた河原に戻る。カメラマンの数は激減、一人しかいない。いたのは迷惑おじさんのみ。当然フトオなんかいないので、アオスジアゲハ、ウスキシロチョウ、シロオビアゲハ、キミスジなどを撮影する。突然、「フトオアゲハ!」との声が飛ぶ。地上2mの高さを下流から上流へ悠々と飛ぶフトオアゲハの雄姿が目に飛び込んでくる。残念ながら地表には舞い降りず飛び去った。以降午後3時まで粘るが新たな個体は現れなかった。午後3時撤収する。
台湾4日目。朝7時30分、昨日に続き、今日も案内の方にホテルまで来ていただき山に向かう。昨日撮影したフトオアゲハの吸水シーン狙いは昨日で終了とし、今日はツツジへ吸蜜にやって来るアゲハ狙いで別の山塊に向かう。9時20分、断崖絶壁のただなかの車道に停車。案内人の方のご厚意で、台湾でも珍チョウ中の珍チョウであるララサンオナガシジミを撮影する。聞くところによれば本種は一族一種、系統樹的には独立しているとのことである。もちろん初めて見る種であるが、尾状突起が3本もある特異な翅の形状もさることながら、翅裏のクリーム色の美しさは他の追随を許さない。じっくり時間をかけて撮影する。さらに移動する。午前10時、高標高地にあるリゾートエリアのあちこちに植栽のツツジがあり、この花にフトオアゲハを含む多種のアゲハが蜜を吸いにやって来るとのこと。しかしフトオアゲハはもとより黒系アゲハがまったく飛んでいない。一度アサクラアゲハらしいクリーム色のアゲハが高所を渡って行ったが、遠すぎたため同定できず。駐車場で舞っていたのはホリシャミスジ。ゴミ捨て場にいたのはウラフチベニシジミ、ホソチョウ。あちこちに生えるセンダングサではおびただしい数のタイワンモンシロチョウが蜜を吸っていた。ここで1時間粘るもさしたる成果がなく、フトオ他の黒系アゲハの吸蜜シーンの撮影は諦め移動する。渓流沿いの陽だまりで昼食をほおばっていた時、高所に咲くウツギに似た白い花にアゲハが来ているのを見つける。案内の方によればカラスアゲハとのこと。隣にはタイワンアサギマダラも蜜を吸っている…、と思いきや、あれはタイワンアサギではなくカバシタアゲハとのこと!“エー!?”何とそっくりなことか!カバシタアゲハの生存戦略にすっかり騙されてしまう。この花に来ていた大きめのセセリはオオクロボシセセリか?地表近くの小さな花で蜜を吸うホソバキボシセセリを見る。少し歩くと次々にウラナミジャノメの仲間が姿を見せるが、微妙に違っている感じもあり同定できない(帰国後、タイワンウラナミジャノメ判明)。頭上から舞い降りて来たのはコノハチョウだ。再び車で移動、まもなく宜蘭縣から桃園縣に入る。
![]() |
桃園縣奥地、多くのチョウが集まる渓谷 |
案内の方はいろいろな種の撮影ポイントで停車し、すぐさま目的種を見つけ教えてくれる。まず撮影したのはシロタテハ。大渓谷に張り出した枝先でテリを張ったり、薄暗い幹から樹液を吸ったりと、いろいろな表情を見せてくれる。ストローの色は翅の色と同じく、白色とクリーム色の中間色の明るい色であった。カシ(アラカシか?)の樹で活動するアサクラシジミを見る。日本で見られるルーミスシジミに近い種らしいが、一回り大きく、尾状突起を有している。しばらくすると新芽に産卵を始めた。林の中のやや暗いところで、ギンジャノメ、シロスジマダラ、その他ヒカゲチョウの仲間を見る。この頃から急にカメラのオートフォーカスが機能しなくなる。どこかのボタンを誤って触ってしまったようだが、取扱説明書を見るわけにもいかず、以降はマニュアルでのピント合わせを強いられる。日頃、オートフォーカス機能を100%信用しないポリシーで写しているが、まったく機能しないとなるとこれまた困ったものだ。こんな時になぜかピント合わせが難しいシジミが次々現れる。まずはワタリカラスシジミ、本種は日本で見られるベニモンカラスシジミに近い種らしく、前翅には紅紋を有しているとのことだが、いつもしっかり翅を閉じているため確認できず。次に現れたのはゼフのように大きなカラスシジミ、タイワンカラスシジミ(=ホウライカラスシジミ)と言うらしい。台湾産カラスシジミの中では最もポピュラーな種とのこと。3番目の登場はタナカカラスシジミだ。本種は昨年の遠征時にも撮影しているが、今回の個体は極めて新鮮!翅裏の縁部の赤帯も鮮やかだ。次に現れたのは日本で見られるキマダラルリツバメに良く似たタイワンフタオツバメ、2日前に本種のメスをうまく撮影できなかったが、今日現れたのはオス、ピント合わせに細心の注意を払いながら撮影する。ヒョウマダラも登場するが、とまる位置がイマイチで写真としての完成度は低い。最後に現れたシジミはタイワンクロツバメシジミ、本種も今年3月の遠征時にも出遭っており大きな感動はなかった。撮影はこの時点で終了、帰路に就く。帰る道々、台湾のチョウの先駆的研究者、内田春男氏と今回の案内いただいた方との関わり(小生、30年近く前、内田氏とTELにて話したことがあります)、フトオアゲハの産卵樹、タイワンミヤマシロチョウに関する公表の経緯、イチモンジミドリシジミやフォルスターミドリシジミの生息地、など興味深い話が次々登場し、大いに話が盛り上がっているうちに宜蘭縣に着いてしまった。2日間、行動を共にした記念に800元(約4000円)で飲み放題、食べ放題の店で祝杯を挙げる。食べ物は、中華から和風、洋風まで幅広く、肉から魚、野菜、鍋、揚げ物、デザートまで何でもござれ、再会を約束して別れる。
ガソリン代について、ガソリンスタンドでの給油時に注意しながら確認したところ、130円/ℓくらいであり、日本に比べるとずいぶん安価であった。台湾から110㎞しか離れていない与那国島では現在たぶん200円/ℓを大きく超えているはずであり、“ガソリンを輸出すれば、大儲けだね!”と話が盛り上がる。
5月15日(晴れ)
台湾5日目。朝7時半の在来線特急で台北に向かう。1時間で台北到着。MRTを乗り継いで台北市動物園に着く。平日ながら動物園は多くの観光客でごった返している。飼っている動物への関心は一切なし、一番奥の昆虫エリアに急ぐ。昆虫館横の湿地では今日も多くのマダラチョウが舞っている。カバマダラ、リュウキュウアサギマダラ、マルバネルリマダラ、ホリシャルリマダラ、ツマムラサキマダラ、ルリマダラが湿地性の植物の花で蜜を吸っている。さらに奥に進む。明るい草地のセンダングサで蜜を吸っていたのはタイワンカラスシジミ(ホウライカラスシジミ)。同じところでテリを張っていたのはリュウキュウムラサキだ。ナガサキアゲハ、カラスアゲハが視界を横切っていく。腐った果物が詰まった金属製のかご、どうやら昆虫トラップのようだ(*もちろん公園管理者が設置したものです)。このトラップに多くのチョウが集まっている。ウラキマダラヒカゲ、シロオビヒカゲ、コノハチョウ、ウスイロコノマチョウ(?)まで確認する。遊歩道のあちこちでミスジチョウの仲間が舞っているが同定できない。地表近くを這うように飛ぶ黒っぽいシジミはアマミウラナミシジミか?薄暗いところで盛んに活動しているのはムラサキシジミか?この頃から気温がグングン上昇、体感的には優に30℃を超えている。あまりの暑さに熱中症一歩手前状態に陥る。どれだけ水分を摂ってものどの渇きが収まらない。頭はくらくら、50mほど歩くとすぐ“休憩”となる。結局ここ動物園で狙っていたミツオシジミは姿を見せなかった。涼しいMRTに乗り、乗り換えなしの一路線で行ける剣南蝶園へ移動する。山の斜面に広がるなかなか良いチョウ公園だが、やはり今日は暑い!日陰に入ると蚊がバンバン攻撃してくる。テリを張るヤエヤマイチモンジ、芭蕉の葉にとまるシロウラナミシジミ、産卵樹の周りを飛ぶタイワンシロチョウ、薄暗い草地ではキレバヒトツメジャノメを見る。日陰に植えてある柑橘類の幼木にまとわりつくように飛んでいたのはヒメウラボシシジミだ。ここでもタイワンカラスシジミ(ホウライカラスシジミ)を見る。あまりの暑さにこれ以上撮影する意欲が湧かず、午後3時前に撮影を終了する。
5月16日(晴れ時々曇り)
台湾滞在6日目、そして最終日。朝一番の便で帰る友人とは昨日別れたため、本日は朝から単独行動となる。朝7時32分の特急電車で台北に向かう。台北着は約1時間後。大きな荷物をガラガラ引いて行動するわけにもいかずコインロッカーを利用することに。ロッカーの使用は結構ややこしいと聞いていたので、ハナから自分でトライすることをあきらめ、すぐ傍で同じようにロッカーに荷物を入れていた男性に、“使い方を教えていただけませんか?”とお願いしたところ(*もちろん英語でです!)、実に快く対応していただいた。あまけに荷物を取り出す際の手順まで教えてもらい感謝しかない。荷物を軽くして向かったのは、動物園のそばにある猫空ロープウェーで行く山だ。このロープウェー、単に登っていくのではなく、山を登ったり下ったりしながら延々と奥に進む。終点まで行くのに20分以上かかるほど長い。それでもって終点の標高は299mしかない。
![]() |
郊外の猫空ロープウェーから見た台北市 |
終点付近はお茶畑で有名らしく、観光客で混んでいる。1年前に来たときは雨、しかし今日は晴れ。尾根まで上がればイナズマチョウなどタテハがテリを張るとの情報を得ていたので、尾根の標高450mまで登ることに。標高差はたったの150mだが、気温30℃を超え、高湿度のなかでは、少し石段を上っただけでも汗が噴き出す。突然、シジミが飛びだしてくる。葉にとまったところを見れば、キマダラルリツバメ似のタイワンフタオツバメではないか!今回の遠征で3回目の遭遇だが、この個体が一番きれいだ。何と言ってもキマルリ一族!本種を前にするといつも心が躍る。10分程撮影した後、再び息を切らしながら石段を上る。一度に上がる歩数は100歩が限界!100歩上がって5分休憩。やっとのことで尾根に到達する。しかし、何もいない!時々、黒系のボロアゲハが視界を横切る程度だ。尾根を水平方向に400m進み、小ピークに達する。明るい草地があり、何かいるのではないかと期待したが、いたのはツマグロヒョウモン♂のみ、がっかり。早々に引き上げ始めたところ、大きめのシジミが飛び出してくる。ギョッとして、シダにとまったところをよく見れば、タイワンシジミタテハだ!しかも新鮮!じっくり撮影していたところ、わずかに翅を開き始める。望遠、広角とレンズを替えながら撮影する。登るときには45分もかかったのに、下りは20分。明るい空間、植栽の花で蜜を吸うオオルリモンアゲハを見る。残念ながら破損個体。昼食を取ったあと、早々にロープウェーで山を下りる。時間は午後1時を回ったところ、まだ時間がるので隣の動物園に向かう。今日も動物には見向きもせず、昆虫園のマダラが集まる湿地へ一直線。カバマダラ、ルリマダラ、ホリシャルリマダラ、マルバネルリマダラ、ツマムラサキマダラ、コモンマダラ、ウスコモンマダラを撮影する。午後2時を過ぎ撮影タイムオーバー、空港に向かう時間となる。MRTを乗り継ぎ台北駅に戻る。さてコインロッカーから荷物を取り出そうとしたが、コインロッカーが見つからない!“これはヤバイ”、困ったときはすぐにインフォメーションへ、とのことで駅構内ある案内所へ行く。係りの男性曰く、“コインロッカーはもう一つ上の階ですよ”、当方“スミマセン…”。コインロッカーの場所は分かったが、あれだけ荷物の取り出し方を聞いていたのに、スムーズに進まない。どうやら時間延長につき追加料金が必要になったようだが、紙幣を入れる差込み口が分からない。そもそも台湾の駅はどこも、ホーム・コンコースとも日本に比べるととても暗いのだ。やっと見つけた紙幣投入口で100元入れ、ようやくロッカーの扉が開いた。ヤレヤレだ。まだ時間はあるが、余裕をもって桃園空港に向かう。空港の発着便を知らせるタイムボードを見るといやな予感が…。ピーチの帰り便が30分の遅れの表示。搭乗手続き、手荷物検査、出国手続きと淡々とこなし、搭乗待機エリアへ。当初の出発予定時間になっても飛行機は到着していない。30分遅れの見直し出発予定時間と同時にやっと飛行機が到着するしまつだ。これから荷物を積みかえ、燃料を補充するなら最短でも1時間はかかるはず。アナウンスも不親切、中国語はもとより、英語もなまりがひどく何を言っているのか分からない。当初の時間から110分遅れでようやく離陸する。関西空港着も遅れに遅れて、着陸したのは23時35分。神戸空港行きのベイシャトル最終便は午前0時発、間に合うかどうか微妙なところだ。他の乗客も殺気立っている。運良く、早々に荷物が戻り、何と15分間で手続き終了。小生の到着を待ってポートターミナル行きのバスは動き出した。予定通り午前0時出港、神戸空港ポートターミナル着0時35分。雨の中、車を走らせ午前1時40分自宅着。今回の遠征はこれにて終了となる。