◆2006年フィールド日誌


12月31日(曇りのち晴れ) 昼前から晴れ間が広がるが西よりの冷たい風が吹く冬らしい一日。 ここのところ週末になると必ず訪ねる田んぼの縁に今日も向かう。それなりに日差しはあるが、風が冷たく耐寒温度は低い。 残念ながらモンキチョウ、ベニシジミ、モンシロチョウ、ツマグロヒョウモンとも見かけない。キチョウすら現れない。大晦日でようやく今年の成虫シーズンも終わりといったところか。〔東播磨地方〕

12月23日(晴れ) 師走とは思えないほど暖かい一日。 気温が上がりきった正午過ぎからフィールドに出る。 3週連続でお気に入りの南向きの田んぼの土手ポイントに向かう。期待通り活発に飛ぶモンキチョウ♂を見る。週が経つごとに数を減らしているがそれでも3〜4頭、元気に飛び回っている。法面で静止しているときはベタッと寝転んでいる感じ。その上空に他のオスが侵入すると、即座に跳ね起き、必死で追いかける。 日光浴中のベニシジミを見る。計2頭。両個体ともくたびれているが元気に飛び回る。 竹林の縁を飛ぶキチョウを見る。 あと1週間あまりで今年も終わるが、このまま暖かい日が続けばモンキチョウ、ベニシジミとも新年になっても見られるかもしれない。〔東播磨地方〕

12月17日(晴れ後曇り) 天気予報とは違い、朝から穏やかな青空が広がる。午前中は所用をこなし、午後1時からフィールドに出る。先週と同じ場所に向かう。今日もモンキチョウが群れ飛んでいる。新鮮なオスは明らかにメスを探しながら飛んでいることが多いが、ボロオスやメスは日当たりの良い土手に舞い降りて、陽を効率よく浴びるため体を倒し静止している。 同じ土手に新鮮なツマグロヒョウモン♂も翅を開き日光浴中。この時期にしては極めて新鮮。人の気配に敏感でなかなか近寄らせてくれない。 竹林の中の畑を飛ぶキチョウを見る。飛翔は弱くヨタヨタと飛んでいた。 今日はベニシジミを見かけず。 そにしても暖かい12月後半である。このまま推移するなら、モンキ、モンシロ、ツマグロヒョウモン、ベニシジミなどは成虫のまま新年を迎える可能性ありと感じる。〔東播磨地方〕

12月16日(晴れ時々曇り) 午前中は仕事、午後は三田の「人と自然の博物館」で開かれた日本鱗翅学会近畿支部例会に出席する。今回は日本昆虫学界と共同開催のため、チョウ目以外の昆虫の興味深い講演を聴くことができ有意義であった。

12月10日(曇り一時雨、後晴れ、夕方から曇り) 天気が目まぐるしく変わる一日。 午前中は所用をこなし、晴れ間が見え始めた正午過ぎからフィールドに出る。車に乗ったとたんににわか雨、北寄りの風も吹いてくる。仕方なく一休み、雨が止み雲が途切れるのを待つ。 午後1時、一気に晴れる。南向きに開けた雑木林の縁を歩く。風の弱い畑の中の陽だまりにツマグロヒョウモン♂、キチョウ、モンシロチョウを見る。陽の光を浴びて充分に体温が上昇したためか活発に飛び回る。ツマグロヒョウモンとキチョウはひとつのセイヨウタンポポの花の吸蜜位置をめぐって争う。やはりツマグロが優勢。 雑木林と田んぼの接点の斜面にモンキチョウを見る。斜面の角度30度*幅3m*長さ50mの範囲に10頭近く飛んでいる。メス1頭、残りはオス。斜面に舞い降り体を倒すお決まりのポーズを見せる。アキノキンリンソウやノコンギクの残り花で蜜を吸う。 久しぶりに飛翔写真を狙ってみる。今シーズン最後のトライになるだろう。 ベニシジミも盛んに翅を広げている。午後2時半、再び雲が広がり始めるとどの種も一斉の活動を停止する。 *修理から上がってきた愛機の調子を確認する。レンズの回りが重く、シャッターが敏感、ストロボ併用時のシャッターのタイムラグが大きいなど、まったく別のカメラに仕上がってしまっていた。〔東播磨地方〕 

12月3日(晴れ) 冬型の気圧配置で西寄りの風が強い肌寒い一日。 朝9時集合、「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動の一環、皆でヒメカンアオイ自生地の雑木林の手入れ・常緑樹の枝打ちを行う。約20人も集まると、短い時間でも見る見るうちに片付いていく。 サカキ、ヒサカキ、イヌツゲなど常緑樹を切り倒すと林の中は一気に明るくなる。地面のいたるところにヒメカンアオイが顔を出してしているが、これだけ葉が残っているということは、この地ではほとんど蛹まで達しなかったということに他ならない。ワイワイガヤガヤと心地よい汗を流す。午前中に活動終了。〔東播磨地方〕  別の用向きで中播磨の海岸・室津漁港に出かける。港を囲む南向けの斜面にベニシジミ、ヤマトシジミを見る。風がさえぎられているためこのポイントは思いのほか暖かい。寒さに耐えるといった風ではなく、活発に飛び回っていた。ここなら成虫越冬できるかもしれない。〔中播磨地方〕

11月23日(曇り) 北よりの風が強く、さほど気温は上がらない肌寒い一日。 田んぼや畑のあぜを歩くがまったくチョウは飛んでいない。 成虫で見かけたのは、あぜを歩いているとき足元から飛び立ったモンキチョウ、野菜畑の葉にとまり風を避けているモンシロチョウの2種のみ。 野菜畑はモンシロ幼虫(=青虫)だらけ、カリフラワーの新芽に10頭以上が群がり、おいしそうな白い新芽を食い散らかしている。農薬をまったく使っていないのが一目瞭然。 ヨモギの葉を綴り中に潜んでいるヒメアカタテハの幼虫を見る。〔東播磨地方〕 *日頃、メインで使っている愛機が故障!プリント基板の劣化が原因とのこと。それでもって修理費は何と4万5千円!このまま修理するかor中古を探すか、迷うところである。

11月12日(曇り時々雪&アラレ、一時晴れ:但馬高標高地) ウスイロヒョウモンモドキ保護活動の一環、生息地に設置している各種気象観測計器の冬対策のため、早朝から但馬に向かう。 集合場所着10時、外は雪。とっても寒い〜!寒いと想像していたがまさか雪が降っているとは思わなかった。フリース素材のアンダーウエア、カッパの上下、長靴と常時車に積んでいる有り合わせの防寒対策で山に入るが、それでも寒い。体が慣れていないのだろう。 作業場所着11時、早速作業開始。風速計の架台の交換、日射計の架台の新設、雨量計、日照計の一時撤去、架台のワイヤー補強などの作業をこなす。 作業中にも、雪、アラレ、雨、晴れ、と目まぐるしく天候が変化する。時おり差す陽の光に雪山が輝く。氷ノ山山頂は雪雲の中、かなり雪が降っている模様。 ワイワイがやがやと楽しく作業は進み、午後2時前下山する。〔但馬地方〕

11月11日(雨時々曇り) 昨日までの晴天とは打って変わって、未明から雷を伴った強い雨が降る。朝は遅く、久しぶりにくつろぐ。 雨が弱まった正午すぎからフィールドへ。 レンタル菜園にて雨を避け静止するチョウを探すがなかなか見つからない。ようやくモンシロ、キチョウ、ヤマトを見つける。キチョウの飛翔撮影を試みるがことごとく失敗。 場所を変える。池の土手にチカラシバの穂にとまり、雨を避けるヤマト♀を見る。再び雨が強くなり早々に撤収する。〔東播磨地方〕

11月5日(快晴) チョウとは別の撮影目的で夜明け前から但馬に向かう。 ズバリ狙いは雲海に浮かぶ天空の城・和田山竹田城。朝6時半、円山川を挟んだ対岸の高地、立雲峡にカメラを構える。白々と夜が明けるなか期待通り、深い霧の彼方に、頂上に石垣を配した竹田城史跡が浮かぶ。川沿いに広がっているはずの集落や道路・鉄道ははるか下界の雲の中。実に幻想的な光景が広がる。刻々と変化する雲、朝日に照らされた石垣、次第に高度を下げ消えていく霧、明るさを増す青空、それぞれの織り成す一瞬を切り取りながらシャッターを押す。朝露に濡れならが至福の3時間を過ごす。 午前10時、一路南下し北播磨のクロツ生息地に向かう。ツメレンゲの花期は終了し、種をつけ始めている。念入りに石垣を見て回るが、わずかにボロのメス1頭を確認するのみ。 更に南下する。一昨日のツマグロキチョウ目撃談に刺激を受けた友人が昨日、同じポイントで調査したところ、ツマグロキはいなくて代わりにいたのが何とウラナミジャノメ!当地のウラナミジャノメは6月のみの1化であり、2化は確認していない。さらにこの時期に目撃とは!友人に目撃地の詳細ポイントを聞いて、時間をかけて探すが見つからず。 狭い場所を低く飛ぶキタテハを見る。ブッシュに潜り込んだかと思うと這い出てきてまた飛び回る。そのうちに潜り込んだ後出てこなくなり、ブッシュをかき分け探したところ、茂みの奥深くの枝に頭を下にして完全静止していた。こんな行動を繰り返しながら冬眠に入っていくのであろう。〔但馬・北播磨・東播磨各地方〕

11月3日(快晴) 早朝から爽やかな秋の青空が広がる。 気温が上がった10時からフィールドに出る。 田んぼの中にある花畑には晩秋のチョウが集まっている。 ヒャクニチソウの遅咲きの花に、ツマグロヒョウモン♂3頭、チャバネセセリ4〜5頭が集まり蜜を吸っている。 白いキクにはキタテハ2頭。 田んぼのあぜのセイタカアワダチソウで蜜を吸う新鮮なツマグロヒョウモン♀、キチョウ、チャバネセセリを見る。 モンシロチョウやヤマトシジミは多い。 新鮮なベニシジミを見かける回数は減ってきた。 撮影地を移動する。 アラカシの林の縁を飛ぶウラギンシジミ♀を見る。しばらくするとアラカシの葉にとまり翅をV字に広げる。 同じくアラカシで開翅していたのはムラサキシジミ♂。メスに比べ深い紫色が陽の光に鈍く輝く。このオス、日向ぼっこのあとはセイタカアワダイソウの花で蜜を吸い始めた。 畑のなかを低く弱弱しく飛ぶアオスジアゲハを見る。11月になっても見かけるとは思わなかった。当地の終見記録かも? さらに場所を変える。 ヒメヒカゲ生息地の草原を歩く。 トウカイモウセンゴケの冬葉、リンドウやセンブリの花を見るにつけ、植生豊かな草原であることを改めて感じる。 草原を低く飛び続けるやや小さく、色が濃いキチョウを見つけ、もしやツマグロキチョウでは?としつこく追い回し、やっと一瞬とまったところを確認、予想通りツマグロの方であった。当地では数年振りの確認である。 更にもう1頭目撃、どうやらこの草原に生息しているもよう。撮影は失敗。〔東播磨地方〕

10月29日(晴れ後曇り) 天気が回復したのを見計らって午前10時からフィールドに出る。 久しぶりに雑木林の縁の畑を回る。 セイタカアワダチソウは満開、ツマグロヒョウモン♂♀、ヒメアカタテハ、イチモンジセセリ、チャバネセセリの吸蜜を見る。 コセンダングサで吸蜜していたのはキタテハとキチョウ。 刈り取りの終わった田んぼを背景にフィッシュアイ接写を試みるがうまくいかない。 ウラナミシジミの求愛行動を見る。オスは逃げ回るメスをしつこく追い駆ける。 キャベツ畑にモンシロチョウが多い。ときに葉の裏に止まり腹を曲げ産卵している。 ヤマトシジミは今が盛期、どこでも数多く飛んでいる。 一旦帰宅、昼食後撮影を再開する。 コスモス畑を飛ぶモンシロを見る。メスは吸蜜、オスはメスを探すため止まることなくずっと飛んでいる。メスは白い花を好み、決して濃い紫色の花では蜜を吸わない。交尾拒否のメスとそれでもまとわり付くオスを見る。セイタカアワダチソウでは2ペアが交尾中。〔東播磨地方〕  

10月28日(晴れ後曇り、午後から時々雨) チョウ撮影とは関わりなく、純粋に登山目的のため早朝から四国徳島、剣山に向かう。 加古川バイパス、第二明神、明石海峡大橋、淡路鳴門道、鳴門大橋、高松道、一般道、徳島道、と基本的に自動車専用道路を使用したが料金の高いことこの上ない!たった170kmしかないのに、長野県に行くよりはるかに高い!美馬ICから一般道を南下する。国道とは名ばかりで車一台がようやく通れる山道を延々40km。道路を含めインフラを整備することが全面的に良いとは言えないが、それにしても四国の山道の貧弱さには驚かされる。 ちょっとした町まで20〜30kmある山中にも人は生活している。人が途切れることのない東京の喧騒とは大違いだが、やはりここも日本なのである。言葉では言い表せない地域格差を実感した本日であった。 剣山山頂(標高1955m)の気温は9℃、紅葉は終盤。〔徳島県〕

10月27日(晴れ) 仕事で外出中、クロアゲハ、ナミアゲハ♀の飛翔を見る。今年最後の両種成虫の目撃か?。〔神戸市〕

10月22日(晴れ後曇り) 朝露に濡れる被写体を探しに朝6時半からフィールドに出る。 予想通り田んぼのあぜはしっとり濡れている。しかも気温は低い。 翅に細かい水滴を付け微動だにしないシルビアを見つける。日頃は使わない三脚を持ち出し、105mm望遠マクロで超クローズアップを狙う。被写界深度は極めて浅く、わずか数mmしかない。性格的には合わないが、こんな丁寧な撮影もたまには良いか・・・である。 コセンダグサにとまるヤマトを見る。 所用のため8時に引き上げる。〔東播磨地方〕

10月21日(晴れ) 朝晩はかなり冷え込むようになってきたが、依然として日中は暑い。 朝8時自宅発で西播磨に向かう。9時現地着。まだ下草は露に濡れている。 10時前頃からチョウが飛び始める。まずはキチョウ、続いてテング、キタテハ、ルリタテハ、やや遅れてヤマトシジミ。 薄紫のキク科の花にキタテハが多い。周囲を見れば草地一面のカナムグラ、多いはずである。 セイタカアワダチソウは今が満開。テングやキタテハ、ハナバチが集まっている。 それにしても岡山県境の山間部で見かけるのは、テング、キタテハ、キチョウの3種だけ。 人家周辺では前述の3種に加え、ヤマトシジミ、ベニシジミ、モンシロ、アカタテハ、ウラギンシジミ、ウラナミシジミが混じる。 ヒョウモンの姿は見かけない。 スジボソヤマキも姿を見せず。 撮影地を移動する。 標高を下げ人家周辺を散策する。 一ヶ月前にキマダラモドキが群れていた栗林はひっそりしていて何も飛び出さない。 ナラガシワの幼木にとまるオオチャバネセセリ♀を見る。見事に鱗粉が剥げ落ちている個体。 明るい土手も飛ぶアカタテハを見る。〔西播磨地方〕

10月15日(快晴) フィッシュアイ試し撮り2日目。天気も上々、午前9時半、花公園に向かう。美女モデル(もちろん人間です)撮影会のためあちこちに黒山の人だかり。 悲しい性か、いくら美しくても人間が被写体では撮影意欲が湧かず、美女を横目に、コスモス花壇に直行する。 予想に反して集まっているチョウの数が少ない。広い花壇に、ヒメアカタテハ1〜2頭、ツマグロヒョウモンは3〜4頭、イチモンジセセリやチャバネセセリですらポツリポツリとしか見かけない。唯一多いのはモンシロ。公園側もモンシロが群れ飛ぶことを狙って、外来種のアブラナ科の植物を植えているとのこと。仕方がないのでモンシロの飛翔撮影を試みる。まあ何とかコツらしきものは掴めたが、如何せん被写体が真っ白なので適正露出に合わせるのが難しい。益々人が多くなったのを見計らって1時間で切り上げる。 撮影地を移動する。 池の土手、乗り面のアザミで蜜を吸うのはキタテハ。まったく警戒なし。20mmまで近寄って思う存分撮影する。 ウラギンスジヒョウモン♀は静かに止まっている。計4頭見かける。 イチモンジセセリの超クローズアップ撮影を試みる。 所用のため一旦帰宅、午後3時から自宅周囲を歩く。 稲刈りの終わった田んぼの周囲にボロのヒメジャノメが多い。セイタカアワダチソウはこれからが満開。テング、ツバメ、モンキを見る。〔東播磨地方〕

10月14日(晴れ時々曇り) 朝7時からフィールドに出る。2週間前と同じコースをたどる。 まずは田んぼのあぜのシルビア生息地へ。 辺り一面朝露に濡れてすがすがしいが、ヤマトやベニはいるものの肝心のシルビアは姿を見せず。 シルビアを求めて場所を変える。陽が高くなり、キタテハやモンキ、ヤマトが活動し始める。大型のシルビア♀を発見するが足場が悪く、撮影を断念する。 池の土手の草地、今日は時間がまだ早いのか、ウラギンスジヒョウモンの姿は無し。 北上しクロツ生息地に向かう。石垣のツメレンゲは咲き始めている。石垣の上の草地に5〜6頭のクロツが翅を広げ休んでいる。超新鮮からややスレまでさまざま。後翅表、縁の白のラインが鮮明な個体だと撮影意欲が湧いてくる。時間をかけてじっくり撮影する。 後翅をほとんど失ったクロアゲハ♀を見る。 アザミで蜜を吸うのはキタテハ。 ウラナミシジミは活発に飛び回っている。 さらに北上し但馬に向かう。 ツマグロキチョウはたった2頭を見るのみ。止まることなく延々と飛び続けるため、シャッターチャンスは無し。 ノコンギクで蜜を吸うキタテハ、ヒメアカタテハ、ベニシジミを見る。 ウラギンヒョウモン♀は何とか生きながらえているが、飛び方は弱弱しい。 高原では日中でも気温は20度を下回っている。キチョウ、モンキ、アカタテハは活発に飛び回っている。〔兵庫県各地〕 *本日からフィッシュアイズーム(10mm〜17mm)を導入しました。なかなか楽しい使い心地です。

10月9日(快晴) 兵庫県他地元関係団体共催の「高丸山(ハチ高原)秋の植物観察とオミナエシの植栽会」に参加するため早朝から但馬ハチ高原に向かう。9時半現地到着。早速、昨日、大規模な地滑りが発生した高丸山南西斜面を確認する。地滑りは約20年前発生した箇所の続きの斜面で発生し、高丸山から氷ノ山へ向かうメインの登山道の下部は崩壊していた。この道は当分使えそうにない。 観察会には地元の皆さんを中心に約50名もの参加者があり、主催者からのパワーポイントでの説明の後、皆で山に登る。 紅葉にはまだ早いがススキ草原には晩秋の風情が漂っている。 見かけるチョウの姿は少なく、オオウラギンスジヒョウモン、ウラギンヒョウモン、テング、キチョウ、モンキチョウ、キタテハ、アサギマダラなどを見るのみ。 ヒオドシやツマグロヒョウモン、ヒメアカタテハ、ムラサキシジミらしい飛翔個体を見るが同定できず。 キタテハは沢筋のオタカラコウの花で蜜を吸っていた。 オオウラギンスジヒョウモン、ウラギンヒョウモンは盛んに産卵する仕草を見せるが産卵は確認できず。 リンドウやウメバチソウ、センブリはいたる所で咲いている。 参加された皆さんの期待を背負ってウスイロヒョウモンモドキの越冬前幼虫を探すが見つけられず。是非、皆さんに実物を見てほしかっただけに残念!昼食後、手分けしてオミナエシの苗を植える。地元の皆さんが種から育てた苗の数はなんと900株、あまりの多さにしばし呆然。 今までオミナエシの自生密度が低かった南側斜面のリフト沿いとその横の草原に集中して植える。50人もいるとアッと言う間に片付いてしまう。地元の方々はウスイロヒョウモンモドキやオミナエシのことをよくご存知で、話を伺っていると、自然公園法の改正と相まって、今後地元の宝として守っていこうという強い決意を感じる。我々兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会としても全面的に協力を惜しまないつもりである。 抜けるような青空の下、高原を吹き抜ける風は爽やかで時間の経つのも忘れるほど楽しい時間を過ごす。〔但馬地方〕

10月8日(快晴) 朝から晴れ間が広がるが北よりの風が強い。 10時前からフィールドに出る。まずは池の土手の草地に向かう。 期待通り、アザミの花にウラギンスジヒョウモンが群れている。メスばかり5頭、すばらしい光景である。吸蜜に夢中でレンズが近寄っても気にしない。翅が破損していない個体から大破までさまざま。 池の土手、強風が吹き付けるハギの株にメスグロヒョウモン♀を見る。吸蜜しているのではなく、風を避けているようだ。 キタテハ秋型を見る。 午前11時、所用のため一旦帰宅、再び午後1時から撮影に戻る。 ムラサキツバメの棲む公園のマテバシイの枝が綺麗さっぱり切り払われていた。なかには樹丸ごと切り倒され、がっくり!もちろんムラツの姿はない。 撮影地を変える。 丘の上、アラカシの樹液はもう出ていない。従って、サトキマダラヒカゲ、コムラサキ、ルリタテハ、ナミヒカゲなど1頭も見かけない。 アラカシの生垣でもムラサキシジミがいない。 ウラナミシジミ、ベニシジミ、イチモンジセセリ、ヒメアカタテハなど花壇に集まっているチョウを撮影する。 車を運転中にナミアゲハ、キアゲハ、ツマグロヒョウモンを見る。〔東播磨地方〕

9月30日(晴れ) 昨晩の天気予報を信じ、6時起床で7時からフィールドに出る。今日は近場からスタートし次第に北へと各ポイントを訪ねていく。 朝露に群れる草地にシルビア♂の開翅を見る。新鮮なオス、翅表のブルーも深く、美しい。まだ気温が低いため飛べないことをこれ幸いに、じっくり撮影する。他にも数頭下草にとまっているが、ボロが多い。 同じく朝露に濡れてじっとしているキタテハを見る。 サワヒヨドリで蜜を吸うメスグロヒョウモン♀を見る。8時を過ぎるとツマグロヒョウモン、キチョウ、イチモンジセセリが飛び始める。 撮影地を移動する。次に訪ねたのはクロツバメ生息地。今年最後の発生時期にはまだ早いらしく、わずかに1頭を見るのみ。 ヒガンバナで吸蜜するボロのカラスアゲハ♀を見る。 更に北上し、ツマグロキチョウ生息地のスキー場に向かう。カワラケツメイの株は大きく、花を咲かせ実を付けている。斜面を歩くとツマグロキチョウが飛び出す。最初に現れた個体は羽化不全らしく、前翅先端がねじれていた。その後、パラパラと姿を見せるが全体的に数は多くない。気温が高いため飛び回るばかりで、葉や花にとまることは少なく、撮影チャンスは少ない。夏型に比べて前翅先端は鋭くとがり、後翅裏にはくっきりと波模様が現れている。 産卵行動を見せるのはオオウラギンスジヒョウモン♀。 モンキチョウ、モンシロチョウは活発に飛ぶ。 この秋初めてウラナミシジミを見る。 アカツメグサにとまるアカタテハは新鮮。 スキー場を後にして渓谷に向かう。ここでもヒョウモン♀が多い。一番多かったのはミドリヒョウモン。道端の枯れ草にとまり、腹を曲げ産卵する仕草を見せるが卵そのものは確認できず。 ヤマアザミの花は咲いているがお目当てのスジボソヤマキは姿を見せず。 更に北上する。最後に訪れたのはウラジロガシの森。目的はヒサマツ♀の産卵である。風も無く、快晴、気温は18度から20度と絶好のコンディション!にもかかわらず姿を見せず。考えてみれば超難関の生態シーン、そんなに簡単に出遭うわけがないと妙に納得し、3時に撤収する。〔兵庫県各地〕 

9月24日(晴れ時々曇り) 睡眠たっぷりで気力・体力とも回復。早朝から西播磨を回る。朝7時半、千種川沿いの日陰では気温は13℃しかない。8時から探索を始めるが、如何せん気温が低く、何も現れない。9時をまわりようやくヒョウモン類が活動を始める。体温を上げるために翅を広げるミドリヒョウモン♀、オオウラギンスジヒョウモン♀を見る。動きが鈍いくせに人の気配に敏感で近寄らせてくれない。朝露に濡れた草地を歩き回り、おまけに休耕田の湿地に足を取られて靴は泥まみれ、衣類はずぶ濡れと散々な目に遭いながら然したる成果なし。 見かける茶色のセセリのほとんどがオオチャバネ。ところによっては減少著しいと聞くが、当地ではイチモンジセセリより数が多い。 撮影場所を変える。民家の傍の花畑、ヒャクニチソウで蜜を吸うミドリヒョウモン♀を見る。気温も高く、足元も確かだと気分良く撮影できる。 クリ林のなかでボロのジャノメチョウを見る。大きな薄茶色のチョウが飛び出すと一瞬何か判らずハッとしてしまう。同じ場所でキマダラモドキを見る。数はヒカゲチョウと同じくらいか少し多い感じ。ほとんどの個体が多かれ少なかれ色あせている。翅はまったく破損していないものから、ボロボロまでさまざま。6月初旬の成虫発生初期にまじめに探したにもかかわらず見かけなかったのにこの時期、こんなに多いとは思わなかった。幹にとまることが多いが、下草にもとまるときがある。未成熟のまま腐り始めた柿の汁を吸うキマダラモドキ2頭、ヒカゲチョウ1頭を見る。 更に移動する。ニラの花で蜜を吸うミドリヒョウモン♂、オオウラギンスジヒョウモン♀、ベニシジミを見る。 岡山県境近くの山間の田んぼは今が稲刈りの真っ盛り、爽やかな風と明るい日差し、青い空と黄金色の稲穂・・・心が洗われるようである。〔西播磨地方〕

9月23日(快晴) 大急ぎで出張先から戻り、午後からフィールドに出る。爽やかな秋の空が広がっているが、前夜の深酒でまだ頭は朦朧状態。 ヒヨドリバナで蜜を吸うメスグロヒョウモン♀を見る。ようやく夏眠からお目覚めのようす。翅の破損は見られない。撮影のため、じりじりと近寄っていく途中、1mの距離で感付かれ飛び去られる。 池の土手のサワヒヨドリの群落にウラギンスジヒョウモン♀を見る。堂々たるメス。翅の開閉を繰り返しながらの吸蜜、次々に花を移動していく。狙った種を狙った場所で狙った時期に撮影できると喜びは格別。 クリの葉にとまる新鮮なコミスジ、ボロのアサマイチモンジを見る。 撮影場所を移動する。 別のサワヒヨドリの群落でも吸蜜中のウラギンスジヒョウモン♀を見る。こちらのメスはやや小振りでやや色が濃い。ありがたいことに近寄っても警戒する素振りは見せない。わずかに翅は破損しているが、絶好のシャッターチャンス。2台のカメラで計100枚以上撮影する。 同じ場所でキタテハ秋型、ツマグロヒョウモン、シルビアを見る。本日は計4頭のウラギンスジヒョウモンを確認、すべてメス。こんなに出遭ったのはたぶん初めてである。午後1時半、青い空とは正反対に益々気分が悪くなり、不本意ながら撤収する。〔東播磨地方〕

9月18日(曇り、午後から時々晴れ) 台風は逸れたが、南からの風が強く、蒸し暑い日。 午前中はノンビリ、午後からフィールドに出る。依然として風が強く撮影には向かない。友人から情報を得てジャコウアゲハ発生地に向かう。 河川の中に生えるヤブカラシで吸蜜するジャコウ♀を見る。よくよく見れば河川の法面の草地など、そこかしこに飛んでいる。新鮮なものからボロまでさまざま。発生時期の関係か見かけるオスとメスは同数くらい。 羽化したばかりと思われる新鮮なメスを発見、前翅先端はまだフニャフニャ状態で十分に固まっていない。撮影後しばらくして飛び立ったところ、アッという間にオスに纏わり付かれ風に流されていった。 ヤブカラシにはナミアゲハが多く集まっている。メス1頭に求愛するオス3頭を見る。4頭が連なって延々と飛ぶ姿は見ていて壮観。 川床に生えるヤナギの木でテリを張るコムラサキを見る。 キタテハ夏型はボロ。 スルボの花で蜜を吸うイチモンジセセリを見る。〔東播磨地方〕

9月17日(晴れのち曇り、夕方から雨) 天気予報は大外れで朝から快晴、青空が広がる。気温も高い。 夏眠明けの大型ヒョウモンを狙って、池の土手のヒヨドリバナの群落に向かう。 ヒヨドリバナ、オミナエシ、ワレモコウ、ハギと花は咲きそろっているのに、お目当てのウラギンスジヒョウモン、メスグロヒョウモンの両方とも姿を現さない。いるのはツマグロヒョウモンばかり、オスはテリ張り、メスはオミナエシの花で吸蜜に忙しい。黄金色に染まった田んぼや澄んだ秋の空など、東播磨の田園風景をバックに広角接写を試みる。 撮影場所を変える。民家の庭先に咲くノウゼンカズラで蜜を吸うナガサキアゲハを見る。新鮮でとても大きなオス。花のなかに体を押し込んで蜜を吸っていた。 荒地に咲いたヤブカラシの花で蜜を吸っていたのはクロアゲハとアオスジアゲハ。105mm望遠でアオスジアゲハが花から花へ移動飛翔する瞬間を狙ってみる。 シルビア♀は新鮮。綺麗に刈られた池の土手の草の中を潜り込むように飛び、休む。〔東播磨地方〕

9月16日(朝のうち雨、のち曇り) 台風接近で雨が降るなか早朝から但馬に向かう。今日は「兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会」の活動の日、トランセクト用ポールや採集禁止看板の片付け、観測計器類の一時取り外し、そしてメイン行事のウスイロヒョウモンモドキの幼虫調査を行う予定。10時現地集合、カッパに長靴、予備の傘、持参のカメラもナイロン袋ですっぽり被い準備は万全。 尾根筋では風速20m以上もあろうかと暴風が吹き荒れている。 ウスイロ幼虫はまだ越冬状態に入っていない。3齢幼虫がオミナエシの葉を活発に食している。初齢では100頭以上の集団も珍しくないが、今ではせいぜい10頭くらいの集団。それでも葉の裏に糸を紡いで巣を作り、糞まみれになっている。 風が弱まり薄日が差すと、ナミジャノメ、ミドリヒョウモン、ルリシジミ、キチョウが飛び出す。 地面にとまっているオオウラギンスジヒョウモンのメスを見る。夏眠明けだが翅はほとんど損傷していない超大型個体。じっくり撮影するつもりが、4カット撮ったところで強風に流されて行った。 イチモンジセセッリ、キマダラセセリを見る。 シシウドの花跡にキアゲハ終齢幼虫を見る。 高原はススキをはじめ秋の花が数多く咲いている。 滞りなく予定を消化し午後1時過ぎ山を下りる。〔但馬地方〕

9月10日(晴れのち豪雨、夕方一時晴れのち曇り) 天気が目まぐるしく変わる一日、湿度も高く、一時集中豪雨に見舞われる。 終日所用をこなし、天気が回復した午後4時過ぎからフィールドに出る。目指すはここのところ休日になると通っているマテバシイの生える公園。 まだ葉に雨粒が残る中、慎重にムラサキツバメを探す。ようやく黒い個体が飛び出したと思ったら、マデバシイの樹を離れ隣りのクスノキの葉にとまる。尾状突起も大きな、立派なムラツ!慎重に撮影する。陽が高いうちは人の気配に敏感で不用意に近づくとすぐとまる位置を変えていたが、再び雲が厚くなり出した午後5時以降はお休みモード、完全に活動を停止する。ストロボを使っての撮影に切り替え、数十カット写す。 10箇所以上薮蚊に刺されるが何とか持ちこたえ、5時半まで頑張る。〔東播磨地方〕

9月9日(晴れ時々曇り、一時雨) 東風の強い蒸し暑い一日、天気も晴れ、曇り、雨と目まぐるしく変わる。 10時から近場を回る。まずはいつもの花畑へ。 先週に比べ今日はアゲハ・キアゲハとも数が少ない。 今日はベニシジミ、チャバネセセリ、ツマグロヒョウモンに的を絞り超UPを狙う。 クロアゲハやヒメアカタテハ、キタテハが周囲を飛ぶ。 撮影地を移動する。 小高い丘の上、アラカシのわずかな樹液にサトキマダラヒカゲとヒカゲチョウが集まっている。サトキマ5頭、ナミヒカゲ2頭が押し合い圧し合いで汁を吸っている姿はなかなか見ごたえがある。 暗いアラカシの垣根にムラサキシジミが多産している。数えれば20頭くらいいるのかもしれない。葉先にとまり開翅する個体もいるが、新芽の汁を吸うためか、ちょこちょこと飛び回る個体が多い。このまま晩秋にかけて更に数を増やしてほしいものである。 ヤマトシジミ多い。交尾中のペアに他のオスがちょっかいをかけていく。 更に移動し、今日もムラサキツバメ探索に向かう。生息地は風が強く日差しも強烈。 木陰のマテバシイの幼木にとまっていたのに気が付かず、不用意に枝を動かしたため、アッという間に飛び去られてしまう。〔東播磨地方〕

9月3日(晴れ) 「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動の一環で、早朝からヒメカンアオイ自生地の下草刈りを行う。 うっそうとした雑木林の奥深く、直射日光は当らないが、それでも鎌や鉈を振るうとみるみるうちに汗が吹き出る。ヒメカンアオイに覆いかぶさるように生えるササやイヌツゲ、ヒサカキを排除していく。 *人目を忍んで、隠れるように、当地にギフチョウの成虫を採集に来る者に言いたい!虫屋・蝶屋の採集する権利を主張する前に、ギフチョウの生息する良好な里山環境を保全しようとする多くの人たちの汗が流れていることを知ってほしい!皆の苦労を知れば安易に網は振れないはずである! お茶1.5リットルを飲み干し、草刈りは午前中で終了する。 単独行動となり、お気に入りのアゲハ撮影ポイントに向かう。 今日もいるいる!6畳ほどの広さの畑の花に、キアゲハ6頭、ナミアゲハ5頭、イチモンジセセリやチャバネセセリは多数、ベニシジミ2頭、モンシロ1頭、更に新顔キマダラセセリ3頭、これだけ集まっていると思わず顔がほころぶ。 先日の撮影はキアゲハが中心だったので今日はナミアゲハに的を絞る。新鮮なオスに狙いを定め、数多く撮影する。 キマダラセセリも被写体としては好材料。 炎天下1時間撮影する。 撮影地変える。先日幼虫を確認したムラサキツバメ生息地に向かう。マテバシイの樹を丹念に見ていくと、大きな褐色のシジミが飛び出す。日陰の茂みに潜り込んだところにそっと近寄れば、やはりムラサキツバメ!しっかり尾状突起が付いていることを確認する。今後も継続調査予定。〔東播磨地方〕 

9月2日(晴れ) 朝から西播磨各地を回る。 ミヤマカラスで有名な渓谷は爽やかな風が吹きぬけ、すがすがしいが、チョウの姿は意外に少ない。わずかにボロのミヤマカラス♀とマイカーの屋根にとまったサカハチを見るのみ。 民家のそばのフヨウの花にアゲハが来ているのを見つけすぐ停車、撮影に入る。尾状突起も片方が無いボロのカラスアゲハ♀だが、時々後翅表の紫と緑が朝日に輝きなかなか美しい。この花で撮影しているといろいろの虫が蜜を吸いに次々やってくる。まずきたのはカラスアゲハ♂、次にクロアゲハ♀、ミツバチ、ハナバチ、ハナムグリがいくつも集まってくる。夏眠明けのウラギンヒョウモン♀、スジグロシロチョウ、オオスカシバなどが続く。 この株の隣に生える小さなシダレヤナギにコムラサキを見る。細い枝にとまっていたので産卵行動かと思ったら、樹液を吸っていた。よく見れば3頭も確認。 川沿いの草地でツマグロキチョウ夏型を見る。 移動し岡山県境のカシワ林に向かう。 きれいに草刈された草原からナミジャノメが飛び出す。この時期にしては珍しい新鮮なメス。 カシワの樹から飛び出したゼフらしき影はハヤシミドリ♀か? 更に南下する。 サワガニの轢死体で汁を吸うウラギンシジミを見る。このチョウはこの死体の汁が大好きなようだ。 キツネノマゴの花で蜜を吸うヒメキマダラセセリ、オオチャバネセセリ、スジグロシロチョウを見る。スジグロシロのメスが飛来したと思ったら、スジグロ♂はすぐに求愛行動に移る。メスは翅を広げ、腹を上げておなじみの交尾拒否の姿勢、このオスは諦めが早く、すぐ吸蜜に戻る。 県境に沿って更に南下する。 渓谷にイシガケを探すが姿を見せず。クヌギの幹で汁を吸うルリタテハを見る。 車の運転中にキアゲハ、モンキアゲハを見る。〔西播磨地方〕

8月27日(晴れ) 登山を思い立ち、少し早起きして兵庫県の最高峰、氷ノ山に向かう。体力の衰えが甚だしいので一番楽なルートを選択する。 下界とは打って変わって1000mを越える尾根筋はすがすがしい風が流れている。ガスがかかったと思えば晴れ間が広がり、目まぐるしく天気が変わる。登ること1時間、無事山頂到着。一息入れたのち下山する。 ヒメキマダラヒカゲ新鮮。とまったところをじっくり観察するが、第2化個体の翅裏がこんなに美しいとは今まで気が付かなかった。 クロヒカゲ、ヤマキマダラヒカゲも新鮮。ここのクロヒカゲはとても小さい。 風の弱い尾根の空間をフワフワと飛ぶアサギマダラを見る。 山麓に向かって車を走らせていると黒いアゲハが飛び出す。思わず飛び降り、葉にとまったところを撮影すると新鮮なミヤマカラス♂であった。 オナガアゲハ、カラスアゲハもフロントガラスの前を横切る。 最上部の集落、民家の庭先の花にもアゲハが集まっている。 カラスアゲハ♀を一瞬ファインダー捉えたが逃げられる。それにしてもこの時期、但馬の道はアゲハの交通事故死体であふれている。今日だけでも10頭以上見たように思う。 午後1時帰宅。所用をこなし、午後2時から再びフィールドに出て近場を回る。薄暗い雑木林の中でクロアゲハ♀を見る。不活発で飛び方も緩慢、すぐに葉にとまる。 クサギの花にモンキアゲハが集まっている。花の位置が高いため、撮影は難しい。吸蜜中のメスの背後で羽ばたきながら求愛を示すオスを見る。砂防ダムの下で吸水していたのもモンキアゲハ。 薄暗いアラカシの森にはムラサキシジミが多そう。日が高いうちは開翅することはない。 ヤマノイモの生える沢でダイミョウセセリを見る。撮影地を移動する。丘の上のアラカシの樹液にコムラサキ♀、サトキマダラヒカゲ、ルリタテハが集まっている。 コムラサキの翅裏は真っ黄色、先日の上高地の本種とは随分雰囲気が違う。時間をかけて撮影する。 各地でナガサキアゲハ、アオスジアゲハを見る。〔但馬地方→東播磨地方〕 

8月26日(晴れ) 今日も暑い!出張帰りの疲れで朝寝坊。午前10時からフィールドに出る。カンカン照りながら畑の植栽にアゲハ、キアゲハが群れている。キアゲハ4〜5頭、アゲハ2頭が入れ代わり立ち代わり吸蜜にやってくる。アレチハナガサやヒャクニチソウがお気に入り。イチモンジセセリやツマグロヒョウモン、モンシロチョウも混じる。一旦帰宅、その後ムラサキツバメが見られるという公園に向かう。成虫は見つからなかったが幼虫を見つける。頻繁にアリがまとわりついている。あまりの暑さに早々に撤収。 再びキアゲハの撮影に向かう。午後になってもキアゲハの数は多い。帰宅後、撮影した画像を見ていて気がついたことだが、アレチハナガサの吸蜜中に花の筒が抜け落ち、チョウのストローの中間位置に鞘のように留まっていた。こんなこともあるのか!と妙に感心してしまう。 車の運転中にクロアゲハ、ナガサキアゲハ♂、♀、アオスジアゲハを見る。特にナガサキ♀は後翅の白紋も大きく、堂々たる姿で飛んでいた。〔東播磨地方〕 *本日から新しいカメラを導入しました。最初はモノにならないかもしれませんが、常に新たな視点で撮影するよう心掛けますのでご期待下さい。

8月19日、20日(19日/但馬:雨のち曇り、のち晴れ - 20日/鳥取西部&岡山北部:晴れ時々曇り) 19日、台風の余波で大荒れの天候の中、当初の予定通り、兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会の活動の一環、ウスイロヒョウモンモドキの幼虫調査に向かう。朝から激しい降雨があったようだが、集合時間の10時には小降りになる。小雨をついて皆でフィールドに出る。 尾根筋では南寄りの強風が吹き荒れている。大の大人が吹き飛ばされそうになるところをみると風速は15m/秒を越えているのかもしれない。ガスもかかり視界がきかない。北側の斜面を下るとやや風は治まる。 遊歩道に白っぽいシジミが飛び出す。何かと思えばウスイロオナガシジミ、これ以上ボロにならないほどの個体、良くぞここまで生き延びてきたものだ!と感心する。 斜面の草地に踏み込むとナミジャノメが飛び立ち、強風に流され、ガスの彼方に消える。 ルリシジミは多い。 成虫の発生密度が濃かった周辺を中心にウスイロの幼虫調査を行うが、いつ雨が本降りになるか分からない中では時間との勝負。おまけに下草はべっとり雨に濡れている。当然、オミナエシの下葉も例外ではない。咲き始めたオミナエシの花を目印に、根本の株を探すがなかなか見つからない。天気の良い日とは大違い。約1時間、それでも7人で計20巣弱を見つける。天気さえ良ければまだまだ見つけられそうだが、案の定、雨が降り出し早々に引き上げる。 シシウドにキアゲハの幼虫が多い。幼虫調査は正午に解散。 明日の大山登山のため、鳥取西部に向かう。 20日、朝6時起床、7時半登山開始。下部の樹海のなかではクロヒカゲが多い。上部は強風とガスの中、時おりの日差しにヒョウモンが流れていく。ミドリヒョウモンは確認したが、他は同定できず。たぶんウラギン♀であろう。 頂上はすっぽり雲の中、気温も低い。標高差900mを往復計4時間で踏破する。さすがに疲れた! 登山道でアサギマダラを数頭見かける。 帰路、岡山北部ルートを選択し、ゴマを見に行く。いつものポイント着午後1時。昨年に同じく、今年も数が少ない。時期的なものかもしれないが、人の踏み跡の多さに気がめいる。過度の採集圧がかかっていないことを祈るのみ!ボロメスの産卵行動を見る。この時間になるとハギの花での吸蜜かワレモコウでの花穂での産卵しか静止することはない。この種の撮影は早朝に限ると再認識する。ツバメシジミの交尾を撮影し帰路のつく。〔兵庫県但馬地方、鳥取県西部地方、岡山県北部地方〕

8月18日(晴れのち曇り、一時雨、夕方曇り) 昨日によく似た天気の一日。雨雲が広がり始めた午後2時からフィールドに出る。 竹林の縁、明るい草地のヤブカラシの花にナミアゲハが集まっている。新鮮なオスが多い。吸蜜を撮影中にふと足元を見ると、交尾ペアがいた。このペアに他のオスが盛んにチョッカイをかけるが、動じることなし。メスが上、オスが下のぶら下がった状態での交尾。接近しすぎたため飛び立つが、メスのみの飛翔で結構飛び回る。メスはクリーム色、オスはやや緑がかった白色とコントラストが美しい。 ヤブカラシの花で蜜を吸うホシホウジャクを見る。 クサギの花で吸蜜するクロアゲハ♀を見る。 撮影地を変える。道路わきの畑にヒャクニチソウとコスモスが多く咲いている。案の定、キアゲハが吸蜜中。イチモンジセセリやチャバネセセリ、ツマグロヒョウモンもいる。車でのアクセスも良く、田園地帯の背景も良い。これからも来ることにしよう。〔東播磨地方〕

8月17日(晴れのち曇り、一時雨、夕方晴れ) 台風の影響で天気が目まぐるしく変わる蒸し暑い一日。 一雨降ったあと、午後2時からフィールドに出る。13日、15日に続き“樹液食堂”に向かう。まだ雨が残っているためか今日はゴマダラチョウは1頭もいない。サトキマとルリタテハのみ。変なポーズで幹にとまっているサトキマをよく見れば、カマキリに囚われ頭からバリバリ喰われているところ。そのうちに他のサトキマが1頭まとわり付き始める。救出に来たのでは?と思うのは人間的な発想。よ〜く見れば喰われているのはメス、まとわり付いているのはオス。カマキリに喰われているメスに求愛しているオス、とういうのが真相であろう。 撮影地を変える。ヒメヒカゲ生息地の草原にボロのナミジャノメ♀を見る。見かける個体すべてボロボロのメス。 更に撮影地を移動する。小高い丘のアラカシの“樹液食堂”にサトキマとナミヒカゲ、ルリタテハが集まる。サトキマは頭を樹液の穴に突っ込んで熱心に汁を吸っている。アラカシの垣根にムラサキシジミが多い。新芽も多く、今秋は大発生の予感。飛翔撮影を試みるが満足できる成果は無し。〔東播磨地方〕

8月15日(晴れ) カンカン照りの猛暑が続く。 午前9時、六甲山中の“クヌギ樹液食堂”に向かう。オオムラサキを期待したが樹液そのものが枯れてしまい、虫はいない。食堂は閉鎖中と言ったところか。一旦帰宅、午後から再び活動開始。まずは2日前の“食堂”へ。今日のやぶ蚊対策は万全、ズボンの裾からの進入を防ぐため、靴下を上に出し、手には軍手、顔にはタオルのマスク、帽子を被り、更にヤッケを着込みフードを絞る完全防備。 吸汁中のゴマダラ3頭を撮影する。他に来ていたチョウはルリタテハ、サトキマダラヒカゲ。完全防備が功を奏し、今日は落ち着いて撮影する。それでもメガネのわずかな隙間からやぶ蚊の侵入をゆるし、計2箇所顔を刺される。 同じ場所の日向に夏型キタテハが多い。 撮影地を移動、北播磨に向かう。 民家の石垣にクロツバメシジミを探す。カラカラに乾いた石垣、しかも一日のうちで気温が最も高い午後2時、真夏の強烈な日差しが90度の角度で直撃している過酷な状況、それでもクロツはいた!新鮮からボロまでさまざま。暑さのためか石ではなく、緑の柔らかい葉のうえに静止していることが多い。日差しに対して正確に垂直になるようなポジションを保っている。それでも同種のオスが近づくと果敢に飛び立ち追尾行動を見せる。もっと観察したかったが、如何せん、こちらの方が先に暑さに参ってしまい30分で撤収する。〔神戸市、東播磨、北播磨〕

8月13日(晴れ) ここ数ヶ月の疲れがドッと出たらしく、起きられない。これからはスローダウンすることにしよう。 朝からカンカン照りの青空が広がっている。 午前中に所用をこなし、午後2時前からフィールドに出る。竹林の裏の“クヌギ食堂”には多くの虫が集まっている。ゴマダラチョウ5〜6頭、サトキマダラヒカゲも同じくらい、カナブンやオアカナブンは数十頭単位、スズメバチ、昼真っからカブトムシ、といったところ。でも何といっても多いのがやぶ蚊、それこそ無数に湧き出てくる。虫除けスプレーをこってり吹き付けていてもお構いなし。シャッターを切る回数より、蚊に刺される回数の方が断然多い。ここでの撮影は時間との戦いでもある。 ゴマダラは人の気配に敏感、近距離でストロボを焚こうものなら一斉に飛び去ってしまう。動きが鈍いカブトムシとサトキマダラのセットを中心に撮影するが、ついにやぶ蚊の攻撃に降参!10分も耐えられず撤収する。 畑の中のヒャクニチソウにキアゲハやナミアゲハが吸蜜にやってきている。ボロが多い。青空をバックに飛翔撮影を試みる。 ヒャクニチソウの花陰にカマキリが潜んでいる。キアゲハの捕獲に失敗し、キョキロキョロしている様子は人間ぽっくてなかなかよろしい。 イチモンジセセリはまだ数が少ない。 アラカシの木陰にムラサキシジミを見る。 ユキヤナギの株の周囲を飛ぶホシミスジを見る。〔東播磨地方〕

8月5日、6日(晴れ) 朝2時半起床で長野県に向かう。 午前8時、撮影仲間と待ち合わせ、そろったところで山に入る。当地を襲った先日の集中豪雨の影響はほとんどなくまずは一安心。林道を登ること1時間、クガイソウで吸蜜するオオゴマシジミを見る。まだ出始めらしくとても新鮮。このチョウの蜜の吸い方は、静止してではなく、気ぜわしく花を歩き回りながら蜜を吸う。カメラを構えてもなかなか気に入った構図にならない。さらに奥に進む。林道や沢をポツポツと飛ぶ姿を見るがそれほど数は多くない。いつも蜜を吸っているアザミはまだつぼみのまま。結局、シャッターチャンスは最初の遭遇のみであった。オオゴマばかり頭にあると、ヒメシジミやウラゴマダラシジミ、ゴイシシジミまでもがオオゴマに見えてしまう。 林道に咲くヨツバヒヨドリにヒョウモンが多い。一番多いのがミドリヒョウモン、続きオオウラギンスジ、ウラギンといったところ。標高が高いところではコヒョウモンが混じっている。 エルタテハやシータテハ、クジャクは新鮮。ダケカンバの幹にとまるヒオドシチョウを見る。 突然、黒い小さなタテハが飛来したと思ったらコヒオドシであった。 一瞬、大きなタテハの影を見る。皆の意見を総合してオオムラサキとしておこう。 カラスシジミは新鮮。ヨツバヒヨドリの花で蜜を吸っていた。いつもこの時期のカラスシジミはボロなのに今年はなんでこんなに新鮮なの?そういえば、いつも出始めのキベリがいるはずなのに今回は姿を見せない。 食樹のまわりを滑空するオオミスジを見る。すべてメス、しかも大型。関西ではお目にかからない種なので、思わず見入ってしまう。 ミスジチョウが飛び出すがボロ、スレばかり。但馬、播磨ではなかなか出遭わない種でこれまで満足な写真が撮れていない。ここのミスジはトロいが兵庫のミスジは敏感な気がする。 キバネセセリ多い。ヨツバヒヨドリは獣糞に集まる。この種も兵庫県ではわずかに記録があるが、今でも本当に生息してのかどうかさえ判らない。兵庫県産のチョウ撮影において最難関種であろう。 吸蜜中のオオチャバネセセリを見る。とても大きなメス。兵庫県産とは一回り以上大きさが違う。 スジボソヤマキチョウを草原でも林道の中でも見かける。 撮影地を変える。 ムモンアカは新鮮。まだ出たばかりの感じがする。下草にとまっていた個体に気がつかず、不用意に接近したため、樹冠に飛び去られてしまう。今日は卍飛翔は見られず。 草原にスジグロチャバネセセリを見る。炎天下であっても活発に飛び回っている。 ホシチャバネセセリも数が少ないながらポツポツと見る。あまりにも小さいため一旦飛び立つとすぐ見失ってしまう。でも遠くにはいかないため、付近を丹念に探せば再発見できることが多い。 アカセセリは姿を現さず。 疲労のため早めに宿に入る。 翌朝、4時起床で上高地に向かう。7時でも気温は14度しかなく肌寒い。この時間では飛ぶチョウは少なく、クロヒカゲやキマダラヒカゲなどしか見かけない。お目当てのひとつ、オオイチモンジは姿を見せず。他の種の出現から考えるといないはずはないのだが、なぜか唯の1頭もいない。コムラサキ多い。特に獣糞には群れ集まって汁を吸っている。その中に1頭クロコムラサキが混じっていた。初めての出遭いに感激する。他の個体より翅表のムラサキの輝きが鈍く、V字開翅するときなど、後方からみればイチモンジチョウのように見える。他の個体に比べやや敏感。時間をかけてじっくりと数多く撮影する。クロコムラサキ撮影時にエルやフタスジ、コヒオドシなども次々やってくる。 やや暗い遊歩道にクリソゼフ♂を見る。アイノかメスアカかと思われるがとまらず同定できず。 午後から標高を上げて高山チョウ各種の撮影に向かう。期待通り、まず現れたのがクモマベニヒカゲ。登山道脇の草にとまったところの撮影を試みるが、カメラのスタンバイに手間取り、モタモタしているあいだに、別のクモベニが現れ、2頭がもつれ合い飛び去られてしまう。がっくり・・・である。さらに標高を上げると頻繁にクモベニが姿を現す。いつものお花畑に到着、準備万端で撮影にかかる。まずクガイソウで吸蜜するクモベニからスタートする。後翅裏の白筋紋が鮮やか、表のベニ紋も深い赤ですばらしく美しい。 ベニ紋が薄く黄色っぽい個体をよく見れば、ベニヒカゲである。こちらも新鮮。翅をピタッと閉じれば、後翅裏が全面暗褐色のため、見事な保護色となる。クモベニとは大違いである。吸蜜行動に両種の違いは見られず。 アザミで吸蜜するタカネキマダラセセリを見る。毎日新聞の記事によれば、長野県の高山チョウ9種のなかで最も数が少ないのが本種であるとのこと。どれもややスレている感じ。吸蜜中のメスに求愛するオスを見る。逃げ回るメスを追い駆け、とまったところの近くで小刻みに翅を震わせる。以前に目撃したヒメキマダラセセリの求愛行動にそっくり。穂高連峰を背景に取り込み広角接写を試みる。時間の制約があり、わずか1時間の撮影ではあったが至福の時間であった。午後2時下山を開始する。〔長野県〕

7月30日(曇りのち晴れ) 朝4時起床でこの時期恒例のキリシマを見に鈴鹿に向かう。朝は雲も厚く、途中では雨さえ落ちてくる。不安がよぎるが鈴鹿に入ったとたん、一気に晴れ間が広がる。午前9時半現地着。きせずして日頃から連絡を取り合っている撮影仲間に出会う。皆、狙いはキリシマ一本!すでにこの時間からアカガシの樹冠を活発に飛び回っている。仲間と別れプライベート撮影ポイントに向かう。ここでも多数のキリシマ♂が飛び回っている。テリを張るもの、アカガシの葉の茂みに潜り込み丹念にメスを探しているもの、樹冠を次から次と移動していくものの3種のオスの行動パターンがある。いずれであってもひとたび遭いまみえれば、追尾飛翔が始まる。時には卍になるが、今日確認した限りにおいては長くは続かなかった。アカガシの葉の中から飛び出したメスを猛スピードで追うオスを見る。メスもそれまでのヘラヘラした飛び方から豹変し、これまた猛スピードで逃げ回る。地面近くのブッシュの隙間も難なくすり抜ける。本種の飛翔能力の高さをいかんなく発揮する瞬間である。オス・メスともスレやカケが多い。でもこの時期こそ活動のピークかもしれない。今日は日差しが強いためか、全開翅するオスは少なく、V字開翅が多い。風が強くなるとすぐに翅を閉じてしまう。 キリシマ♂本来の金黄緑色の輝きを撮影しようと試みるがなかなかうまくいかない。とまる角度やこちらから見る角度が浅かったりすると、スカイブルーに見えてしまい、後方からでは輝きが失われてしまう。今日は撮影する方向と開翅する角度に翻弄された一日であった。クロコノマ、ミドリシジミ、トラフ、ヒメキマダラセセリを見る。〔三重県鈴鹿地方〕

7月29日(午後:雨) 出張先から大急ぎで帰宅し、そのまま猛ダッシュで但馬ハチ高原に向かう。北上する途中は気温も高く、夏らしいカンカン照り、でも午後但馬に付いたとたんに雨が降り出す。 今日は「大昆虫帝国 in KOBE 2006」のサテライトイベントとして開催された、ハチ高原昆虫採集バスツアーのうちのひとコマ、ウスイロヒョウモンモドキの保護活動について、子供たちに説明してほしいとの依頼に応えるべく、フィールドには出ず講演する。ウスイロヒョウモンモドキが激減している事実、生態、保護活動に至った経緯、保護活動の現状、昆虫採集の意義などをスライドを交えて説明する。つたない説明にも目を輝かせて聞き入ってくれる多くの子供たちの姿を見ると、正直この役を引き受けて良かったと思う。今後もひとりでも多くの昆虫少年を育てるお手伝いをしたいものである。あいにく間断なく雨が降り続き、子供たちお楽しみの昆虫採集は明日に持ち越し状況。スタッフの対応に感謝したい。〔但馬地方〕

7月22日(晴れ時々曇り) 昨夜の深酒がたたり、今朝はダッシュが遅れてしまう。朝8時に自宅を出て、但馬に着いたのは10時前。 クロシジミは新鮮から超ボロまでさまざま。メスの比率がやや高い。オカトラノオの花で吸蜜するボロオスを見る。気温が上がるにつれ活動は盛んになり、オスのテリ張りも見られるようになる。メスは不活発で樹の葉や下草にとまっていることが多い。天気の良い昼間、オスは開翅しないが、メスはV字に開くこともある。 ヤブレガサの花で蜜を吸うのはオオウラギンスジヒョウモンのメス3頭。どれも新鮮で大型、3頭も並んでいると思わず「オオッ!」と声が出る。 雑木林の縁をルリタテハが飛び回る。 キアゲハは新鮮で美しい。蝶屋世界の珍種志向とその延長線上にあるチョウ撮影と、珍種・普通種のこだわりなく純粋に美術的な完成度を求めたチョウ撮影はまったく別物である。どちらが良い悪いと言う問題ではないが、キアゲハなど普通に見られる美しい種を撮影してときなどよくそう思う。 撮影地を移動する。荒地の草原にツマグロキチョウが多い。栄養乏しい火山性土壌にはウマゴヤシやカワラケツメイ他数種の植物しか生えていない。ブタナ近縁の黄色い花やネジバナで蜜を吸う。求愛行動も頻繁に見られる。花から花へ次々写っていくためなかなか撮影は難しい。 更に移動する。渓谷奥のクルミ林に向かう。狙うはオナガシジミ。待つこと1時間、オニグルミの大木の樹冠にチラッと姿を見せる。一番近くでも7〜8mの距離がある。試しに、カメラ性能一杯である光学7倍×デジタルズーム2倍で撮影し、さらに2倍拡大でモニターを確認すると、オナガ特有の裏面の斑紋が写っていた。兵庫県内では今回が初撮影である。狙った時期に狙った場所で狙った通り成功する、増して初撮影となると“喜びもひとしお”である。 午後2時、カシワ林に向かう。ハヤシミドリは一気にオスからメスに入れ替わっている。オスを見かけることは無く、枝をたたくと飛び出すのはメスばかり。V字に翅を開くと前翅表のA紋が新鮮なのがよく判る。 ダイミョウセセリ交尾ペアを見る。オスメスとも新鮮。繋がった状態でも力強く飛ぶ。 クヌギの葉にとまるアカタテハを見る。 ウラギンヒョウモン♂はスレ個体が多い。 カシワの低木にとまるキマダラルリツバメを見る。ややスレながら尾状突起は4本とも残るトラ型のメス。初めて見るトラキマに心躍る。日頃、白い通常型に見慣れていると、トラ型にはどうしても違和感が付きまとう。静止中をバンバン撮影していると、もぞもぞと動き出し、腹部を曲げ、枝に押し付けながら盛んに歩き回るようになる。ひょっとしたら産卵か?と緊張し、いままで以上に注意深く観察する。しばらくすると枝の先端近くの産毛の生える樹皮に腹部の先を押し付け、腹部が脈動したかと思うと、卵をしぼり出すような仕草を見せる。卵を産んだように思えたがその時は確認できなかった。枝の先端近くを徘徊していたハリブトシリアゲアリ2頭のうち1頭が薄ミドリ色というか薄黄色の偏平な卵をくわえているのに気が付く。と同時に、産み落とされた卵の小ささに驚く。(帰宅後、蝶類生態図鑑で確認すると、ハリブトシリアゲアリはキマルリの孵化したばかりの幼虫の段階で巣に導くことになっていて、産み落とされた卵を運び込むとの記述は見当たらない。獲物のひとつとして卵を持ち去っただけかもしれないが、産卵直後から飼育を始めるという新知見につながる可能性もある。これだから観察、撮影はやめられない。見つけた瞬間にネットに入れてしまえばこうした生態は絶対に判らない) アリ自体も小さく、辺りも暗く、卵をくわえたアリをほどなく見失ってしまう。今日も日没とともに引き上げる。〔但馬地方〕

7月16日(曇り時々晴れ、午後夕立) 溜まりに溜まった所用をこなし、午後1時からフィールドに出る。2週間前、オオムラサキを確認した六甲山中ポイントに向かう。風は強く、雲も厚く、テリを張るオオムラサキはいない。 2時過ぎから約30分間、樹冠を旋回する姿を2度見かけるが下まで降りてこず。車に戻ったところ、危機一髪で土砂降りの雨になる。〔神戸市〕

7月15日(曇り時々晴れ、午後一時雨、夕方曇り時々晴れ) 今日も早起き、朝5時前から但馬に向かって車を走らせる。今日の予定は1週間前の日曜日にほぼ同じ。午前7時、アイノは今日も活発に飛び回っている。1週間前に比べて破損個体が多いが、なかにはまあまあのものも残っている。気温が上がるにつれ、活動は激しくなるが、一向に下には降りてこない。光り輝く翅表を遠めに眺めるのみ。10時までの3時間、たっぷり観察する。 ササの葉にとまるオオミドリシジミ♀を見る。 明るい林道脇に咲くアザミに大型ヒョウモンが集まっている。一番多いのがウラギンヒョウモン、ポツリポツリとオオウラギンスジとミドリが混じる。ウラギンヒョウモン♀の後翅裏面の銀紋が光り輝き美しい。オスに比べひとまわり大きく、やや黒いため遠くからでもよく判る。アザミの蜜は深いところにあるらしく、ストローを丹念に奥深く差し込んでいる。 10時半、ウスイロヒョウモンモドキのトランセクト調査を始める。オスはほとんどがボロ、メスは新鮮からボロまでさまざま。オカトラノオやヨツバヒヨドリの花に群れている姿をみるのは感無量。思い起こせば5〜6年前、1日足を棒にして捜しても数頭しかみなかったこと、わずかな発生個体を目の前で採集されてしまう脱力感、採集自粛をお願いしても逆に喧嘩腰で食って掛かられてしまったり、無視されたこと、ようやく守る会を立ち上げたことなどが次々に思い出される。 大気の不安定さ示す通り、黒い雲が低く速く流れていく。雷鳴がとどろいたの期に調査を中断し大慌てで下山する。 コキマダラセセリはようやく出始めたもよう。ヨツバヒヨドリで蜜を吸っている。同じ花株にコキマダラ2頭の他に、ウスイロ2頭、ウラギン1頭、ミドリ1頭、オオウラギンスジ1頭が仲良く蜜を吸っていた。 林道のなか、黒いシジミが飛び出す。何かと思ったらカラスシジミ。下草を落ち着き無く移動し、盛んにストローを伸ばしている。落ち着いたかと思えば、カラスシジミの仲間特有の体を傾ける仕草を見せる。目いっぱい体を倒すために、脚を広げ踏ん張る様子はほほえましくもあり興味深い。 新撮影地開拓のため未知に林道に入る。とんでもない山奥でもやはり集落が存在している。しかし廃屋ばかりが目立つ。何百年も続いてきた山村地域共同体の最後の姿かもしれない。 明るい林道の道端にオカトラノオの大群落を見る。集まっているチョウも多い。ざっと数えたところ、ミドリヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモン、ウラギンヒョウモンがそれぞれ10頭づつ、サカハチ、スジグロシロ、コチャバネ、イチモンジセセリ、ヒメキマダラセセリなど。なかに1頭、黒化型ミドリ♀が混じっていた。 林道を徘徊するうちについに雨が降り出す。一時、土砂降りとなる。たまらず下界へ降りて、喫茶店に入り体を休め、雨が止むのを待つ。雨が止んだ午後4時三たび山に登る。午後6時、雲が切れようやく晴れ間がのぞく。と、同時に一斉にハヤシミドリが活動を始める。今日も卍や追い駆けに忙しい。1週間前に比べるとボロの比率が増している。テリ張り静止中のオスをモニターに捉えシャッターを押したと同時に飛び立った。まったくマグレだったが、飛び立つ瞬間が見事に写っていた。1時間粘ってもまともなものはこれ1枚のみ。 ススキの葉にとまるホソバセセリを見る。 午後7時日没と同時に引き上げる。〔但馬地方〕

7月8日、9日(曇り時々晴れ) 前日の7日金曜日の夜から但馬に入り、8日、9日のウスイロヒョウモンモドキをメインにしたチョウ観察会に備える。 8日(土)朝5時起床、朝食も取らず、6時前からアイノミドリのテリ張りポイントに向かう。6時15分、最初の個体が現れる。7時前から数が増える。最多で7〜8頭が飛び回る。テリを張る位置は低くても4m以上の高さがある。15分に1回程度、追い出され止む無く、低い位置にテリを張る個体が現れる。間近で見ると意外に新鮮、尾状突起もしっかりと残っている。8時20分、宿に戻り遅い朝食を取る。 9時30分、ウスイロ生息地を目指して入山する。登山途中からウラギンヒョウモンが多い。 10時からマーキング調査を開始する。ネットを持つのは久しぶりなので、持った感じがカメラのようにしっくり来ない。発生初期でオスが多い。獣糞に集まり汁を吸っている集団を見る。調査を継続するメンバーと別れ、11時過ぎに下山し、観察会の準備に入る。13時、観察会開始。参加者にウスイロを保護するきっかけ、これまでの活動内容、今後の問題などを説明する。参加者は小学生から年配の方まで、年齢もさまざま、共通点はチョウが好きなことか。午後3時、本日の観察会は無事終了、希望者のみハヤシミドリ他の観察会2次会に案内する。クリの花にウラギンヒョウモン、ミドリヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモンを見る。ハヤシミドリは新鮮。オス、メスとも発生している。陽の高いうちは不活発で、驚かさない限り飛び立つことは無い。更にハヤシミドリの観察地を変える。午後5時を過ぎると卍や追い駆けあいを見ることが多くなる。更に時間が進み暗くなると、盛んに翅を広げる。翅を開く瞬間、スカイブルーに輝き、あまりの美しさに溜息が出る。午後6時まで堪能する。 宿では志を同じくする者通し話が弾み、夜が更けていく。と同時に空のビール瓶もすごい勢いで増えていく。 深夜の豪雨もやみ、翌朝もまずまずの天気。6時起床で再びアイノポイントに向かうが、湿気が多くモヤがかかった状態。急遽、予定を変更し、カラスシジミの観察・撮影に切り替える。2週間前はピカピカだったことから考え、もう大破していると思いきや、意外にもまだ新鮮。枝を叩き、下に降りてきてもらっても、撮影が完了すると同時にサッサと樹冠に戻って行く。9時前に宿に戻る。 大急ぎで遅い朝食を済ませ、再びフィールドに出る。マーキング調査やトランセクト調査を担当するグループと観察会参加者を案内するグループに分かれて活動を始める。私は観察会の担当。メンバーによるパワーポイントのプレゼンのあと入山する。発生数が多いため、生息地に入ると人の汗を吸いに次々やってくる。観察会参加者は大はしゃぎでどの顔にも笑いがこぼれる。今日の参加者は地元住民の方が多く、チョウだけでなく、貴重な高地草原を含め環境全体を守る意義など、道々話し合う。数年前まで採集圧のすざまじさ、一部マニアの常軌を逸した行動などを説明したところ、あきれ返っておられた。地元住民はほぼ100%ウスイロの存在は知っておられる。今後の地元主導の保護活動に大いに期待できると実感する。 オカトラオノやショウマ、クロバーで蜜を吸うウスイロを皆で観察する。午後3時、成功裏に観察会は終了する。県職員の皆様をはじめ、協力いただいた全ての方に感謝するばかりである。 自分でもかなり疲れているのが解るが、この時期この時間でこのまま帰ってしまうのはもったいない。昨日のハヤシが忘れられず、ひとりカシワ林に向かう。待つこと1時間半、期待通り午後6時前から飛び始める。今日は天気が良いため活動を始める時間が遅い。暗くなるにつれ次第に数が増える。午後6時半過ぎ、最多で10頭くらいが集団で樹々の間を流れていく姿は壮観のひとこと!青く輝く布が猛スピードで樹の周囲を上へ下へ、右へ左へと飛び回るような錯覚を覚える。葉の先端で翅を広げていたオスが、その集団が通過するたびに加わり、次第に集団が膨れ上がっていく様子が目の前で繰り広げられる。時にはキマダラルリツバメも加わり、卍を繰り返す光景に感動する。最初は私ひとりだったが、時間を経るにつれカメラマンばかりが現れる。皆「すごい!すばらしい!何やこれは!・・・」といった驚嘆の言葉しか出てこない。テリを張り、集団で追い駆けあう個体が多い一方で、黙々と葉の茂みに潜り込み、丹念にメスがいないかと探し回っている個体がいる。卍になっても樹に近いと下に降りてこないが、一旦、樹から離れると地面すれすれまで降りてきて、卍は長く続く。 予備を含めバッテリーを全て使い切り、こちらの体力も使い切ったとたんに陽が暮れる。丸2日間のフィールドワークを終了する。〔但馬地方〕

7月2日(雨のち曇り、午後から晴れ) 雨があがるのを見計らって、今日は東の六甲山系に向かう。 曇り空の下、広大な森林公園内を散策する。植栽のユキヤナギにホシミスジが群れている。1頭、2頭といった数ではなく、あっちもこっちも飛び回っている。 外来樹の花にミドリヒョウモン♂が多い。 遊歩道沿いのウラジロノキの葉にとまるミズイロオナガを見る。 イチモンジチョウは敏速に飛んでいる。 ウツボグサで吸蜜するキマダラセセリを見る。 今年羽化のウラギンシジミを見る。 コナラの大木の樹冠を飛ぶオオムラサキを見る。 尾根筋でテリを張るボロのモンキアゲハを見る。近づいたカラスアゲハを追い駆ける。 天気の回復とともに、森林公園は切り上げ、本日の目的であるオオムラサキの撮影に向かう。教えてもらったポイントのクヌギの樹液染み出し箇所にはハエとスズメバチしかいなかった。 ボロのダイミョウセセリを見る。とまった位置が逆光で背景も綺麗にボケるため、数カット撮影する。 オオムラサキを求めてクヌギ林を徘徊する。午後4時、ようやく西日の当る尾根筋のクヌギでテリを張るオオムラサキ♂に遭遇する。とまる位置が高く、どうしても下から見上げる角度になってしまうが、数年ぶりに訪れたシャッターチャンスに文句は言えない。被写体までの距離2m、葉の先端に乗り出して、翅を開く姿は迫力満点。時々やってくる同種のオスと追いかけあいは、力強い羽ばたき音が聞こえてくるような錯覚を覚える。 コムラサキかスミナガシかゴマダラか判らないが、やや小型のタテハも混じり西日の樹冠に多くのタテハが舞う姿は実に壮観。 午後5時撤収する。〔神戸市〕

7月1日(雨時々曇り) 午前中は出勤、帰宅後所用をこなし夕刻からミドリシジミの観察・撮影に向かう。樹や草は昼間の雨粒を貯めている。午後5時を過ぎると、雲が切れ薄日が差す。ミドリシジミの活動は盛ん。今日は卍になることは少なく、追い駆けあうことが多い。葉の先にとまるとオスは翅を広げる。開翅角度が浅いと翅表は標本で見るような色になるが、ベタッと開いてしまうとライトブルーに見える。テリを張る位置が3mと遠く撮影はイマイチ。メスの開翅を見る。薄い色のAB型、スレ始めていた。メスの産卵行動を見る。枝を盛んに歩き回りながら、腹を曲げて枝に押し付けていた。産卵はしなかったもよう。葉の先にとまり、こちらを向いてテリを張っていたオスを、ストロボを使ってバンバン撮影していたところ、興味深い行動を確認する。突然、飛び立ちカメラに向かって一直線に飛んできた。個人的な想像だが、ストロボの閃光をオスの飛翔中のパッシングと間違えたのではないだろうか? ヒメヒカゲ、ウラナミジャノメとも発生の最終時期となっている。見かけるのはボロのメスばかり。〔東播磨地方〕

6月28日(曇り) たまたま早い時間に帰宅したため、夕暮れ迫るハンノキ林へ直行する。午後6時、ミドリシジミは活動のピークを迎えている。オス同士が出合うと卍になるか、横方向に追い駆けあう。一旦、卍になると時には5分以上続くこともある。葉の先にとまってテリを張っているとき、今日は翅を閉じていることが多い。オスのテリトリーにメスが進入すると、すかさず飛び立ち追い駆ける。メスはすぐに葉の茂みに潜り込む。今日は交尾は成立せず。ハンノキと同じ場所に生えるアオハダの花で蜜を吸うメスを見る。卍飛翔の撮影を試みるが周囲は暗く、被写体は速く、撮影はとても難しい。数十カットのうち何とか写っていたのは数カットのみ。午後7時いよいよ暗くなり撤収する。〔東播磨地方〕

6月24日、25日(24日:晴れ 25日:雨) 二日酔いながら朝5時起床で但馬に向かう。天気予報は曇りだったが、梅雨前線が太平洋にあるとき往々にして但馬は晴れていることがあるため、早起きし行動したのが大正解。 本日は盛りだくさんのスケジュールをこなす予定。 何から行こうか迷ったが、結局アイノ&ジョウザンのテリ張りから。 昨年たくさんいたポイントに行ってみるも唯の1頭もいない。ここはまだ時期が早いのか? 早々に次に向かう。 カラスシジミは新鮮。おとなしくハルニレの下草にとまっていた。強い日差しと逆光のなか、褐色の翅を写すことは難しい。やむなくストロボを使うが、自然な感じに仕上がらない。翅裏の褐色が白くトンでしまう。被写体が新鮮すぎて、翅が鏡のように反射してしまうのかもしれない。動きのない被写体はすぐ飽きてしまう、ということで、カラスは30分で切り上げ、ウスイロヒョウモンモドキ発生調査に向かう。ルートセンサスでの調査を実施するが、ウスイロモドキはまだ現れていない。数が多かったのは、モンキチョウ、ギンイチモンジセセリ。いつもなら多い、ウラギンヒョウモン、ムラサキシジミ、コキマダラセセリといったあたりがまだいない。 草原にはまだウスバシロが優雅に舞っている。 ボロのミヤマチャバネセセリ♀を見る。この地に産するメスはデカイ! 爽やかな高地草原をチョウの種類と数をカウントしながら散策することは結構楽しい。 調査は2箇所、2時間で終了。 3日前不発だったヒサマツのリベンジに向かう。 午後1時着。快晴で気温も高く、絶好のコンディション。準備を整え主役の登場を待つ。 待つこと1時間、ようやく1頭目が姿を見せる。頭上高く、ブナの樹冠から白っぽい大きな動きの速いゼフが降りてきたと思ったらピカピカのヒサマツ♂であった。目の前1.5mの葉にとまった被写体を注意深く観察・撮影する。 よく見ると微かに翅を開く仕草を見せるが、すぐまた閉じてしまう。日差しが強すぎるためだろうか?ただし日差しを嫌っているのではなさそう。テリを張る位置は必ず陽が当っている葉の先、決して日陰にはとまらない。たとえ間違って日陰にとまっもすぐ飛び立ってしまう。 せっかくテリを張っているのに、戦う相手の同種のオスは現れない。近くを通過するハエやルリシジミ、カラスアゲハに反応してスクランブルを繰り返す。この個体はスクランブルを繰り返すうちにどこかへ行ってしまい、別の個体が現れたのは30分後。この個体も同じような行動を繰り返す。時々同種のオスが現れるようになる。ブルーとホワイトがパッシングしながら木立の中の空間を猛スピードで追い駆けあうシーンは圧巻。撮影を中断し、しばしすばらしい光景に見とれてしまう。卍になることは少ない。 午後3時半頃からテリを張る位置が数mズレてくる。それまでテリを張っていた葉先にもまだ陽が当っているにもかかわらずにである。たぶん陽の傾きに関係しているのであろう。こちらも被写体に合わせてカメラを移動し、テリを張る葉先の真ん前に陣取る。 目の前50cmでの観察・撮影が始まる。人の気配などまったく気にせず、ハエや同種のオス、ウラクロ、アカタテハ、カラスアゲハを相手にスクランブルを繰り返す。間近で見るといろいろなことに気がつく。まずは着地の見事さ、実に見事にピタッと決まる。猛スピードでの飛翔から急ブレーキを掛けるように、一直線に狙った位置にとまる。また葉の中央に着地したと思えば、すかさずササッと歩き、葉の先端まで移動する。 ときどき前足を触角に掛けてしごく様に身づくろい(掃除?)をする。それを交互に行う。 この時間帯になると翅を開く角度はやや大きくなる。90度から120度の間が多い。 試しに飛翔撮影を目論んでみたが、これは難しい!飛び立つタイミングがまったくつかめない。飛び立つ直前に何か予兆があってもよさそうなものだが、それがまったく無い。飛び立った瞬間を確認してからでは遅く、シャッターを押したときには、はるかかなたを飛んでいる始末。時計の針が5時を回ってもまだ活発に飛び回っている。同種のオスの飛来の回数も多くなり、益々目まぐるしくなる。ウラクロとの飛翔能力の差は歴然としている。翅の色は陽の当る角度や、こちらが見る角度によって微妙に変化する。スカイブルーから深い紫まで変幻自在といったところ。ただし標本のような色に見えること無かった。夕日の逆光下ではピント合わせ・露出合わせに苦労する。5時半、こちらが先に参ってしまい、体力の限界に達したところで撮影を終了する。膨大な枚数を撮影する。本日は帰宅する気力・体力ともなく、急遽但馬泊りに変更する。  翌25日朝、6時に宿を出るが、あいにく雨模様。せっかく一泊しているのにこのまま帰るのはもったいない。昨日とは別の場所にゼフの撮影に向かう。朝7時を過ぎてもゼフの姿は無い。飛んでいるのは、ヤマキマダラヒカゲ、ヒメキマダラヒカゲ、クロヒカゲといったところ。8時半、あきらめ下山のため車を走らせていると、ゼフ卍飛翔を発見し急停車。ジョウザンとばかり思っていたが、あとで確認してみるとアイノであった。少々の小雨ならバンバン飛び回る。テリを張る空間は高さ7〜8m、幅15m。道の上はミズナラを主体とした林、下は杉の植林地で20mくらいの樹高。この空間を計4頭が飛び回っていた。望遠で卍飛翔の撮影を試みるが、周囲が暗いこと、雨が絶え間なく降っていることなどの悪条件下、シャッタースピード500分に1より遅くてはブレてしまい、ピントなんか合わせられないため、超難易度の撮影となる。30分粘ってみたが成功せず。このアイノをもって2日間の但馬撮影行を終了する。〔但馬地方〕

6月21日(曇りのち晴れ、そのあと曇り) 今シーズン2回目の有給休暇を取って、早朝4時から但馬に向かう。6時半現地着。雲が広がり日差しはない。 周囲を散策するとやたらウラクロに遭遇する。こんなに多い年は久しぶり。 クリの花で蜜を吸っている個体も多く、ひとたび枝をたたけば2〜3頭が飛び出してくる。新鮮からスレ・カケまでいろいろ。 薄日の差し始めた7時半、ミズナラ&クリの樹の中段の枝にとまりテリを張るジョウザンミドリ♂を見る。翅表にはひとつの傷もなく、ビカビカの超新鮮個体。追い駆けあう同種の出現もなく、たまに通過するイチモンジチョウを相手にスクランブルを掛ける。またとないシャッターチャンス、慎重に数多く撮影する。 ジョウザンの撮影が一段落したあと周囲をたたきまわる。突然、フジ♂が飛び出す。撮影意欲も無くなるほどのボロボロのオス。 更に周辺を散策する。ブナの樹の根元に広がるやや湿った空間、フジが降りていそうな雰囲気がありあり。注意して近付こうと思った瞬間、新鮮なフジ♂がよろよろと飛び立ち、ふらふらと樹冠に消える。後悔したが後の祭りで、二度と下には降りて来なかった。 10時から準備万端でヒサマツの出現を待つ。しかしまったく姿を現さない。2時間半後、ようやく1頭現れる。いつもなら所定の枝にとまり、テリを張るところだが、今日は勝手が違う。周囲をせわしなく飛び回るだけで一向に落ち着かない。聞くところによれば、羽化後すぐの個体はテリを張る前1〜2日はこういった行動を取るらしい。たった一度だけわずか1秒間、目の前1mの枝先にとまる。極めて新鮮、翅裏は白く、V字も鮮やか、やや小さめのオスであった。その後、2度3度とやってきたがどうやら同一個体のように思われる。一度もカメラを構えることは出来ず。 午後3時、雲が厚くなり撤収する。 ピークでテリを張るキアゲハを見る。いずれの個体も新鮮。〔但馬地方〕

6月18日(曇りのち晴れ) 朝6時に目覚めたとき外は雨、再び眠りにつく。天気予報では朝は雨で、あとは終日曇り。これを信じたのがバカだった。グングン天気は回復、気付いたときは遅かった!大慌てで車を走らせる。今日は西に向かう。運転中にドンドン晴れ間が広がり、現地についた11時にはピーカンの青空。朝露もすでに乾き、気温も高い。今日のシャッターチャンスの大半はすでに失っている。 ナラガシワの枝をたたくと一斉にゼフが飛び出す。一番多いのがウスイロオナガ、ついでウラナミアカ、ウラジロミドリの順。 撮影可能な低い位置の枝にとまっているウスイロオナガを見つけ、慎重に撮影する。 ナラガシワの葉の茂みの奥に潜むウラジロミドリ♀を発見。やや高い位置のため脚立を用いて撮影する。更に好ポジション確保しようと、脚立の最上段に足をかけた瞬間、脚立もろともひっくり返る。着地したのがふかふかの草地で、大事には至らず。 花を付けたクリの枝をたたくと、ウラジロミドリ♂が飛び出す。残念ながら翅裏はややスレていた。 クリの花で蜜を吸うウラナミアカを見る。 正午をまわり、ヒロオビ♂のテリ張りポイントに移動する。案の定、ナラガシワの大木に挟まれた空間を猛スピードで飛び回っている。オスどうしが出合うと、横方向へ追い駆ることが多いが、瞬間的に卍になることもある。下から見上げると銀色の小さな紙の切れ端が追い駆けあっているように見える。オスの飛翔能力はすばらしく、追い駆けあっていたと思ったら、目にも留まらぬ早業で、空間に張り出した葉にピタッと着地する。葉にとまるとすぐに翅を全開している。下から見る色は本来の金緑ではなくスカイブルー。鮮度確認のため、一頭捕獲してみると、すでにスレていた。 クリの葉にとまるコムラサキ♂を見る。 ヒオドシチョウは活発に飛び回っている。 飛び回るヒョウモンはメスグロのオスか? アザミで吸蜜するオオチャバネセセリを見る。 各地でテングチョウ多い。運転中に数頭、フロントガラスにぶつかった。〔西播磨地方〕 午後2時、東播磨に戻る。5時まで粘るもキマルリは現れず。 さらに撮影地を変える。夕刻、ハンノキの樹冠を飛び回るミドリシジミを見る。撮影可能な位置まで降りてきてくれず撮影はできなかった。 同じポイントでテリを張っていたのはトラフ夏型オス。深い紫色の翅が夕日に映え美しい。〔東播磨地方〕

6月17日(晴れのち曇りのち雨) 朝起きれば外は晴れ、大急ぎで支度し5時半出発、但馬に向かう。 まずは兵庫県最高峰氷ノ山(ひょうのせん)を目指す。途中、アイノやジョウザンがテリを張っていそうな谷をいくつも通過する。窓を開け減速し、注意してチェックするが飛び回るゼフはいなかった。 タニウツギで吸蜜する新鮮なミヤマカラス♀を見る。気付かれないよう注意して近付いたつもりだが、敏感に察知され飛び去られてしまう。第2化とは思えず、第1化の遅れ個体であろう。 7時半、氷ノ山の稜線、大段ヶ平(おおだんがなる)到着。神大ヒュッテまでの稜線のなだらかな登山道を往復する。早朝のミズナラやブナの森を歩くと、気も心もリフレッシュする。 ヤマキマダラヒカゲ多い。サトはまったくいない。 新鮮なヒメキマダラヒカゲを見る。まだ出始めか。 クロヒカゲは破損個体ばかり。 ミヤマカラスアゲハの後翅の一部を拾い、記念に持ち帰る。 登山道散策は1時間半で終了、林道をひた走りウスイロ生息地のハチ高原に向かう。車を降り、登山道を歩き始めたとたん、ニガナの花で蜜を吸うギンイチモンセセリを見る。ススキの葉にとまると褐色の表翅を開いて見せてくれる。 ウスイロモドキの蛹を探すが見つからない。簡単に見つかるとは思ってはいなかったが、これほど難しいとも思っていなかった。1時間であきらめる。 標高1000m付近ではまだウスバシロが生き残っている。それも2頭。まだ元気で飛び回っている。この調子なら7月まで生き残りそうな雰囲気がある。 ウスイロ生息地を撤収し、ヒサマツ、フジの発生具合の確認に向かう。このころから雲が厚くなる。正午過ぎ、有名ポイント着。おりしも先客の皆さん方が蝶談義中、加わらせていただく。お一方によれば、好天の昨日、ヒサマツ、フジとも確認した、ただしまだ数は少ない、とのこと。付近を散策するが、益々雲が厚くなってくるのと、気温が上がらないのと、風が強いのとでお目当てのゼフはおろか、虫全般に活動が鈍いことが良く解る。標高を下げ、ヒサマツ発生地のウラジロガシの森を訪ね、下草を中心に羽化直後の個体がいないかと丹念に見て回るが発見できず。午後1時半、ヒサマツ探しはあきらめ、東播磨に戻るべく車を走らせる。ついに雨が落ちてくる、しかも次第に強くなる。このあと予定していたキマルリ、ミドリはあきらめざるを得ず。今日の天気予報は大外れ、「信じるものは救われない」一日であった。〔但馬地方〕

6月11日(晴れ) 今朝はゆっくりスタート、9時からフィールドに出る。 久しぶりに北播磨に向かう。当地は早朝雨が降ったらしく、道も木も草も濡れている。雲が切れ陽が差してくると気温はぐんぐん上がる。でも飛ぶチョウは少ない。見かけるのは、ヒカゲチョウ、サトキマダラヒカゲ、ヒメウラナミジャノメばかり。ようやくクリの花に新鮮なアカシジミを見る。 雑木林の中を飛ぶモンキアゲハを見る。〔北播磨地方〕 東播磨に戻る。エノキの森のコナラの低木にとまるゴマダラチョウを見る。なぜかこれまで本種とは縁が薄く、ロクな写真がない。めったにないチャンスなので慎重に撮影する。とまっている位置がやや高いため、どうしても見上げる構図になってしまう。車から脚立を引っ張り出し、ようやくポジションを確保する。被写体がボロなのは残念だが、翅裏は真っ白でなかなか趣があってヨロシイ。 イボタにとまるアサマイチモンジを見る。 更に南下し撮影地を変える。 4月はギフが舞う手入れされた雑木林を歩く。羽化後間もないと思われる新鮮なミズイロオナガに出遭う。黒と白の横縞ソックスを履いたような脚が印象的。どれだけ近づいても飛ぶことなくジッとしている。 小ピークでテリを張っていたのはアオスジアゲハとツマグロヒョウモン。低木しか生えない岩山の明るい場所にもヒカゲチョウは進出している。 更に撮影地を移動し、昨日に続きヒメヒカゲ生息地へ。 今シーズンはじめてウラナミジャノメを見る。下草にとまり盛んに間欠開翅を繰り返す。 草原を飛ぶヒョウモンはウラギンスジのオスか?あまりにも速いため、とまるところまで追えない。 丘の斜面を飛ぶキアゲハ、ナミアゲハを見る。 帽子の汗を吸いに来てくれたのはヒオドシチョウ。 ハンノキの低木でテリを張っていたのはトラフ夏型オス。猛スピードで追い駆けあっていた。〔東播磨地方〕

6月10日(晴れ&うす曇) 夜明けとともに西播磨に向かう。内陸部は低くもやが垂れ込め、下草は朝露に濡れている。 ナラガシワの葉を丁寧に確認していくが、ゼフは見つからない。仕方なしに高枝をたたくとヒラヒラとアカシジミが飛び出す。残念ながら今日も、ヒロオビ、ウラジロミドリ、ウスイロオナガは確認できず。ミズイロオナガさえ姿を現さない。ポイントを転々と移動するが状況は同じ。ようやく、下草にとまるウラナミアカを見つける。羽化不全で満足に飛べない個体。指にとまらせ、ナラガシワの葉にそっと移す。“ワラセ”っぽく後味は悪いがとりあえず撮影する。 下草が綺麗に刈られた栗林にヒオドシが多い。太い切り株に4頭、5頭と集団でとまっている。何かの汁を吸っているのではなく、ベタッと翅を広げているだけ。 高原のアザミの花でクモガタヒョウモンを探すがこれまた見つからない。 キマダラモドキもいない。 西播磨ではナラガシワ喰いの何かの幼虫が大発生したらしく、葉は穴あきだらけ、場合によっては丸坊主の樹もある。これが原因でナラガシワ系のゼフが見られないのかもしれない。 新鮮なテング多い。 雑木林の縁を飛ぶモンキアゲハを見る。〔西播磨地方〕  消化不良の思い著しく昼過ぎに戻る。いつもミズイロオナガが多産しているコナラの森を訪ねるがここでもまったくいない。西播磨といい、東播磨といい、今シーズンの低地ゼフは稀にみる“不作”の予感。一旦帰宅。 夕方からヒメヒカゲ生息地へ出かける。ネットを振り続ける採集者を見る。一番出会いたくなかった光景である。ここでも例年の3分の1から5分の1くらいしか飛んでいない。生息地は踏み跡だらけで暗澹たる気持ちになる。すでに採集されまくったためか、たまたま外れ年なのか解らないが、観察を始めて今年はダントツに少ない。 ルリシジミ♂は新鮮。 夕暮れハンノキの樹冠を飛んだのはミドリシジミか?〔東播磨地方〕

6月4日(曇りのち晴れ、夕方から曇り) 先日のベニモンカラスが頭から離れず、“今日こそは・・・!”と意気込んで再び西に向かう。 出発時から雲が厚く、現地についても状況に変わりがない。天気予報とは大違い。 ようやく10時から陽が差し始める。と、とたんにベニモンカラスが次々現れる。どこに潜んでいたのか不思議なくらいだ。頭上2mの位置で小さく小刻みに翅を震わせている個体が葉の切れ目から見える。たぶん求愛中のオスだろうと思うが、目の前を次々横切っていく個体に気を取られ、頭の上の事はすっかり忘れてしまう。40分後、突然繋がったままのベニモン2頭が落ちるに気が付く。やはり交尾していたのだ。落ち始めたとたん離れてしまい、メスは近くの葉に留まる。オスが近くを飛んでも反応しない。さらに30分後、この静止中のメスをオスが発見、またもや翅を震わせながら後方から迫る。メスはさすがに今度は逃げて遠くに飛び去った。 今日も体を傾けた日光浴や卍飛翔を繰り返す。活動のピークは午前10時から11時半まで。以降は気温が上がりすぎたためか、ポツポツとしか現れなくなる。 今日は飛翔一本に絞って撮影する。たぶんシャッターチャンスは200回以上あったはずだが、ボンヤリ写っていたのが数枚で、満足できるものは唯の1枚もなかった。個人的には持てる技術を全て出し尽くした思いはあるのだが、結果は200分の0である。午前10時から午後2時まで、じっくり生態を観察することができて、成虫のだいだいの行動パターンは理解した。「また来年!」である。バッテリーの終了とともに撤収する。〔岡山県某所〕 帰りに西播磨に立ち寄る。確認したゼフはウラゴマダラのみ。ウラジロやウラナミアカ、ウスイロオナガ、ミズイロオナガも飛んでいない。 満開のウツギで蜜を吸うアサマイチモンジを見る。〔西播磨地方〕

6月3日(快晴) 北播磨最深部と但馬再南部にまたがる高原地帯を歩く。狙いはミスジチョウ、でも姿を見せず。 標高700mを越えると、やっとタニウツギの開花が始まったところで、ウツギはまだつぼみのまま。オナガアゲハ、カラスアゲハ、クロアゲハが代わる代わるタニウツギの花にやってくる。 鳥のさえずりを聞きながら、爽やかなみどりの山道を歩くことは気持ちが良いが、いかんせん蝶影が薄すぎる!クロ系アゲハ以外はまったく何もいない。長居は無用で早々に撤収する。〔北播磨・南但馬地方〕 東播磨に戻る。雑木林の縁でダイミョウセセリを見る。下草の中を縫うように飛んでいたかと思ったら、ヤマノイモの弦にとまり、腹を曲げ弦の表面にこすり付ける。産卵行動かと思うが結局、産卵せず。森の中の水源地にアカシジミを見る。いつもならウラゴマダラシジミやイシガケチョウを見るところだが、今日は姿を見せず。暗い森の中を飛ぶモンキアゲハを見る。シルビア生息地の池の土手を歩くが、第2化個体はまだ出ていないもよう。 ミヤコグサに産卵するモンキチョウを見る。 数年前に山火事があり、一時的に草原が広がっている斜面を訪ねる。案の定、ヒメヒカゲが生息していた。このチョウは一時的にしろ生息に適した環境さえあれば、ドンドン生息地を広げるたくましさを持っているように感じる。 エノキの樹冠を飛び回るのはゴマダラチョウ、コムラサキ、テング(本年第1化)。 ホシミスジ多い。特にメスはミスジチョウ並の大きさである。〔東播磨・中播磨地方〕

週半ば某日(晴れ) 有給休暇を取ってこの時期恒例のベニモンカラスの撮影に行く。10時現地着。早速、飛び回る本種を見る。頻繁に卍飛翔を見せてくれる。時に3個体卍や4個体卍となる。すべて新鮮。ネットインしないためイマイチ自信がないが、すべてオスのもよう。陽光を効率よく浴びるため、とまるとすぐに体を傾ける。静止中の個体を撮影中、たまたまシャッターを押した瞬間に飛び立ち、結果的に飛翔の撮影に成功する。わずかな時間に2度も写ってくれた。こんな幸運のあとは、静止シーンの撮影には物足らなくなり、卍飛翔や飛び立つ瞬間ばかりを狙ってしまう。膨大なスカ写真と急激なバッテリーの消耗を気にしながら延々と続けるが、結局3度目のラッキーはやって来ず。被写体が小さく、速く、暗く、おまけに撮影場所が暗いと、一般的な飛翔写真の撮影はまず不可能。残るは飛び立つ瞬間を狙うしかないが、これがまた難しい。何時飛び立つか分からない。飛び立つ瞬間を確認してからシャッターを押していては絶対に間に合わない。いずれにしろ、ベニモンカラスの翅表のベニ紋を写しこむことは、技術、経験、運の3要素が完璧にマッチしないとできないことが良く解った。 ベニモンカラスの撮影中に飛び回るヒョウモンを見る。クモガタ♂かメスグロ♂であろう。〔岡山県某所〕 帰りに西播磨に立ち寄る。ナラガシワからアカシジミが飛び出す。 ヒロオビ、ウラジロ、ウスイロオナガ、ウラナミアカはまだ姿を見せない。 ヒメキマダラセセリ多い。〔西播磨地方〕

5月27日、28日(曇りのち雨:27日、晴れのち曇り:28日 但馬地方) 27日 1ヶ月後に迫った但馬ウスイロヒョウモンモドキ成虫発生の前に、今年の保護活動準備、現地確認、幼虫調査、その他もろもろの打合せのため、早朝から但馬に向かう。途中、ヒメヒカゲ生息地に立ち寄り、発生を確認する。 ハチ高原9時半着。どんよりした曇り空が広がり風が強い。尾根筋では飛ばされそうになるほど強風が吹き荒れている。まず、トランセクト調査用のポールの整備から始める。調査ルートが山の斜面を中心に総延長1kmにも及ぶため、設置完了まで約2時間かかってしまう。 午後1時、ポツポツと雨が落ちてくる中、皆で幼虫を探すが見つからない。午後2時、益々風雨が強くなり、下山する。本日は現地泊。宿にて、午後3時から打合せを始める。今年の調査方法、観察会の実施計画、今後の問題点など、食事をはさみ深夜まで議論を続ける。 環境省にて、国立・国定公園特別地域内においての捕獲等を規制する動物の選定に、ハチ高原のウスイロヒョウモンモドキが対象として検討されているとのこと。これが選ばれれば、密漁に対する規制も一段と強化されることになり、正直なところ「ホッと一息・・・」である。 28日 朝9時からフィールドに出る。現在の生息地及びかつての生息地を回る。ようやく幼虫が1頭見つかる。終令ではなく、一つ前の6令幼虫で、20mmほどの体長しかない。食草であるオミナエシの株の根元に潜んでいたとのこと。やはりウスイロも他の種と同じく今年は遅れそうである。正午まで調査を続ける。調査中に目撃したのは、新鮮なギンイチモンジセセリ、ツバメシジミ♀、サトキマダラヒカゲ、スジグロシロチョウ。〔但馬地方〕  正午解散、帰りに各地へ寄り道する。 ウラゴマダラシジミは出始めか数は少ない。でもイボタの花は今が満開。 ゴマダラチョウはエノキの樹冠を飛び回るばかりで下りてこない。 イチモンジチョウ初見、メスを探しているのか、イチモンジとは思えないほど高速で飛び回っている。シャッターチャンスなし。 ヒメヒカゲはオスばかりである。まだ出始めらしく数は少ない。1頭のオスを集中的に撮影する。*ヒメヒカゲ目的で当地に来られる方へ、 チョウ屋として節度ある行動を願って止みません。出会った地元の方にきっちり挨拶をする、駐車場所はよく考える、など人として当然のことからです。また弊サイトを発生状況の情報源として利用し、当地で“おに採り”している事実があれば、今後一切のヒメヒカゲ関連の記述は控えさせていただきます。〔東播磨地方〕

5月21日(快晴) 昨日に続き快晴、しかも暑い。 「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動の一環で、日頃整備しているヒメカンアオイ自生地を回り、ギフチョウの幼虫を調査する。例年ならこの調査は5月前半に行うところだが、今年は季節のめぐりが遅いため、代表の判断で、1週間以上遅らせたとのこと。調べてみて最も多かったのは2令幼虫。時に3令幼虫も見つかるが、孵化したばかりの初令幼虫も少なくない。葉にわずかな食痕があり、葉を裏返してみれば卵の殻だけ残り、幼虫が見つからないこともたびたびである。幼虫は何らかな原因で全滅したのであろう。メンバーによれば、一週間前の観察時、アリの集団に襲われる幼虫を目撃したとの事。卵の数と比べて、この時期すでに半分から3分の1まで数を減らしている様子である。ヒメカンアオイの立派な株には卵や幼虫は少なく、貧弱な株ばかりに見つかる。このままでは株の葉っぱを食い尽くし、数メートル移動して、次の株に移らねばならない。新しい株にたどり着けない多くの幼虫は餓死に至るのだろう。以前にも記述したように、母チョウはわざと過酷な環境に産卵して、自然淘汰を目論んでいるように思えてくる。激しい生存競争のなか、いち早く成長した強い幼虫のみが生き残る構図が浮かび上がってくる。もちろん運にも大きく左右されるだろうが。幼虫調査は午前中で終了し、午後から各地を回る。 エノキの森にゴマダラチョウを見る。夏型に比べて白っぽい。樹冠を素早く飛び回るばかりでシャッターチャンスはなし。 サトキマダラヒカゲ多い。〔東播磨地方〕

5月20日(朝のうち曇り、後晴れ) 昨夜から降り続いていた雨は早朝に止み、9時頃から晴れ間が広がり始める。急いでフィールドに出る。近場を回るが天気が安定せず、雨まで落ちてくる始末。 サトキマダラヒカゲは活発に飛び回り、明るい草原にまで出てきている。 より天気の回復が早いと思われる西播磨に向かう。やや風が強いが、思った通り爽やかな五月晴れの空が広がる。 渓谷沿いのアザミは満開。多くのアゲハが蜜を求めて集まっている。数の多い順に、オナガアゲハ♂、クロアゲハ♂、カラスアゲハ♂といったところ。その中に1頭、ミヤマカラスのメスが混じっていた。残念ながら後翅を破損していたが、追い掛け回し集中的に撮影する。鮮度はどの種も新鮮からボロまでさまざま。他にアザミで吸蜜を確認したのは、スジグロシロ、モンキチョウ、ツマキ、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、キタテハ(越冬明け個体)、アカタテハ(越冬明け個体)、それとミヤマセセリ♀。ミヤマセセリは衰弱が激しく、風が強いと花につかまっていることができず、地面に降りてしまう。風が止んだところを指に止まらせ、花に戻してやると、またストローを伸ばし蜜を吸い始める。 ヒメキマダラセセリ、ダイミョウセセリ初見。 コミスジはオス・メスとも新鮮だが、敏感で撮影させてくれない。 田植えの始まった高原の集落に移動する。 ウスバシロが優雅に舞っている。 アザミで吸蜜するカラスアゲハを見つけカメラを構えたところ、隣の花にアオバセセリがいるのを発見。被写体を変更する。カンカン照りの下でのこの種の撮影は露出が難しい。 アザミの茎にとまり動かないウスバシロを見る。なぜ飛ばないのかとよく見れば、腹の先端をハナグモがしっかり噛み付いていた。 道端の小さな畑の跡の空き地にジャコウアゲハが飛ぶ。数十メートルの範囲を行ったりきたり。特にアザミの花の周囲を念入りに飛び回る。明らかにメスを探している飛び方である。ここのジャコウ♂はどれも小さく、矮小な個体ばかり。時々、オナガアゲハやカラスアゲハと追い駆けあうがスピードの差は歴然としている。結局メスは現れず、標高が高いためメスはまだ発生していないのかもしれない。オスの飛翔撮影を試みるが、適当な背景を確保できず、思ったような成果が上がらない。いたずらにバッテリーを消耗するのみ。カメラ自体が熱を持ち始めたのを期に撮影を終了する。 新鮮なコジャノメ♀を見る。 一週間前に比べてツマキチョウは数を減らしている。 車の運転中にナガサキアゲハ♂を見る。〔西播磨地方〕

5月14日(晴れ) 目覚めると陽が差している。あわてて準備し、7時からフィールドに出る。 シルビアは朝露に濡れ下草にとまっている。無理やり飛び立たせると、結構力強く飛び出すが、すぐ地面に降りる。降りると効率よく陽の光を浴びるため体を倒す。8時を過ぎるとV字に翅を開いて、ミヤコグサで蜜を吸う。本日確認した個体はすべてオスのスレ。 ハルノノゲシで吸蜜するモンシロチョウを見る。 ネギの花は今がピーク。蜜を吸いに来ていたのは、モンキチョウ、ツマグロヒョウモン、ヒメアカタテハ、アオスジアゲハ、それと多くのハナムグリとミツバチである。 竹やぶの中でコジャノメを見る。今シーズンの初見。しかも個人的には加古川市内での初確認となる。 雑木林の中ではサトキマダラヒカゲが多い。明るいところに生える柳の樹の周囲でも見られる。 車で移動中にミヤコグサの大群落を見つけ、シルビアの生息を調べたところ、見事大当たり!また一箇所訪れるフィールドが増えた。〔東播磨地方〕  クロツ新鮮。まだ出始めらしく数は少ない。当地の個体は他の産地に比べて後翅裏の紅点紋が薄いように思う。逆光に輝く翅表を超アップでドキドキしながら撮影する。 撮影地を変える。エゾスジグロシロチョウ多い。ここではスジグロはいなくてすべてエゾ。恥ずかしながら、今回が兵庫県内での初撮影となる。 ツマキチョウ♀はアブラナの残り花で蜜を吸う。 ネギの花で吸蜜するカラスアゲハ♂を見る。尾状突起は片方無くなっていた。ネギの花のあと植栽のツツジに移動するが、撮影はいずれも失敗。 更に移動し標高を上げてウスバシロの撮影に向かう。集落の一番上部の畑に数多く舞っている。ツマキチョウやスジグロシロも混じり、春らしいのどかな光景が広がる。ここでの蜜源はクサイチゴの白い花。ときにナズナにもとまる。ひとたび陽が陰ると一斉に舞い降りてしまう。当に“太陽の申し子”である。 コチャバネセセリ初見。 標高1000m付近では木々の芽吹きが始まったところ。まだギフでも飛んでいそうな雰囲気である。案の定、ミヤマセセリはオスばかりですべて新鮮。〔北播磨地方〕  峠を越え更に西に向かって車を走らせる。 民家に庭先のツツジやシバザクラで蜜を吸うミヤマカラスアゲハを見る。新鮮なオス。すばらしく美しい翅表を見せてくれる。特にシバザクラでの吸蜜時は羽ばたくことなく、花の上にベタッととまる。住人の方に事情を説明し、庭に入らせていただくが、結局撮影は失敗。〔西播磨地方〕

5月6日(曇り時々晴れ、午後から曇り) 早朝、空には薄い雲が広がっている。しかも風が強い。天気予報では午後から急速に下り坂、とのこと。勝負は午前中のみと覚悟し、西播磨に向かう。 岡山県境に近づくと、2度3度、フロントガラスの前や横をジャコウアゲハが飛ぶ。1頭メスなのがはっきり判る。 午前8時半、渓谷沿いのアゲハが集まるポイントに到着するが、まったくアゲハの姿がない。ここでの吸蜜源であるアザミがポツポツとしか咲いていない状況では、いないのも当然かもしれない。 渓谷沿いでも集落でも、やたらツマキチョウが多い。見かける白いチョウの9割以上が本種かもしれない。 クサイチゴの白い花で蜜を吸っていたのはサカハチチョウ。残念ながら両後翅とも破損していた。 集落の畑の上を飛ぶウスバシロチョウを見る。特徴ある飛び方で遠くからでも良く判る。例年ならこの時期には、いっぱい飛んでいるのだが、この集落で見かけたのは1頭のみ。ここでも季節の移りが遅れているのが分かる。 ドライブがてらに西播磨の撮影ポイントを回る。 高標高地のシルビアは見かけない。まだ発生していないのかもしれない。 岡山県境付近のジャコウ発生地でも、唯の1頭も飛んでいない。ウマノスズクサの新芽も見当たらない。 最後に、クロツバメシジミを見る。遠目でも新鮮なのが良く判る。〔西播磨地方〕

5月5日(快晴) 今日も朝から快晴。早朝から近場を回る。 池や田んぼの土手にシルビアシジミ見る。オス、メスとも新鮮からスレまでさまざま。下草はまだ朝露に濡れている。地面にとまることが多いが、ときに下草にとまりV字に翅を開く。 ハルノノゲシで吸蜜するモンキチョウ多い。青空をバックに花と飛翔を狙うが徒労に終わる。 ツバメシジミ♂は大型で新鮮。一年を通じてこの時期のオスが最も見栄えが良く、写真写りが良い。 シルビアかと思えばヤマトのオス。シルビア、ツバメと狭い範囲に棲息しているが、微妙に棲み分けている感じがしないでもない。 やっと咲き始めたネギボウスにミツバチが群れている。ブンブンとうるさいくらいの数の多さだ。チョウではヒメアカタテハとツマグロヒョウモン♂が蜜を吸っている。両種とも初見。 ハルノノゲシで吸蜜するナミアゲハ♀を見る。クリーム色がより黄色っぽく、キゲハのようだ。撮影は失敗。 ヒメウラナミジャノメは数を増している。キンポウゲで吸蜜するのを見る。 神社裏のサクラの古木の幹にとまるのはサトキマダラヒカゲ。驚かすと一旦飛び立つが、しばらくすると戻ってくる。いろいろな角度、いろいろな距離で撮影する。 クロアゲハ初見。咲き始めた植栽のツツジの周りを飛び回る。蜜を吸うことはほとんどなく、ひたすら飛び回っている。明らかにメスを探している飛び方だ。 午前10時、所用のため一旦帰宅する。午後2時半、ふたたびフィールドへ。 市街地の中の小さな神社にアオスジアゲハが多い。猛スピードで追い駆けあう。 草原でヒメヒカゲの幼虫を探す。やっと見つけたが例年に比べてかなり小さい。例年なら終齢幼虫の時期で体長は25mmを越えていることも多いのに、今日確認した個体は体長10mmしかなかった。 ギフチョウ卵はまだ孵化していない。ヒメカンアオイの小さなひと葉の裏に4卵塊確認する。〔東播磨地方〕

5月4日(快晴) 撮影とは別の用向きで但馬に向かう。空いた時間で付近を散策する。標高800mを越えるあたりから日陰では残雪が見られる。ミズナラの芽吹きもこれから始まるところ。 カラムシの新株に産卵するアカタテハを見る。 スジグロシロチョウ多い。〔但馬地方〕

5月3日(快晴:長野県) 朝4時起床、始発電車、新幹線、L特急と乗り継いで長野県に向かう。5連休の初日ということで新幹線、L特急とも大混雑。新大阪からずっと立ちっぱなし。まるで通勤電車のようだ。 友人K氏と合流し、本日の目標であるチャマダラセセリ生息地に向かう。10時半、斜面の草原で1頭目確認。初めて出遭う種に心躍る。初めて見た印象はミヤマセセリを二周り小さくした感じか。背景の枯れ草に見事に同調していて、肉眼ではとまっている場所は分かっていても、モニターに捉えるのは極めて難しい。意外に敏感な性質と相まって、シャッターを押せる機会はなかなかやって来ない。斜面を散策すると、2頭目3頭目と飛び出し、食草ミツバツチグリやスミレで吸蜜を繰り返すが、たったの1回しかシャッターを押すことはできず。ようやく、羽化直後と思われる動きが緩慢な個体に出遭う。時間をかけてじっくり撮影する。基本的に翅を広げてとまるが、次第に閉じていくこともある。翅裏の文様は表からは想像もできない奇抜さである。地表にとまると吸水することも多い。延々とこの1頭を追い掛け回し70カット以上撮影する。 赤・ピンク色の紡錘形のスジボソヤマキチョウの卵を見る。友人によれば、産卵樹はクロウメモドキではなくクロカンバとのこと。 スジボソヤマキのボロ♀を各地で見る。葉のついていない低木の枝先を丹念にタッチしていく。産卵行動であろう。 ヤマキチョウのオスは新鮮。気温が上がると鮮やかな黄色の翅をひるがえし活発に飛び回る。 フキノトウで吸蜜する越冬明けクジャクチョウを見る。破損個体ばかり。 同じく越冬明けのシータテハ、アカタテハ、ヒオドシ、テングを見る。友人はキベリ目撃とのこと。 シバザクラで吸蜜するキアゲハ、チャマと紛らわしいミヤマセセリ、モンシロ、ツマキ、エゾスジグロシロ?、ツバメシジミ、コツバメを見る。〔長野県〕

4月30日(曇りのち晴れ) 今年初めて但馬へ。例年に比べて残雪が多く、高標高地ではようやく芽吹きが始まったところ。こんなに雪が残っているのはここ10年で一番か。 地表近くを飛ぶスギタニルリシジミを見る。翅表の深い青と、翅裏のグレーのパッシングを見ると但馬に春が来たことを実感する。枯れ草や枯れ枝、地面にばかりとまる。しかも近寄るとすぐに飛び立つ。撮影するにはなかなかの難敵である。鳥の糞で吸汁している個体をじっくり撮影する。撮影中にもう1頭飛来し、仲良く並んで汁を吸う。 キブシの花にコツバメが集まっている。ご存知の通り翅裏が褐色のため、背景が明るいとオートフォーカスではピントが合わせ難い。 それにしてもスギタニルリ、コツバメとも例年になく数が少ない。時期が合っていないのかもしれないが・・・。 撮影地を変え、被写体をギフに換える。ギフはオスもメスも破損個体が多い。スミレに吸蜜にやってきたメスを見る。ひとつの花に2〜3秒しか留まらないが、何回もシャッターチャンスがあったのにことごとく失敗。尾根筋でテリを張るオスを見る。自分の縄張りをパトロールする個体が多い。ひとたびオス同士が出遭うと激しく追い駆けあう。時間が経つの忘れるほど楽しい光景が続く。そんな中、やや小ぶりで動きの鈍いオスが混じっているのを発見する。このオスに密着し、飛翔撮影を試みる。カメラのバッテリーの激しい消耗を確認しつつ、延々とスカばかりの出来に焦ってくる。1時間近く悪戦苦闘しているとさすがに飽きてくる。 昼前に撤収し、ウスイロヒョウモンモドキ生息地へ向かう。 昨シーズン、設置した各種気象観測計器の補修、メンテナンス中のメンバーに合流する。激しく破損した計器や架台を目の当たりにして、当地の冬季気象条件の過酷さを改めて思い知る。そういえば計測器近くの松の太い枝もポッキリ折れ、裂けているのを見ると、どれだけ強い力が加わったのか想像もつかない。越冬明けの幼虫を探すが、発見できず。〔但馬地方〕

4月29日(曇り時々晴れ、一時雨) 但馬へ遠征するかどうか迷ったが、雲も厚く、風も強いため、結局近場でお茶を濁す。 ヒメカンアオイ自生地を回る。 ミヤマセセリ多い。気温が低いため、あまり活発ではない。 コバノミツバツツジで蜜を吸うトラフシジミを見る。翅裏はややスレぎみ。一旦花びらの縁にとまり、歩行で花の中心部の蜜源に潜り込んで行く。 コツバメのテリ張りを見る。ミヤマセセリ、トラフ、クマバチなど見境なく追い駆けていく。 遊歩道にとまるルリタテハを見る。 ヒメウラナミジャノメ初見。各地で見かける。たった今羽化した、という雰囲気ではなく、数日前から出現しているもよう。 風に流されまいと必死で飛ぶツマキチョウを見る。飛翔力が弱いため、風が強くなると、空中の一点に静止している状態になる。 ヒメカンアオイ自生地数ヵ所を回るが、一瞬しか陽が差さず、結局ギフは姿を現さず。 ヤマトシジミ初見。春一番個体の翅裏は褐色でとてもヤマトとは思えない。 クロ系のアゲハを求め、昨シーズン撮影したポイントを訪ねるが、吸蜜花のヒラドツツジはポツリポツリとしか咲いておらず、時期尚早。ネギボウズもまだ。やはり例年に比べ季節の進行は遅い感じ。 新鮮なモンキチョウを見る。 見かけるテングチョウの数は激減。〔東播磨地方〕

4月23日(曇りのち時々晴れ、夕方から快晴) 天気予報通り、昨夕からの雨は朝にはあがるが依然として雲は厚い。 早朝から加古川市主催の行事「チョウの観察会・ハイキング」のお手伝いをさせていただく。 巷のうわさでは、最も絶滅が危ぶまれているのは、チョウもさることながら、チョウ屋予備軍の小中学生と、もっぱらの評判。こちらも何とかしたいものである。 観察会には幼児から高齢の方まで参加され、皆で楽しく野山を散策する。 勝手ながら、お手伝いは午前中のみとさせていただき、午後からは個人的な撮影に専念する。 まずは昨日のギフ産卵ポイントへ直行する。12時半現地着。雲は薄く、気温も高いが、湿度も高い。残念ながら飛んでいるギフは見かけない。今日も我慢比べの様相、ここは13時までと時間を区切って待つが結局現れず。やむなく帰り支度をしていたところ、下草にとまるギフ♀を発見。とても新鮮。撮影開始後すぐ陽が差し込む。と同時にギフ♀は翅を振るわせ始める。今日こそは飛び立つ瞬間を!と狙いを定めたが、またしても失敗、アッという間に頭上高く飛び去られてしまう。 この天気なら産卵が見られることを確信する。 案の定、数分後にはギフ♀が飛来し、産卵を始める。急いでカメラを構える。メスがつかまったヒメカンアオイは茎が長く、独立した葉だったため、チョウ自体が地表からわずかに浮いている。めったにないシャッターチャンスの到来、翅のウラから集中して撮影する。このメスは計8卵産み落とす。 以降、陽差しが継続した30分間で計4頭の産卵を確認・撮影する。一番小さな卵塊は4卵。 昨日、今日と班紋の違いに注意して、産卵したメスの個体識別を行ったところ、同一個体はいなかった。また、今日のメスは産卵したあとは地表付近に留まることなく、すべての個体が高所に舞い上がってしまった。 樹間を素早く飛ぶ個体を目撃するが、オスかメスか確認できず。コバノミツバツツジで一瞬蜜を吸っていたが、時間が短く、撮影は失敗する。 産卵ポイントからの帰路、雑木林から飛び出し、明るい草原のコバノミツバツツジの幼木で吸蜜するギフを見る。 ツバメシジミ♂、♀とも新鮮。 イヌザンショウの新芽に産卵するナミアゲハ♀を見る。 ミヤマセセリ、コツバメ、トラフ、キアゲハを見る。〔東播磨地方〕

4月22日(曇りのち時々晴れ、午後から曇り夕方雨) 午前9時からフィールドに出る。昼過ぎから曇り、夕方から雨の予報だが、すでに厚い雲が広がっている。陽が差さないため気温は上がらない。 ヒメカンアオイ自生地を回る。一箇所目は何も現れず。二箇所目、地面にベタッと翅を広げたギフチョウに気付くのが遅れ、あやうく踏みつけそうになる。新鮮なメス、とても美しい。気温が低いため微動だにしない。撮影し易くするため、周囲の枯れ枝を慎重に片付ける。9時50分、時間はたっぷりある。これからどうなるか最後まで見届ける覚悟で腰を下ろしカメラをスタンバイする。10時10分、突然大きなハエがギフチョウの翅の上にとまる。驚いたギフはビクッと翅を動かしハエを追いやる。再び静止状態に戻る。10時20分、薄日が差し始める。気温の上昇を感じる。10時25分、小刻みに翅を震わし始める。10時28分、シャッターを切るまもなく突然舞い上がり、木々の向こうに消える。このように朝の活動を始めるのかと、妙に納得する。充実の38分間であった。 青空が広がり始める。 ボロのギフ♂を見る。遠目にも飛翔が少しヘンかなと思ったところ、右後翅ほぼ100%喪失、左後翅50%喪失、前翅のみでよく飛べるものだ、と感心する。 ヒメカンアオイ群落に舞い降りるギフを発見!良く見れば先刻のメス。ヒメカンアオイの葉にとまったかと思うと、腹を曲げ、葉の裏に産卵を始める。最良のカメラポジションを確認し、撮影体制に入る。最初の1卵目から撮影成功。次々に産み落としていく。間隔は5秒から10秒といったところか。吸蜜シーンの短さに比べれば楽勝もの。結局10卵産み落とした。産み落としたばかりの卵は葉の色に同化した薄緑色である。 数m離れて、更にもう1頭が産卵を始める。周囲にジャマモノが多く、あまりよい写真にならない。 ギフ♀はいずれも、ひとまず産卵が終了すると、体力の回復を図るためか、落葉にとまり、翅を広げて静止状態に入る。無理やり飛び立たせてもすぐに舞い降りてくる。 撮影地を変える。雑木林の縁の明るい陽だまりでテリを張るコツバメを見る。他のオスやルリシジミ、トラフシジミと追い駆けあう。 更に移動する。 雑木林の中ではミヤマセセリが多い。幾分メスの個体の方が多いようだ。 イバラの仲間の白い花で吸蜜するツマキチョウ♂を見る。残念ながらまだ花は咲ききっておらず、蜜は吸えなかったもよう。 尾根筋に集まるアゲハを見に行く。新鮮なキアゲハ♂、ボロのギフ♂、飛び回るばかりのナミアゲハ♂、ヒオドシ2頭が盛んに追い駆けあっている。今日のギフはパトロールによるテリ張りより、地面にとまった待ち伏せ型テリ張りの時間が長い。 正午を過ぎると、天気予報通り曇ってくる。とたんにアゲハの活動は低下し、ものの十数分で全ての個体が姿を消してしまう。〔東播磨地方〕

4月16日(曇りのち時々晴れ) 「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の活動の一環で成虫観察のため、整備したヒメカンアオイ自生地を回る。ようやく昨日からの雨はあがり、雲が切れ次第に晴れ間が広がる。しかし気温は低い。 明るい雑木林の中で羽化直後のギフチョウ♂を見る。2日連続の目撃となる。今日の個体は地表20cmのササの葉につかまり翅を伸ばしていた。約1時間、同じ場所で粘ったが初飛翔までは至らず。 コバノミツバツツジで吸蜜する別の個体を見つけ、大急ぎで近づくが頭上高く舞い上がり見失う。 ミヤマセセリ多い。今が盛期。飛んでいるとき前翅が白く見えるのはメス。地上にとまるとすばらしく美しい翅を見せてくれる。 各地でルリタテハを見る。遊歩道に止まっていることが多く、人が近づく気配を感じると飛び立つ。 雑木林の縁でコツバメを見る。下草にとまったところを良く見ればV字開翅中であった。けっして翅を開かない種だとばかり思っていたが、そうとも言えないことを確認する。撮影は失敗。 午後から単独行動。午後になってもそれほど気温は上がらず、しかも風が強い。 ヒメカンオアイ群落の上を低く飛ぶギフチョウ♂を見る。スミレやコバノミツバツツジが近くに咲いていても見向きもしない。明らかにメスを探している飛び方である。 尾根筋は風が強く、集まるアゲハは少ない。ようやく一箇所のみ、ギフが混じっているところを発見。キアゲハ1頭、ギフ1頭、ヒオドシ2頭が追い駆けあう。そのうちにキアゲハとギフがもつれて地上に落下、地面に落ちてもまだダンゴのようにもみ合い、しばらく解けなかった。同種のメスと勘違いしたのか、他種と分かって格闘していたのか判らないが、ここまでしつこく戦うのを見たのは初めてである。 テングは例外なくボロになっている。 ルリシジミ、トラフシジミを見る。〔東播磨地方〕

4月15日(雨) 待ちに待った週末なのに気温は低く、朝8時から雨が降り出す。 9時、カッパと長靴、帽子と完全防備で小雨に煙る里山に入る。 当然のことながら活動するチョウはいないが、おびただしい数の新芽がしっぽり雨に濡れている。身近に生命の息吹が感じられすがすがしい。 今朝、羽化したばかりのギフチョウ♂を見る。翅を伸ばすためにつかまった小枝にとまり、翅はしっかり閉じている。時折、腹部先端から脱皮汁をたらしているところを見ると、羽化してからせいぜい2時間経過、といったところか。雨が降り出す前に羽化したようだ。この時期にオスの羽化とは、やはり例年に比べ5日程度は遅れている。光量不足のためシャッタースピードが確保できず、ブレ写真ばかり。試しにストロボを併用したところ、一風変わった出来に仕上がった。 イカリソウ、ヤマツツジの花を見る。コバノミツバツツジは満開近し。〔東播磨地方〕

4月9日(晴れ) 昨日に続き9時からヒメカンアオイ自生地を回る。朝のうちは気温が低く、日差しも弱いためギフが飛び出してくる気配はない。11時半、9箇所目でようやく本日1頭目のギフを見る。スミレで吸蜜中の新鮮なオス。カメラのスタンバイに手間取り、吸蜜シーンの撮影は失敗。あと10秒、せめてあと5秒あればと思うが、後の祭りである。当地では新鮮な個体の吸蜜の撮影はたいへん難しい。スミレやコバノミツバツツジなど、どの花で蜜を吸っていても落ちついて撮影できる時間を与えてくれない。大半は地面の落葉にベタッと翅を広げているばかりである。 昨日確認したポイントを今日も訪ねたところ、今日も2頭目撃する。いずれも新鮮なオス。 丘の上にはキアゲハ、ナミアゲハが集まっているがギフは混じっていない。キアゲハは初見。 キアゲハ2頭、ナミアゲハ3頭、ヒオドシ1頭、多数のミヤマセセリが盛んに追い駆けあう。まさに春爛漫である。 まぐれでミヤマセセリの飛翔の撮影に成功する。 小さな尾根筋でテリを張るギフ♂に出遭う。敏捷でしかも人の気配に敏感である。そっと近づくが、残念ながら飼育紋がはっきり現れている個体であった。飼育紋を持つ完全野生個体もいるので何とも言えないが・・・。本日訪ねたヒメカンアオイ自生地は13箇所、計6時間を要した。〔東播磨地方〕 

4月8日(晴れ) 出張先から大急ぎで帰宅、睡眠時間もなく午前9時からフィールドに出る。 今日は「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」恒例の待ちに待った成虫観察会の日。昨年、皆で整備したヒメカンアオイ自生地を回る。 畑の上を直線的に飛ぶツマキチョウ♂を見る。初見。 雑木林の中ではミヤマセセリを見る。これまた初見。オスかと思いきやとても美しいメスであった。 ツバメシジミ初見。 陽だまりにルリタテハ、キタテハ、テングを見る。 今日の目的のひとつのコツバメにはなかなか出遭わない。ようやく1頭確認するが、あっという間飛び去り撮影は失敗。 越冬明けのキチョウを見る。 ルリシジミ多い。オスばかりだが、だだ1頭のみメスが混じっていた。 お目当てのギフは依然として姿を現さない。 観察会は午前中で終了、午後から友人と2人でさらに幅広くギフを探し歩く。ようやく雑木林の中でオスに出遭う。やや気温が低いためか落葉の上でベタッと翅を広げて陽光を浴びている。最初は逃げられないように慎重に撮影していたが、一旦飛び立ってもすぐに舞い降りてくることが解ってからは、ドンドン接近してバンバン撮影する。但し飛翔スピードは結構速い。正面からじっくり観察すると、金色の体毛が逆光に輝きすばらしく美しい。ご存知のように幼虫は真っ黒毛虫だが、見方を変えれば、成虫も金色毛虫にたまたま翅が付いているだけと言えなくもない。さらにもう1頭飛翔中の個体を目撃するが、いずれにしろ予想以上に数が少ない。時期が早いのか、発生数が少ないのか判らないが、1日足を棒にしてあちこち探し回っても出遭うの極めて難しい。 午後はミヤマセセリを多く見かける。一旦飛び立っても陽光が効率よく当るポジションに回転していく姿はほほえましい。カラスノエンドウや植栽のシダレザクラの花で吸蜜する個体を見る。 トラフシジミ初見。 その他、ベニシジミ、モンキ、モンシロ、ヒオドシ、ナミアゲハを見る。〔東播磨地方〕 *最近、当東播磨地方の里山では野犬の群れがたびたび目撃されています。なかには攻撃的な群れもいるようです。単独行動は非常に危険です!やむを得ず入山される場合は複数人であることを強くお勧めします!

4月1日(曇り) 天気予報は外れ朝から花曇。気温も思ったほど上がらない。天気が良いにしろ悪いにしろ、今日は出勤日なのであまり関係がない。

3月26日(曇り) 朝から薄日しか差さず、昨日より気温が上がらない。 午前10時からギフチョウ幼虫生息地をまわる。 雑木林の中の小さな沢にショウジョウバカマの花を見る。つぼみも多いが、思った以上に開花している。 テングチョウ多い。 イカリモンガを数回見かける。 ススキの枯葉にとまるルリシジミ♂を見る。人の気配には敏感。粘りに粘ってV字開翅を撮影する。 ギフチョウ生息地まわりを終了し、ツメレンゲ群生地を訪ねる。西播磨のツメレンゲとは明らかに葉の形状が違う。当群落ではクロツは生息していないと言われているがこの春から調べることにしよう。 ウラナミシジミ♀を見る。すでに前翅の先端はスレていた。兵庫県内で冬を越せるのは淡路島南部のみと言われているが、当地まで北上している可能性ありとみた。〔東播磨地方〕

3月25日(快晴) 朝から雲ひとつなく晴れ上がる。気温もグングン上昇。 10時過ぎからフィールドに出る。今日はいつもの田んぼ畑めぐりではなく、雑木林の中に分け入る。 どこでもテングが多い。雑木林の中の陽だまりの小道では1mおきに路上にとまっている。もつれ合い、追いかけあうこともしばしば。ただし卍飛翔は一瞬で終了し長くは続かない。この卍飛翔を狙って30分間粘ってみるがなかなかうまくいかない。 キタテハは日向ぼっこに忙しい。ルリタテハも各地で見かける。テング、キタテハ、ルリタテハ、それにビロードツリアブが混じり盛んに追いかけっこを繰り返す。 ベニシジミ初見、この時期に現れる個体の翅表のベニ色は深くとても美しい。どうやら側溝のスイバで発生していたらしい。 丘の頂上でヒオドシを見る。あちこちで日向ぼっこ。合計10頭はいるもよう。広角接写や望遠、真昼間のストロボ併用など、時間をかけていろいろなバリエーションで撮影を試みる。 ルリシジミ♂多い。ひとたび飛び立つととまらない。 頂上で占有行動を繰り返すアゲハチョウ♂を見る。初見。 ここでは、ナミアゲハ、テング、ヒオドシ、ルリシジミがもつれ合うことが多い。 当地で最も早くコツバメが現れるポント、ミヤマセセリが現れるポイントを巡るが両種とも見かけず。 コバノミツバツツジのつぼみは固く、ヒメカンナオイの新芽も伸びず、従って当地のギフはまだまだの感じ。 雑木林の中ではどこでもヒサカキの芳香が漂う。個人的にはこの花の香りにて春を感じる。〔東播磨地方〕

3月21日(晴れ) 午後3時から1時間、近場を回る。 うす雲が広がっているがまずまずの天気と気温。 田や畑の上を直線的とぶモンキチョウ♂を見る。 竹やぶの縁からキチョウが飛び出す。〔東播磨地方〕

3月18日(雨) 午後から、加古川流域文化交流フォーラムに出席する。 このフォーラムで公演された、豊岡市「NPOコウノトリ市民文化研究所」代表の方と初めてお話させていただく。代表が「兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会」の活動内容を実によくご存知だったことに驚く。ウスイロヒョウモンモドキ保護・保全活動が但馬地方全域で認知されつつあること実感する。

3月12日(雨) 昨日とは打って変わって、朝から雨が降る肌寒い日。 「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」の今年度の総会に出席する。

3月11日(晴れ) 午前11時過ぎまで深い霧の中。 霧が晴れた午後からフィールドに出る。天気予報通り4月並みの暖かい日。 今日も明るい畑や雑木林の縁を歩く。 さっそくモンシロ♂が飛び出すが、風に流され、あっという間に飛び去る。 畑の土手の斜面に越冬明けのキタテハを見る。同じ場所に2頭日向ぼっこ。 広々とした田んぼを低く飛ぶモンキチョウ♂を見つける。初見、狙い通り。カメラを手にすぐさま後を追ったところ、さらにもう1頭♂が飛び出す。追い駆けあうかと思ったところ、2頭とも地表に舞い降りた。注意深く近寄り探したところ交尾中であった。2頭のうち1頭は黄色タイプのメスであった。時間をかけてじっくり撮影する。 竹林の縁の畑でルリシジミ♂を見る。これまた初見。執拗に追ったが静止せず、挙句の果てにテングチョウともつれて竹林の上に消える。 アブラナの花で吸蜜するモンシロ♂を見る。 農機具小屋の周囲を飛ぶルリタテハを見る。耳の傍を飛ぶときに、はばたく音を聞く。〔東播磨地方〕

3月5日(快晴) 「兵庫ウスイロヒョウモンモドキを守る会」のメンバーが集まり、今年の活動内容を打ち合わせる。〔神戸市〕

3月4日(快晴) 朝は冷え込んだが、陽が高くなると次第に気温が上がる。 本日は撮影対象が多く、久しぶりに充実した一日であった。 朝10時から日当たりの良い畑や雑木林の縁など、いつものコースを回る。 キャベツのしなびた葉の裏に越冬中のキチョウを見る。 風も当らず、褐色の葉の中はいかにも暖かそうで、冬を越すのに絶好のポジションであろう。 ブロッコリーの花芽の上を這い回るモンシロ終齢幼虫を見る。注意深くさがせば、ブロッコリーだけでなく、キャベツの葉にも見つかる。しなびた葉にいるものも多い。また終齢幼虫ばかりでなく中齢幼虫も見つかる。寒かったこの1月を良く乗り切り生きてきたものである。しなびたキャベツの葉の裏に泥にまみれたモンシロ蛹を見る。当地では蛹の他に、幼虫の各齢でも冬を越しているのを確信する。 植栽のユキヤナギにホシミスジ越冬幼虫の巣を見る。ちょっと失礼して閉じた葉を開けてみると、枯葉と同じ色の体長数mmの幼虫が潜んでいた。 竹林の縁の畑からモンシロ成虫♂が飛び出す。この時期の成虫は人の気配に敏感で、広角接写の距離まで近寄らせてくれない。飛び立ってもすぐ舞い降りる。“近寄っては逃げられまた近寄る”ことを約20分繰り返し、ようやく数カットをものにする。 一旦帰宅し、午後1時から再びコースに戻る。 日光浴中のテングを時間をかけて撮影する。翅はまったく破損していない。本日のテング目撃数は3頭であった。〔東播磨地方〕

2月25日(快晴) 朝からすばらしい青空が広がるが今日は終日仕事。おまけに明日は雨の予報。こんな週末はストレスが溜まる。 モンシロ♂♀とも初見!との友人からの情報あり。春は近し。〔東播磨地方〕

2月18日(晴れ) ヒメカンアオイの花の撮影に行きませんか?との友人のお誘いに応え、10時からフィールドに出る。どのヒメカンアオイ自生地でも、落ち葉を除くとすぐに花が見つかる。地面ギリギリか半分埋もれるように咲いているため、広角接写で環境全体を写しこむようなカメラの角度を確保できない。 公園の樹の幹にとまって越冬しているキチョウを見る。遠くからでも黄色が目立ち、“よくまあこんなところで!”といったところである。友人によれば2月5日にはこの場所にいた、とのこと。〔東播磨地方〕

2月11日、12日 神奈川県生命の星・地球博物館で開催された、第2回 チョウ類の保全を考える集いに参加する。丸二日間、盛り沢山のスケジュールを消化する。今回も志を同じくする多くの方々と知り合うことができ、有意義であった。〔神奈川県小田原市〕

2月5日(快晴) 昨日午後から今日の午前中まで、所用のため故郷・彦根に滞在する。 今朝起きれば前が見えないほど深々と雪が降っている。突然30年前にタイムスリップしたように当時のことを思い出す。 帰途、草津を過ぎるころから青空が広がり、自宅に帰れば、気温は低いが風弱く快晴、しかも乾燥している。同じ近畿でも数十キロ離れれば別世界である。〔滋賀県北部→東播磨地方〕

1月29日(快晴) 風も弱く、暖かい一日。今日のような天気を小春日和と言うのであろう。午前中に所用をこなし午後からフィールドに出る。 ブロッコリーの葉にモンシロ幼虫を見る。ざっと見て合計10頭くらいか。全て終齢幼虫。気温が10℃を超えているためか活発に動き回る個体がいる。キャベツの萎れた切り葉を裏返すと、モンシロの前蛹が張り付いていた。初期段階の前蛹で、ようやく糸をかけ終わったところである。 スイバの株にベニシジミ幼虫を見る。体長は7〜8mmといったところ、何齢くらいだろうか。この株の葉は真っ赤なので、幼虫も真っ赤である。葉の裏面を削り取るように食した跡が点々と見つかる。 ポカポカと暖かいなか、気分良くたんぼのあぜにに寝っ転がって撮影に夢中になっていると、突然背後から「何をやっているの?」と声をかけられびっくりする。〔東播磨地方〕

1月22日(晴れ時々曇り) 天気は良いが冬らしい寒い日。 愛知県「かすがいギフチョウのすむ里山づくりの会」のみなさんの来訪があり、我々の「加古川の里山・ギフチョウ・ネット」メンバーと合同で現地確認およびギフチョウ&里山の保全に関して意見交換を行う。 活動の概要や、抱えている問題点など発表し合い、真に有意義な交流会であった。 *「かすがいギフチョウのすむ里山づくりの会」のみなさん、今日はわざわざお越しくださり本当にありがとうございました。今後とも宜しくお願いします。〔東播磨地方〕

1月15日(曇りのち時々晴れ) 朝から快晴のはずがどんよりした曇り空。ようやく正午から天気が回復するがわずか2時間で曇り空に戻る。 先週に続き低山縦走コースを歩く。 最高でもわずか200m、それでもアップダウンを繰り返すと汗が吹き出る。 雑木林の中を歩くとすがすがしい気分になる。 気温は高いが成虫は見かけず。〔東播磨地方〕

1月12日(晴れ) 外出中、野外でモンキチョウ♂成虫が活動するのを見る。 気温は10℃くらいか。 個体は新鮮で、年末年始の寒波を耐えてきたとは思えず、たぶんここ数日の陽気に誘われて羽化したものと思われる。〔京都市〕

1月9日(晴れ、夕方から曇り) 風も弱く、この時期にしては暖かい一日。 午後からフィールドに出る。低山ではあるが、縦走コースを2時間歩く。 尾根筋の陽だまりでテングチョウを見る。暖かいとはいえ、気温は10℃を下回っていると思われるが、意外に力強く飛び回る。逆光アングルから順光アングルに切り替えようと不用意に動いたため、あっという間に飛び去られてしまう。 ギフチョウ蛹を探すつもりで沢筋を下るが、肝心のヒメカンアオイの群落が確認できず、早々に断念する。〔東播磨地方〕

1月3日(晴れ) 弱い冬型の気圧配置で肌寒く、風が強い。 しかしながら風が当たらないところでは日差しに暖かさが感じられる。 畑のモンシロ幼虫は元気に活動している。終齢幼虫はかなりの耐寒力を備えているらしく、活発に食餌にしている個体を見かける。 明るい畑の土手の斜面にヒメアカタテハの幼虫を見る。ヨモギの葉を綴った巣のなかに潜んでいるところを、巣をほぐして撮影する。3〜4齢くらいか?糞とともに丸まっていた。 雑木林の縁のイボタの木にウラゴマダラの卵を探すが見つからず。そういえば昨シーズンは成虫が少なかった。再チャレンジ予定。〔東播磨地方〕


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